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俺、ゾンビの能力で最強になります。  作者: 雨流 丁亜
第一章 俺、ゾンビになります。
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第3話 美少女の実験(前編)

「ゾンビ……?」


 俺は耳を疑った。


  ゾンビ。生きる屍。色んな小説、漫画、映画に出演するホラーの人気キャラみたいなものだろう。


  ただ、ゾンビと言えば悪いイメージしか無い。というかどんな話でも『ゾンビなんかになりたくない! 生き延びてやる!』が殆どだし、能力というよりむしろなったらダメな奴だろ。パワーアップってよりパワーダウン。


「そうだよ、ゾンビ。君もそのくらい知ってるでしょう?」

「知ってるけどそれ普通に考えて能力じゃないよな? それに例えあれが能力だとしても超弱そう」

「そんな事無いですよ? 少なくとも私の能力の中では結構強い部類に入るんだけどなぁ」


 ゾンビが強い? あんな単体じゃ頭を撃ち抜かれて終わりの奴が? 信じられない。


「信じられないって顔ですね? まあそのうち強さも分かると思うしいっか」

「そのうち? 」

「あ、言っておくけど能力の説明はしませんよ? 分け与えた人誰一人にも説明しない事にしてるんです。まあ名前だけはこうやって教えてあげてますけど」


 ふざけてる。あまりにもふざけている。不安にさせるような名前しているのにどんな能力か教えないって……


「だって教えたらちょ〜有利になっちゃう能力だってあるし、そこは公平性をねっ」

「お前なぁ……」


 と、ため息交じりで呟いた時とある事に気付く。


「ん……?分け与えた人誰一人って事は……俺の他にも犠牲者がいるって事か。一体何人くらいに分け与えてるんだ?」

「ん? 1000人だよ? もちろん1人1個で。私の持ってる能力全部分け与えちゃう」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 想像を絶する人数に驚愕した。こいつどんだけ能力持ってるんだ……!?


「驚いた? 驚いたでしょう?」

「そりゃ驚くわ。能力オバケめ」

「えっへん。これで私の凄さが身に染みたかな?」

「すまない、中身が残念な分あまり凄さを感じないな」

「ひどーい!」


 こいつはまだ何か言いたがっているようが無視して2つ目の質問を投げる。


「お前、ここまで他人に能力を与えて何が目的だ? 何故ここまで人に能力を与えたがる? 別に分け与える必要なんて無いんじゃ……」

「おお、よく聞いてくれました! これは私の実験の為なのです」


 実験? そういえば前会った時に言っていたな。


「言っておくが俺はお前の実験に参加する気なんて」

「まあまあ、話は最後まで聞いてください。決してあなたにも悪い話では無いですから〜」


 そう言って俺の話を遮りながら説明を続ける。こいつの猫撫で声はやけにウザく感じるのは俺だけだろうか。


「実は私、1000個も能力を持ってますがほとんど使う事も無くて……一体どれが使えそうでどれが使えないのか自分でも分からないんですよね〜。自分でも知らない能力のデメリットも怖いですからあんまり使いたくないですし。能力の特徴とかどの能力が1番強いのか。やっぱり気になっちゃいません?」


 こいつやっぱりドジだろ。説明しませんとか言いつつも自分が知らない能力も沢山あるから元々出来ないって事自分からバラしていくスタイル……それで他の奴に使ってもらって効果を確かめる、か。これは確かに実験だな。


「能力を今まで持った事無いから知らん」

「え〜? 右手の親指と左足の小指、どちらが強いか気になりません?自分の指決定戦ってしません?」

「なるわけないだろ! 考えた事も無いわ! もう少しマシな例は無いのか? まず指同士の強さなんてどうやって決めるんだよ」

「そうです!その通り!」

「はぁ?」

「私の能力も千差万別……ベクトルも全然違うものばかりです」


 なんだか話が微妙に噛み合ってない気が気がするが……

 俺の周りをぐるぐる歩きながら話を続ける。


「それに私だって 戦闘向きじゃない能力=使えない ではない事は重々承知してます! そこで私の能力を測るルールを決めました!」


 ちょうど俺の正面でぴたっ、と止まって俺の顔をジロリと覗く。


「まずひと〜つ、死亡するか能力を消されてしまった場合その能力の負けとする〜」


「……ちょっと待て、なんだよ死亡って。すっごい物騒な言葉が出てきたんだけど」


 能力を貰って使わずに終わりだと思ってた。それがいつの間にか殺し合い(?)に参加させられそうになっているんだが。


「大丈夫! すっごい平和的なもう1つの条件、能力を消す方法も教えますから」


 正直俺は全く期待はしていない。そう思いつつこいつはいつの間にか持っていた小さな鍵を見せつけてきた。


「こうやって思い浮かべるだけで掌に鍵が現ます。それで相手の心臓のあたりに鍵を刺して回すだけです。ね、簡単でしょう?あ、別にこの鍵は刺されても痛みとか感じないのでご安心を〜」


 こいつが持っている鍵を思い浮かべる。するとだんだん鍵がぼんやりと姿を現してくる。


「そうです、その鍵を使ってガチャリンコしちゃえばいいんです。そうすれば殺さなくてすみますよ?」

「俺が言いたいのは殺す方じゃなくて殺される方だ。お前は能力を配った奴全員がこうすると思っているのか?少なくとも命を落とす奴はたくさん出てくるはずだ」

「私が知りたいのは実験結果……そりゃあなるべく犠牲が出ないように実験したいですけど、実験に失敗はつきものですよね?」


 屈託のない笑みでこちらを見つめる。もし悪魔がいるとしたらこんな奴なんだろうな。


「こんなのやってられるか! 殺されるなんて真っ平御免だ! 俺は普通の生活をしていたんだ!そんな危ない実験なんて俺抜きで勝手にやってろ!」


 999人が敵。聖〇戦争も真っ青だ。最近のバトルロワイヤルゲームでも100人なのに……それにもし俺の能力が【無敵】ならともかく【ゾンビ】って。他の奴らが強い武器を渡された中ハンドガン渡されたようなものだろ。こんな状況でどうやって生きていけと?


「もう遅いですよ? 能力は分け与えました。あと君に残された道は勝つか死ぬかガチャリンコか……あ、降参はつまらないのでやめてくださいね。……というか君の能力で死ねっていう方が……おっと、これ以上は公平性に反する」


 最後の方の言葉は上手く聞き取れ無かったが今はそんな事を気にしている場合じゃない。運良く鍵を使ってくれる相手に出会えればいいが会った奴が殺人鬼みたいな奴だったら一巻の終わりだ。


「ふざけんな……お前はどこまで俺の普通の生活を奪うつもりなんだ」

「まあ待ってください。2つ目のルールはそんな紀行君にピッタリのルールです」

「ピッタリだと?」

長くなったので前後編にわけさせていただきます<(_ _*)>

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