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004 シュテール族の集落へ

「俺たちの集落はこっちだ」

 カダルが指し示した方角は、もちろん砂漠の中。


「砂漠を突っ切るんですよね。道がないですけど、大丈夫なんですか?」

「日の高さで、大体の位置は分かるんだ。夜に星が出ればもっと正確な方角がわかるしな」


「なるほど、そういうことですか。それと危険はないんですか?」

「危険? ああ、魔物のことを心配しているのか? それだったら、これがある」


 カダルが荷物の中から取りだしたのは、ランプのようなもの。

 だがランプとは違い、小さな穴がいくつかあいているだけで、およそ実用的とはいえない。


「これは何でしょうか。虫かごのようにも見えますが」

嫌魔香器けんまこうきといって、中に乾燥させたクヌラム草を入れて燃やすんだ。簡単な魔物避けになる」


「へえ……便利ですね」

「砂漠の魔物は、この匂いが漂うと逃げていくんだ。砂中にいるやつでも、じっとして出てこなくなるな」


「だったら安心ですね」

「ああ、砂漠を移動するのには必需品なんだが、クヌラム草は貴重でな。使うのは夜になってからだ」


 すかさず正司は『情報』で確認する。


 クヌラム草――砂漠に生える背丈の高い草。クヌラム草が生えている周囲には魔物はあまり寄ってこない。焼くと、簡単な魔物避けとなる。


 絶対に魔物が来ないわけではないらしい。

 嫌魔香器に鼻を近づけて匂いを嗅いでみたが、とくに匂いはしなかった。


「匂いませんね」

「まだ焚いてないぞ」


「それでも匂いが残ることもあるかと思ったのですが」

「そういうことか。魔物は嫌がるが、俺たちにはただの草だな。別段変な匂いがするわけじゃないんだ」


「だったらいいですね」

 魔物どころか、人も嫌がる匂いがしたら、それはそれで大変だ。


「日中は砂漠の魔物もあまり襲ってこない。暑さのせいか、積極的に動こうとしないんだ。だから夕方になってから焚くことにする。それまでは我慢してくれよ」


「貴重とか言っていましたしね。分かりました。私は問題ありませんよ」


 砂漠に棲息するような魔物だから、暑さには強いのだろうが、あえて日中に徘徊したいわけではないようだ。


「おまえはこれを被っておけ」

 カダルは娘のアライダに黒い布をすっぽりと被せた。日よけだろう。


 白い布の方が光を反射していいのではないかと思ったが、暑さ対策と同時に迷子にならないためもあるらしい。


「それにしても本当に助かった。裂け目の下で俺は、このまま死んでしまうと思ったからな」

「間に合って良かったです」


 クエストには制限時間は書かれていなかったが、いつまでも有効ということはないだろう。

 あと一日、いや半日遅れていたら手遅れになっていたと思う。


 地上にいるアライダはそれを知らない。

 父親が死亡していた場合、正司がそこへ向かっても、クエストが失敗になっていた可能性が高い。


 この世界はゲームのように見えるが、それはあくまでシステム上のことであり、ゲームと同じと考えるのは危険だ。

 正司はいま一度、そのことを頭に入れた。


「水を信奉する集落は二十くらいあると伺いましたが、どうして一カ所に集まって暮らさないのでしょうか?」


「暮らせないんだ。どこもかしこも水不足でな。大人数が押しかけたら、たちまち井戸が干上がってしまう」

「ああ、そういうことですか」


「昔はもっと大勢が暮らせる集落もあったんだが、段々と減っていってな。小さく別れていまの形になった。とにかく水の道がよく変わるんだ」

 十年から数十年の間で、徐々に水源の位置が変化しているらしい。


「水の道が変わるのですか、どうしてでしょうね」


「表層付近の水の道なんて、どこかで大雨が降ればすぐに変わるもんさ。井戸だって深く掘っていけば平気らしいが、砂地を掘るのは大変でな。俺たちはクヌラム草のある場所でしか住めないんだから、それを探して移動するだけだよ」


