第18話 戦いの後で
なんとか先生を倒して保健室に会長を預けて来て教室に帰って来ると教室の前に有栖が苦虫を噛み潰したような顔で待ち構えていた。
「おーい有栖、3年の教室の前で何してるんだ?そんな厳つい顔して」
「もちろん用事があるからや……なぁ、架純先輩?」
鬼のような形相を架純に向ける。当の本人はきょとんとしているが。
「昨日メールで明日の昼は紀行君も会長もおらへんからウチが側にいて野良能力者から守ったるって言うたやろ?そして教室来たらどこにもおらへんし……どこ行ってたん?」
「……紀行の所。悪い?」
「悪いに決まっとるやろ!なんでわざわざそんな危ない事すんねん!もし戦って紀行君達が負けたらどうするつもりやったんや!」
「……紀行は負けない。というか紀行が死んだら私も一緒に死ぬ」
……いや、流石に冗談だよな?割とマジトーンで話してるから判別出来ない。
「ならもういい、ウチは知らへん!別にウチは紀行君と会長さえおればええからな」
「……私も紀行がいればいいから」
「おい、喧嘩はやめろって!とりあえず……有栖はありがとう。変に負担掛けちまってすまなかった」
「別にウチはええけど……当然のことしたまでやでやし」
厳つい顔からドヤ顔へと変化する。すぐ機嫌を治す有栖は扱いやすい。
「ほら、架純も謝れって。今回は流石に架純が悪い」
「……紀行がそう言うなら。ごめんなさい」
不服そうに頭を下げる。有栖に対して架純はなかなか機嫌を治してくれない為スネないか心配したが大丈夫なようだ。
「よし、とりあえずこれでお互い終わりにしてくれ。で、先生の件なんだけどな……」
「倒したんやろ?能力者反応から1人消えたからすぐ分かったで。会長は保健室やろ?」
「流石有栖の能力だな。やっぱりこの戦いだとかなり役に立つな」
「ふふん、もっと褒めてもええんやで!で、どうやって勝ったん?」
時間が無かった為有栖には作戦を話してなかったのでそれも含めて一部始終を話した。
「……アホなん?ホンマにアホなん?あんたら」
「……否定はしない」
「対策不足で運任せで死にかけて……あんたら命が何個あっても足りんやろ」
大きなため息を吐いた後にこっと笑う。そして。
「あんたら、もう他の能力者との干渉禁止な?分かった?」
「い、いや、それは会長の話も聞かないと」
「紀行君の意見は聞いとらんよ?分かった?」
「は、はい……」
思わずたじろいでしまいそうになる殺気。怒らせたら会長よりも怖いかもしれない。
◇◇◇
「あはは〜!待て待て〜!あはは〜!」
「くっ、来るな化物!うわぁぁぁぁぁぁぁ」
とある路地裏。男の悲鳴が響き渡った場所には無邪気な少年と黒スーツの男、それとぐちゃぐちゃに潰れた肉塊が転がっていた。
「あはは〜また壊れちゃったよ〜。どーするー?お兄さん」
「すぐにアジトに戻るぞ。緊急事態だ」
「え〜、もっとこのオモチャで遊びたかったのに〜」
肉塊をつんつんつつきながら頬を膨らませる。
「喜べ、もっといいオモチャで遊べるぞ」
「えー?ほんとにー?僕能力者相手じゃないと楽しめないよー」
「ついさっきεがやられた。まさかアレが真っ先に脱落するとは思わなかったが……。次のオモチャはその中尾をやった奴だ」
「あの人やられちゃったの〜?意外だな〜」
口角を上げつついてた肉塊を踏み潰す。
「ま、あの人を倒したんだから次のオモチャはもっと楽しめそうだね〜!僕楽しみ〜!」
「ああ。楽しみにしておけ。とにかく一旦戻るぞ」
「うんっ!分かった!」
無邪気な少年は屈託ない笑みを浮かべる。
「はは……恐ろしいな、全く。お前が負ける所は想像出来ないよ」
「僕は負けないよー?それに僕にはお兄さんがいるから!」
「はは……そうだな。さぁ、"五芒星"の力を見せつけてやれ」
二人の姿は人混みの街へと消えていった。
これから更新ペース戻せるよう頑張ります
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