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神獣郷クリスマス!

 注意!!

※ ユウマ→ケイカっぽい雰囲気があります。

 苦手な人は読まないようにしてください。


――――――


「メリークリスマ〜〜ス!」


 配信しながら集まった四人で乾杯をする。

 ルナテミスさんはどうやら忙しいみたいで、30分しか居られないと言っていたけど、それだけでも十分すぎるくらいだ。

 学生の私達はすでに休みになっているが、社会人は大変だ。それを踏まえるとストッキンさんは……? となったが、彼も今日は休みにしてあるらしい。私がクリスマス配信をするって言ったから急いで空けたとかなんとか……それはそれで嬉しいんだけど、なんか複雑。ファン心理なのは分かるんだけどね。


 私のお屋敷で食器類なんかを並べながら手伝ってくれているユウマが、レキの指示に従ってあれこれ準備している。ツリーの飾りつけもなんか熱が入っちゃってまだ終わっていないため、庭ではパートナー達がわらわらと集まってあれこれと飾りつけをしている。そっちにも駆り出されてユウマはあっちこっち歩き回りながらため息を吐いていた。

 飾りつけをしている子達の間でもどんな風に飾りつけるかの派閥争いがあるようで、それらの仲裁までこなしている。


 なんか、ごめん。

 主催は私なんだけどさ。


「ユウマ〜、疲れたらこっち来ていいんですよ」

「いや、君といるより心労が少ないからこっちでいいよ。贖罪も兼ねて……」

「贖罪ってなんですか?」

「君には分からないよ……」


 ユウマの謎の言葉に首を傾げていたら、ケーキをうきうきで選んでいたストッキンさんが歩み寄ってくる。その胸の中に入り込んだレッグがちょろちょろとポケットから移動して、ストッキンさんのケーキを持つ手に移動して間近で観察し始めた。大変に可愛らしい。ストッキンさんが持ったケーキに勝手に手を出そうとしてもう片方の手でそっと防がれている。普段はそんなことしないだろうし、レッグなりに浮かれているのかもしれない。


「今日もたくさんケーキが並んでいますね。これらはケイカさんが?」

「あっ、それはですね!! 実はリアルのほうでスポンサー商品を実際に食べて〜、美味しかったものをピックアップしてみました! 神獣郷だと実際に材料さえあればスポンサー製品も作れるからいいですよね〜」


 スポンサー製品をゲーム内で利用すればなんと課金ショップクーポンまでついてくる! なーんて私情は置いといて、実際に食べて美味しかったものを選んでいるのは本当だ。


「え〜、ケイカちゃんこんなに食べたのにゃ? 太っちゃうぞ〜」

「ふっ、太りません! 種類を食べ比べするためにちゃんと昨日はユウマを引きずっていきました!」

「あっ、バッ、バカッ!!」


 ユウマが叫ぶ。

 それを聞いてストッキンさんがメガネを光らせた。課金で買えるアクセサリーエフェクトである。アニメみたいな光りかたがおもしろくて思わずじっくりと見つめてしまう。


「へえ、クリスマスイブの昨日に、ですか?」

「え? はい……あっ、やば」


 本当なら女友達と一緒に行く予定だったのだ。ケーキ系スポンサー商品の8割が提供されているコラボカフェ的なところに。だけど、みんなそれぞれ予定が入っちゃったらしくて……代わりに連れて行けって言われたのがユウマだった。確かに彼なら甘いものも特にすごい苦手ってわけじゃないし、同じ神獣郷をやっているからケーキ選びに協力してくれそうだと思って誘い、彼女もいないユウマは煽られても渋々了承してくれた。からかってる私にも彼氏なんていないが、高校生にもなっておひとり様で寂しいクリスマスを過ごすよりは、まあ腐れ縁の幼馴染とはいえ、友達といたほうがいいよねって思って。


 もちろん彼は私があれこれ食べたいものを注文して、半分ずつ食べることにも了承してくれた。お腹に入らなくなってきてからはほとんどユウマが処理してくれて具合を悪くしてものすごい顔色が悪くなっていたのは本当に申し訳なかったから胃薬を買ってあげて家に送り届けたんだけど、青い顔しながらケーキについてなんか聞かれたら「友達と行ったって言え」って言われてたんだよね。僕の名前を出すなって。大変申し訳ない。


「う〜わ、ごめん、友達! 友達と行ってました! って言えって言われてたの忘れてました!」

「うわ〜、ユウマ君もかわいそ〜ににゃあ……」

「なんでだよ……」

「で、ユウマくんとはなにかありましたか?」

「ちょっ、ストッキン。踏み込むにゃや! 地雷原!!」

「えっ、普通ですよ。あっ、ケーキで具合悪くして胃薬買ってあげたり、家に送ってあげたりはしましたけど」

「なんでっ、だよ! クソ!」


 コメント欄がなんか処す? とか、炎上いっとく? みたいな流れになってて、なんでなんで!? と言いながら慌てて言い訳を次々並べ立てる。

 そうしたら、ユウマは床に落ちて自分のパートナー達にわっしょいわっしょい回収されていった。明らかにテンションが最底辺にまで落ちていたけど、そんなにケーキで具合悪くしたのを言われたくなかったんだろうか。本当に申し訳ない。私のこの口が悪いんだ。許して。


 なんかルナテミスさんは爆笑しているけど、まずいな。彼女にユウマをからかう材料を与えてしまったかもしれない。一生擦られ続けられるやつじゃないか? これ。


「あっ、そうだ炎上させない……で……?」


 さっき火種できてなかったか!? と思ってコメント欄を見たら、今度はなんか知らないけどユウマのお葬式会場みたいなものができていた。なんでだよ、燃え上がりそうになって一瞬で鎮火どころかお亡くなりになったみたいな雰囲気まで行くのはおかしいでしょ。温度差が激しすぎる。しかもなんか、ユウマがコメント欄によっ! 俺らの代表!! みたいなこと言われて無駄に好感度を上げている。なに??? 


「ケイカちゃんは配信者がクリスマスイブにキミと同じことしてたらどう思われるか、客観的に考えてみるにゃ」

「え? ……あっ」


 盛大にごめん寝をした。

 幼馴染君におかれましては本当に申し訳ないことをしたと思っておりまして……。


 このあと、開き直ったユウマがリアルの商品の食レポをしてスポンサー製品の売り上げにめちゃくちゃ貢献することになったのだった。


メリークリスマス!!(遅刻)

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