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俺、ゾンビの能力で最強になります。  作者: 雨流 丁亜
第二章 俺、能力者と出会います。
14/30

第14話 神原生徒会長

「よく集まってくれたな皆の者!」

「一体どうしたんだ会長。昨日の今日で俺達を呼んで」

「せや!ウチだって昼は色々忙しいんやで?」

「会長……今日の杏仁豆腐……」


 俺達はあの後、夜も遅かったので連絡先を交換して解散という流れとなったのだがその後すぐに『明日の昼休み、屋上に集合!』って言ってきたものだから今こうやって集まってる。


「時間を取らせてすまない。ただ、チームの一員になったというのに私の能力も何も伝えてなかったからな」

「そういやそうやな。ウチの能力じゃ【剣士】って名前しか分からへんし」


 会長は持っていた木刀を振り上げつつ説明を始める。


「私の能力は別に木刀じゃなくてもいい……棒状の物ならシャーペンでも箸でも何でも大丈夫だ。こうやって振った時に当たった物を好きなように斬れる……そんな能力だ。見ていてくれ」


 持っていた紙屑を丸めて上に投げ、振り上げていた木刀で斬る。なるほど、見事に真っ二つだ。


「このように、軽い物重い物、柔らかい物から硬い物まで自由自在に斬ることが出来る。真っ二つだけじゃなく表面を薄く斬ったりする事も可能だ」

「……料理に使えそう」


 能力を見て冷静な感想を下す架純。

 ちなみに架純は能力の事や、俺や有栖が能力者だって事は知っていた。独自でSNSやネットやら色々調べていたらしく、そういう所は流石架純だなと改めて感じさせてくれた。


 そこまで知っているなら……と俺は俺の知っている情報を全て伝えた。ただ、能力者のバトルに巻き込まれると危ないから俺から離れて欲しい。そう伝えたのだが "……私はいつも紀行のそばに居たい。邪魔にはならないから……お願い" と強く言われ断りきれず今に至る。


 実の所、俺も架純がいないと寂しい。それに、こんな状況だからこそ架純が側にいてくれるだけで何故か安心するのだ。架純を危険に晒してしまう。それは分かっているが心の弱さがそれを許しているのだ。


 なら、せめて俺がこの身にかけて守らないと。それがこの弱い俺の義務だろう。


「んじゃ、俺らの能力も伝えておくか」

「………」

「有栖?」

「ん? あ、ああ!了解や」


 珍しく考え事でもしていたのだろうか。

 とりあえず俺達の知っている情報を架純と会長に伝えた。


「ほう、私が首を刎ねても死ななかったのはそういう理由か」

「飴好きになった理由が分かった……これからは肉料理いっぱい作ってくる……」

「ありがとな架純。なんだか肩の荷が少し軽くなった気がするよ」


 このまま隠し通す事も出来なかっただろうしこうやって言えた事は本当に良かった。特に俺はデメリットが大きすぎるから……ん?そういえば……


「おい有栖、会長、お前らの能力にデメリットってあるか?」

「ん?そういやウチはそこまであらへんなぁ。会長さんは?」

「私は無いな。少し斬りすぎてしまうのが玉に瑕といった所か」


 やっぱり俺の能力はハズレなんだろうな。デメリットもりもりの上に目立った能力はほぼ不死身と人間の限界を引き上げたのみ。能力ですら格差社会があるのかよ。


「ふむ……という事は紀行殿は基本体術で戦うという事で大丈夫か?」

「ああ、そうなるな。あー、俺もビームとか出したかったな〜」

「なら今日からウチの道場に来い!私のお爺様がみっちりしごいてくれるだろう。ビームなぞ無くてもかなり強くなれるはずだ」

「会長の……?」

「ああ。ちなみに能力者だ」

「はぁ……!?」


 ◇


 立派な塀!巨大な庭!家の中に池だけでは無く道場!何故か2軒建っている家!誰がこの家を豪邸と言うのに文句を言わせようか!

 これぞ豪邸、これぞ金持ち、これぞ神原家! なんと敷地は400坪!


 ……という事でなんとなく実況してみたがとりあえず凄さは分かってくれただろうか。この会長様はお金持ちなのである。親が何代も続く会社の社長であり会長もその会社を継ぐ予定らしい。こんなサイコパスで大丈夫なのか?


 そして今俺達はその家の中にある道場の入口にいる。

「紀行殿、お爺様がお待ちだ。早く入ってこい」

「わ、分かった……」

「なぁ紀行君、ウチこんな豪邸入った事無くて卒倒しそうなんやけど」

「……これが金持ち……毎日プリン食べ放題の世界……」


 俺も含めて既に雰囲気に飲まれそうになっているので1度気合いを入れ直す。なにせあの会長のお爺さんだ。間違い無く只者では無い。


「……会長のお爺さんもサイコパスだと思うか?」

「ウチはそう思う」

「……会長見てると……うん」


 満場一致。会う前からサイコパス認定されてしまった。お爺さん、すみません。


「行くぞ……心の準備をしろ」


 勢いよく扉を開ける。そこに待っていた光景は_____


「YO!お前らが琴音の言ってた奴らかYO!どいつがそのゾンビって奴なんだYO?」


 俺らの想定を遥か斜め上にぶっ飛んで来た。アロハシャツ。そして髪型がツーブロック……それでいてどこかの音楽番組の司会者みたいなサングラス。


「ワシが琴音のグランドファーザー、神原魔裟斗だYO!Year!」


 そしてこの口調である。このおじいちゃんにしてこの会長ありとはよく言ったものである。

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