【†サタソ様†】本気サンゴ攻略配信【挑戦10回目】単発?
殺戮ルートにつき、本編の海イベント編を読んでからご覧くださいませ。
†サタソ様†こと俺様の『ジェノサイド☆攻略チャンネル』へようこそ!
配信形式はいつも通り、心の声をテロップ音声にしながらのものになるぞ〜。
はい、というわけで今日もやっていきたいと思います。よろしく!
『はいつー』
『おっつおつ〜』
【¥1000 待ってた!】
さっそく『はいつー』ありがとね〜。おっと、スパチャまでしちゃうかー。俺様の夕飯のために多めに投げ銭してくれよなー? おっと、ワンモアワンモア! 追加来た? さんきゅー! 今日の夕飯は焼き魚だな! 人魚だけに!
『こんのド外道がw』
『前回惜しかったね』
そうそう、そろそろいい加減にクリアしたいところだよ本当。
前回は接近するところまではしっかり行ったんだけどね〜、まさかあそこで初見殺ししてくるとは思わないじゃん? 思わず興奮しちゃったよな。あの初見殺しっぷりはこの俺様もニッコリ。
『めっちゃ興奮して叫び倒しながら死んで行きましたね 笑』
『予想外のことがあるととりあえず高笑いしながら死ぬのほんと草』
チャート練るにしても俺様、まずは死んで覚える派だからね。突然の初見殺しも脳汁ドパドパで楽しいから好きよ。脳筋なのは否めねーわ。
『初見』
『つー』
『もう始まってたか』
あ、まだ自室から出るところだから大丈夫だぜ。これから部屋を出て人魚姫さんに襲撃されるところです。
さて、何人か初見の人もいるみたいだし、ちゃんと説明をしておくと俺が今やってんのは竜宮城で乙姫を殺して本気のサンゴを相手にするジェノサイドコースでーす。
乙姫を殺してから再ログインすると、ベッドで自動セーブが行われて部屋の外に出ると無人の竜宮城を見ることができるんだよね。んで、竜宮城から外に出るとイベント発生して楽しい楽しい戦闘のはじまりってわけ。
一応部屋からホームにワープしたり、プレイヤーの販売所に繋げることはできるからアイテム確保はできるんだけどさ。そろそろ攻略達成しないと金がやばい。金欠のアイテム不足でサンゴを攻略すんのはさすがにきっついからねぇ。
ここまで来るのすら苦労するんだよなあ〜。イベント起こす難易度がベリハなんだよ。リスナーのお前らは分かってくれるだろうけど、初見さんには一応毎回言うつもりだからさ、つらつら話しながらインベントリ整理したりアイテム買ったりして準備するわ。
『丸薬も竜宮城で買えなくなるんだっけ?』
そうそう、海の中で息を保つアイテム。『人魚の丸薬』も買えなくなっちゃうわけ。竜宮城で買えば格安なんだけど、販売員がそもそもいなくなっちゃうからな。無人だし!
ホームにワープする術と、販売所への接続ができなかったら多分攻略は詰んでると思うよ。もう別鯖に移動してるから戻れないし。
そもそもサンゴの前に乙姫を殺すのもめちゃくちゃシビアなんだよなあ。ほら、乙姫の行動範囲の八割くらいはサンゴの本体がついて回るからさ。なるべく好感度稼いで二人きりになってから決行しないといけないわけ。だから余計に乙姫を殺すのが難しくなるんだよなぁ。
何人か挑戦したやついたけど、結局絆されちゃって殺せない事案もあったし、今サンゴ戦まで漕ぎ着けられているのは俺様だけってわけ! なおさら負けられないね! もう9回は負けてるけど(笑)
プレイヤーのほうにもサンゴの分身体が監視でつけられてるから、本当に監視の目を掻い潜って討つのに苦労したのよ……あ? 監視だよ。プレイヤー全員に聖獣纏教えるって名目でサンゴの分身がついてくんだろ? あれ、どう考えても監視目的だからな? 不殺プレイヤーにとっては便利でそばにいてくれる友達みてーなもんだろうけど、俺様みたいな殺戮ルート攻略目的のプレイヤーにとっちゃ迷惑なもんだよ。
そうそう褒めて褒めて! サンゴってああ見えて警戒心くそ強いからめんどくさいんだよ。頑張った俺様を褒め称えろ!
