サキノ葉
「そうか、あれは現実か…。」
この言葉は出なかった。
何故かわかっている気がいた。
「それは事故ですか?」
「いいや殺人事件だという事で動いている」
「殺人…」
少し驚いて血の気が引いた。
にもかかわらずこれも知っている気がした。
「なぜ僕は生きているんですか。」
単純な疑問だった。母と妹は殺されているのになぜ
自分は生きている
のか。
「それは分からない。だが君も腹を刺されてい
る。」
「生きてるんだから関係ないです。」
この言葉は心かな出た言葉だ。こんな怪我いくらか
経てば動けるだろう。なら無傷と関係ない。
「犯人は捕まりましたか?」
「残念だか…」
「?」
どこかその言葉に違和感を感じた。
「とりあえず私は帰るよ。」
「今度改めて話を聞くと思うからその時は
よろしく。」
「はい。」
真島さんは名刺を置いて帰っていった。
少し考えてみよう。
あの日僕は学校から帰って団地の階段を登っていた
登り始めたところから何も覚えていない。
家族が殺させたらこんなものなのか、とも思ったし
犯人にやられた可能性もあると感じた。
何も分からない。それか今の気持ちだ。
まだ信じられない。もうあの部屋には誰もいないの
か、部屋に行けば受け入れれるだろうか。
「...」
やはり母は誰かに恨みをもたれていたのだろうか。
自分からしたら母ひとりで僕と妹を育ててくれたと
てもいい母なのに…
「…!!」
嫌な予感がした。
心当たりが出来るかもしれない。