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俺、ゾンビの能力で最強になります。  作者: 雨流 丁亜
第一章 俺、ゾンビになります。
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第7話 正義の味方

「誰だてめぇ?」

「私か?私は正義の味方。悪党に裁きを下す者だ」

「正義の味方ぁ? 裁きを下すぅ?」

「ああ。正義の味方だ。お前が急いでナイフを持ってコンビニから出て人を刺した場面を見ていた。お前が走って逃げるものだから簡単に追跡が出来たよ」

「ちっ……後をつけられていたか」


 強盗は変な言い訳もせず少女に問いかける。


「それで?警察でも呼んだのかい?正義のお嬢ちゃん」


 強盗は逃げ道を確認する。周りは高いフェンスで囲まれ唯一の出口は少女が立ちふさがっている。


「いや、まだだ。ここでお前を仕留めてからゆっくり警察を呼んでやろう」


 強盗は耳を疑った。足止めなら分かるが仕留める?こんな少女が?冗談だろう。そうとしか思えなかった。


「おいおい、俺を仕留める? 無理な話だ。嬢ちゃん、ヒーローごっこは一人でやってな?」

「武士に二言はない。お前はこの剣1本で仕留める」


 そう言って少女は1本の木刀を取り出す。何の変哲もないただの剣道で使われている木刀だ。


「へぇ、殴って気絶でもさせるつもりか? でも当たらなきゃ意味が無いがなぁ!」


 強盗は猛スピードで出口を目指す。このスピードなら当たってもせいぜい木刀を当てられる程度だろう。気絶する程じゃないと考える。昔、陸上をやっていたため足もそれなりに速かった……が、少女に近づいた途端急に足が止まる。


「(なんだ……この殺気は……!?)」


 少女を目前にして放たれる殺気に息を呑む。剣道やその道に精通しなくても分かる。生物の本能が警戒する。これ以上進んだらやばい、と。


「ほう……よく止まったな。後一歩進んでいたらこの剣の錆となっていた」


 女は軽く剣を振る。すると女の目の前の地面に切れ込みが入る。あたかも"真剣で斬られた"ような切れ込みが。


「ひっ! な、何だ、何だその木刀は!」


 恐怖のあまりにへたり込む。ただの木刀だったはずが真剣に見える。強盗には何が起こっているか分からない。


「分からないか? 私の持っているのは木刀では無い。紛れもない真剣だよ。ほら、こうすれば分かるか?」


 女はゆっくり近付き男の首筋に刀を当てすうっと引くと少し肌が裂け、血が流れる。


「これ以上は言わなくても分かるまい? あと少しこの剣を横に振るだけでお前の首は」

「わ、分かった! 自首する! だから許してくれ!」


 強盗は逃げる事を諦めた。逃げる素振りを見せれば首をはねられる。命を落とすなら自首した方がマシだと。


「そうか、分かったよ」


 女はそう言うと剣を構え直し、躊躇いも無く腕を斬った。


「がぁぁぁぁぁぁ!?」

「お前は人を刺した。強盗をした。自首をして刑務所に入ったくらいで罪を償えたと思うのか?」


 女はそう言うと次々と強盗の身体を切り刻んでいく。


「安心しろ、どこも切断はしないさ。ただ、お前の罪の重さの分、私が身体を斬り刻む。罪の重さを身体で覚えろ」


 強盗の悲鳴が夜の公園中に響き渡る。数分後、痛みに耐えかねた強盗は気絶し倒れ込んだ。


「ふう……こんなものか。もう少し骨のある奴だと思っていたのだが」


 少女はその様子を見て木刀をしまい公園を出る。


「言っただろう? 私は正義の味方。悪党共に裁きを下す存在だ」


 そう言い残し、少女の姿は閑静な住宅街へと消えていった。



 ◇



「へーっ、俺を刺した強盗捕まったんだ。それも全身切り傷だらけの状態で……」


 母さん達が来た次の朝、俺はいつもだったら4コマしか読まない新聞を読んでいた。俺を刺した奴は既に昨日の夜のうちに捕まっていたらしい。能力絡みのニュースがてんてこ舞いだった為テレビでは報道されていなかったので知らなかった。強盗は酷い姿で公園の近隣住民に発見されたらしい。俺を刺したんだから同情は出来ないけど。


「全身切られた跡……やっぱり能力絡みか? うーん、これだけじゃ何とも言えないか……ったく、本当にめんどいなぁ」


 入院中はニュースや新聞を見て能力絡みであろう事件をチェックしている。これも生き残る為にも必要な事だ。


「なんとか明日には退院出来そうだけど、このニュースチェックは欠かせないな……情報はあればある程いい」


 少なくともどんな能力があるか知っておくだけでも大きく違う。馬鹿な俺でもその位は分かる。


「それに自分の能力もちゃんと把握しておかないとな……」


 正直自分の能力も少しずつ理解して来たが全て理解したわけではない。なるべく早くこの能力も自分のものにしないとな。


 俺は新しい飴を口に入れつつ新聞を読みふけっていった。




 そして実験開始まであと24時間に迫っていた事を俺はまだ知らなかった。

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