『すごいすごい』
『正直手に汗握って見守ってるわ』
『やったねオンリーワンだよ!』
なーんか棒読み多数っぽいけどいいや。おっけー、満足したありがと。
で、負けても直前セーブ……つーか、セーブ地点に戻されてベッドで起きるとこからやり直せるから、今ぶっ続けで攻略を続けているってわけだね。使ったアイテムは復活しないけど。毎回アイテム使い切ってるから、アイテム購入と整理するところからやり直さないといけないのが非常にめんどい。
うーん、エナジードリンクもキメて来てるから多分いける。今回こそいける。染み渡ってるもん。俺様の体の中に血液のようにぎゅんぎゅんと。
と、ええと前提はここまでね。アイテム整理終わったから気合い入れていきましょうか。これからイベントシーン入るからそっちに思考割くよー。
最短ルートでイベント発生させるために、部屋から出てすぐの窓を蹴り割って外に出ます。んで、ここで丸薬を飲みつつ全員で移動。
あ、俺様の相棒達はケルベロスのベロとニーズヘッグのニーです。名前が適当? しゃーねーだろ、戦闘中にいちいちなげー名前とか凝った名前呼んでられねーもん。
俺様はいつも通りオキニのマイハサミこと『金翼獅子の裁ち鋏』を使ってくよ。
なにせ俺様、庭師だからね。
魔王サタソ様はのんびり庭いじりをするのが趣味な、非常に穏やかな気質の人物だからな!
『嘘乙』
『殺した相手のフィギュア庭に飾ってるやつがなんか言ってる』
『庭師の庭仕事(植木はお前の死体)』
『オオバサミっていいよね』
『世紀末鯖行ってサタソ様キルしたらそのハサミ手に入んの?』
残念ながらこのハサミは左利き用なんで有象無象には無用の長物で〜す。あ、でも向かってきたやつは丁寧に切り刻んでやるからぜひ来てね。俺様と即死回避ごっこのお遊びしたいやつは気軽に遊びに来てくれよな!
窓から飛び出して丸薬を全員飲んだあとは浮上。
そしてその途中で俯いたサンゴに出会う。ちなみに、ここで近づこうと思ってもサンゴの周りに強い斥力の働いた渦が発生して押し返されるぞ!
無理矢理会話中に切り刻みに行こうとしても、このイベントシーンに水を差すなんてとんでもない! とか言いたげな渦のせいで近づけないし、なんなら近づこうとすると渦の中にある水中版カマイタチみたいな現象で体力減らされるから大人しくイベントシーンが終わるのを待ったほうが効率がいい。
あとなるべく離れていたほうがいい。イベントシーンの最後にめちゃくちゃ弾き飛ばされるから、そのときにも無駄に体力減らされたくないなら遠めの位置に陣取っておく必要がある。
サンゴ戦を無傷のまま始めるなら200メートルから300メートル程度以上は離れていたほうがいい。あ? そうそう、だいたい一般的な校庭一周分より多いくらいね。ちゃんと離れてないと最初のやつで死ぬ。
はい、会話入るので黙ります。
「ねえ、サタソ様さん、私、あなたにはね、期待をしていたの〜」
「ああそうかい」
適当な返事。10回目ともなるとさすがに面倒臭くなってくるものだね。
あ、ちなみにここで課金アイテムのプレイヤーネーム変更の石を使っておくと、キャラクターに合法的に罵ってもらえるからオススメ。
名前を『クソ野郎』とかにしておけば「ねえ、クソ野郎さん」って冷ややかに言ってもらえるぞ! これ豆知識な!
「でも、全部、全部期待外れ。それどころか、あなたは人魚の尾を踏んでしまったのよ。可哀想に。哀れだわ。策略を巡らせるその頭も、こんなことのためだけに使う……なんて愚かな人」
「褒め言葉だね」
鼻で笑って吐き捨てる。
お前に可哀想なんて言われる筋合いねーし。どんなプレイを楽しもうがこっちの勝手だ。
『ん? プレイ???』
『えっちな話かな? ん? ん?』
『プレイ(意味深)』
『ええ、なにこのノリ』
ああ? いかがわしいほうのプレイじゃございません!! うるせー! コメントは黙ってろ! 俺様のイメージを壊すんじゃない! 初見がドン引きするだろうが!! イベントを! ちゃんと見ろ!
「この国の当主を殺したあなたは今から裁判にかけられる。もちろん有罪。これは決定しているわ。あなたは罰を受ける。やってはいけないことをきちんと学び舎で学んでこなかったツケがくるのよ。嬉しいでしょう?」
「ああ、嬉しいよ。俺様と遊んでくれるんだろう? 人魚姫。楽しいダンスパーティにしようぜ。タイやヒラメの踊り子はいねーのか?」
サンゴは微笑まない。
「歓喜せよ! どうしようもない、救いようのないお前に、死の救済をわたくし自ら与えて差し上げるのだから!」
「馬鹿言え、永遠の救済を与えられンのはテメーだよお姫様」
地響きのような振動が起こり、海底の砂の中からサンゴの周りに全て貝殻でできた楽器達が現れる。そして、その楽器達のオーケストラはサンゴ以外に誰もいないというのに、一人でに演奏が開始された。
それと同時に響いてくる音波の数々が俺を襲い、包囲する。
この音からは決して逃れられない。少なくとも、俺様はな。耳栓も効かなかったし、やっぱり水中を伝わってやってくる『振動』のほうをどうにか無効化する術がないと、海楽のスキルから逃れることはできない。
これは今まで積み上げた9回のチャートではっきりしている。毎回違う手段でどうにかできないかと試行錯誤してきたが、ひとまず販売所の買い物で済ませられる手段では無理だと判断。
――――――
・酩酊
・飢餓
・恐怖
・操作反転
・水中恐怖症
・混乱
・呪縛
・防御力低下
・攻撃力低下
・クールタイム増加
・回復量低下
etc.
――――――
「ははっ、ウケる」
視界の端にどんどん積み上げられていく状態異常の数々に、10回目だというのに変な笑いが起こる。すげーデバフ祭りだよ。こんなんあるか普通?
「初見が懐かしいなぁ、おい?」
ぐらぐらする視界にピコンピコン鳴る空腹メーター。水中でろくに動けなきゃこの次の瞬間、俺は死ぬ。
分かり切っているので操作が反転したまま、事前にインベントリから出しておいた状態異常回復薬を、右ポケットから取り出して一気にあおる。先に出しておいたのは、インベントリを開こうとするとスキルを使っちまうといううっかりミスをなくすためだ。出してあるものを使うだけなら左利きなのに右で掴んで操作するだけで済む。
残り二つのビンもベロとニーに投げつけて使えば、『酩酊』と『飢餓』以外の状態異常は一時的に消失した。
「ほれ、お前らも食っとけ」
インベントリの一番前にある骨つき肉を取り、その場でかじる。二匹にも渡して空腹の『勘違い』を治し、『飢餓』状態も消える。
しかし『酩酊』はそのままだ。
そう、『酩酊』状態だけはどんな回復手段を持ってしても治らないのだ。こればっかりは慣れるしかない。
「っしゃ」
ここでようやく、俺も背中に背負っていたバカでかいハサミを抜き放ち、隣に座っていた三つ首の狼と闇色の竜が立ち上がる。
「行くぞお前ら、狩りの時間だ!」
「グルルルラァァァァァ!」
「ガルルルルォォォォォン!」
いざ参る! 庭師の俺様と、ケルベロスとニーズヘッグの一人と二匹の舞踏会だ!
「今から起こることを初見のやつに分かりやすく言ってやる!」
サンゴのデバフ祭りのせいで確定でかかる『酩酊』状態のまま口を回す。
めっちゃ酔うんだよねこれ。しかもかなりリアルな酩酊と来たもんだから、慣れるまで苦労したよ。
「人魚姫の尾を踏むと弾幕ゲーになる!」
そして、サンゴを中心に隙間のない、まさに無理難題すぎるシューティングゲームが始まった。
初手フグ刺しはやめろぉ!!!
これだから『酩酊』以外の状態異常を回復しておかないとまずいんだよなあ。
フグ刺しってなあに?
→画像検索してみて。だいたい把握できるから。
ちなみにサタソ様のイラストをサンゴと同じ人が好意で描いてくれている最中なのでそのうちイラストが追加されるかも?
前編扱いしていましたが、ちょっと続きが滞って他の短編が投稿できなくなりそうなので、ひとまず単発扱いにしておきます。続きが書けたら挿入投稿する所存です。