 クヌラム草が地中深くに根を張り、そこから水を吸い上げるらしく、広大な砂漠の中でも、クヌラム草があればその下に水の道があることが分かるらしい。


「そしてクヌラム草は魔物を寄せ付けない。よくできていますね」

「そういうこと。俺たちシュテール族がこの地で生きていられるのも、すべてこの草のおかげだ」


 それでも最近はどの集落も水源が涸れつつあって、満足な量のクヌラム草が手に入らないらしい。


「ですが、魔物避けの効果があるのでしたら、砂漠の民以外が採りに来たりしないんですか?」

「この砂漠にか?」


「ええ、そうです」

「ないんじゃないかな。他の土地でも似たような草はあるって話だし、わざわざ砂漠に来なくったって、現地で調達出来るだろう」


「なるほど。魔物避けはクヌラム草以外にもあるわけなんですね」


 正司はここでふたつの情報を得た。


 ひとつは、砂漠以外の場所があること。

 もうひとつは魔物避けになる草は形を変えて、ある程度いろんな所で生えているということである。


 もちろん、砂漠のクヌラム草のように貴重かもしれないが。


「涼しくなってきたな。一旦休憩して、あとは夜を通して歩けば朝には着くぞ」

「なるほど。夜の方が歩きやすそうですね」


「今夜は星が出るだろう。その方がより正確な位置も分かる。こういうときは夜に歩いた方が迷わなくていいんだ」


「その分、魔物の襲撃が心配なんですね」


「そう。魔物避けは効果はあるが、魔物に見つかったら襲いかかってくるから、万能じゃない。そのときは全力で逃げろよ」


 普通は先に匂いが届くので、魔物の方が逃げていくのだそうだ。

 だが、風向きなどでどうしても発見されることがある。


 そのときは、クヌラム草を燃やしていようが、躊躇なく襲ってくるという。


「魔物が現れたら私が倒しますよ」


「回復だけじゃなく、攻撃魔法も使えるのか?」

「そちらが主流ですので、問題ないと思います」


「それは大したものだ。やはり水盤が示したのはタダシなのかもしれん」


 正司の魔法は、カダルの知る魔法とは違うらしいが、カダル自身、魔法についてあまり詳しくない。

 ゆえにそんなこともあるのだろうと納得した。


 休憩中は身体を休めて疲れを抜くのと、水分と栄養の補給をする。

 カダルが水筒と干からびた虫のようなものを取り出したとき、正司は嫌な予感を覚えた。


「これを食うといい。気分が高揚して眠気が吹っ飛ぶ」

 足が十本あるのを見て、正司がサソリの変種かと思っていると、カダルは娘のアライダにそれを手渡す。


 アライダは何の葛藤も無くそれを受け取って口にくわえたので、日常のことだと分かる。

 だが正司は受け付けなかった。


「私は自前のものがありますので、それは結構です」


「そうか? だったらとっておきだが、これはどうだ?」


 次にカダルが差し出したものは、巨大なザザ虫を天日干したように見えた。

 さっきよりも受け付けない外見をしている。


「……イエ、ケッコウデス」


 何も食べるものがなくなっても、それを口に入れることはないだろうと正司は思った。


 虫食は日本人である正司にとって、絶対になじめない食文化である。

 正司は保管庫から調理した魔物の肉を取り出した。


 焼きたて――つまり料理したてで、まだ湯気が立ち上っている。

「おい、それはどっから出したんだ? つか、温かいのか?」


「これも私の魔法の一種ですかね。おひとつどうですか? 魔物の肉に岩塩を振って焼いただけですけど、干した虫よりかは美味しいと思います」


 森の中で調味料は塩しか見つからなかった。

 野性味溢れる石焼きの焼き肉に塩を振ったものである。


 だが、グレードの高い肉は滋養強壮になると『情報』には書いてあったので、正司はそれを毎日食べていた。


「魔物の肉か。贅沢品だな。もらってもいいのか?」

「ええ、まだありますので、アライダさんもどうぞ」


 正司が木串に刺したものを二人に差し出す。

 アライダは一度父親の方を見てから、一口囓った。


「!? タダシおじさん、これ美味しい!」

「そうですか。いっぱいありますから、おかわりが欲しかったら言ってください」


「本当にうめえな。これは何の肉だ?」

「えっと……リンブルボアと表示されていますね」


「「ブフォォ……」」

「なんですか、汚い」


「お、おまっ……リンブルボアだと!?」

「タダシおじさん、わたし、食べちゃった」


「えっと、そう書いてありますけど、何か問題でも?」


 スキルで調べたのだから間違いないし、ドロップ品だから食用にして問題ないと正司は思っていたのだが、違ったのだろうか。


 そんなことを考えていると、カダルが顔を近づけてきた。


「それG4の肉だろ。なんでそんな高級品を持っているんだ?」


「えっ、森で狩ったんですよ。いつ狩ったのかは覚えていないのですけど」


「…………」

 カダルが唖然とした表情で正司を凝視する。

 アライダはカタカタカタと震えている。


「あのね、G4の魔物を狩れる人は、う、うちの集落にはいないんだよ。余所の集落でもいないと思う」


「へえ、そうなんだ。大変だね」


「おまえ……絶対分かってないだろ」

 カダルが言うには、魔物の中でもG4から上は別物。


 G3でも複数の集団で狩るのが普通で、G4以上になると物理攻撃にかなり強い耐性を持っているため、魔道士を入れないと圧倒的に攻撃力が足らないのだという。


「つまり普通に狩るのならばG3までで、G4とG5は魔道士が必須。ただし、それでも攻撃力不足になることがあると、そういうことですか」


「ぶっちゃけるとそういうことだ。だが、そういう風に言われると、魔道士を連れてくれば倒せるような言い方に聞こえるぞ」


「えっ? 倒すのに魔道士が必要なんですよね」


「そんなにホイホイ魔道士がいてたまるか。そこらへんにゴロゴロ転がっていたら怖いわ」


 どうやら、倒せる魔物のグレードによって、呼び名が変わるらしい。

 明確な基準がなく自己申告になるが、それでもおおよその強さが分かるのだという。

 この世界では、狩れる魔物のグレードで呼び名を変える方が便利なのだろう。


 G1で魔術使い、G2で魔法使い、G3で魔道使いと呼ばれるらしい。

 呼び名が魔術、魔法、魔道と上がっている。


 そしてG4、G5の魔物を倒すのが魔道士で、魔法系最高の称号となる。

 なぜここに区別がないかというと、凄すぎて一緒だからだという。


「そういえばはじめて会ったとき、普通に私を魔道士と呼んでいませんでした?」


「あんなに凄い魔法を使うのは魔道士以外にありえんわ」

「なるほど」


 そして砂漠の民の集落では、攻撃魔法を使える人数も少なく、魔道士と呼べる者はいない。

 つまり、G4以上の魔物は狩ることができないのだという。


「この肉……すげー、旨いんだよ。G4の肉ってのは、こんなに旨いもんなんだな。高値で取り引きされるのも頷けるわ」


 どうやら魔物の肉や皮は売れるらしい。

 そしてグレードが高くなればなるほど、高値で売れるようだ。


 アライダが「こんな高級なお肉、代価を払えない」と震えていたので、無料でいいんだと三回も念押しすることになった。


「いくらおいしいと言っても、魔物の肉ですよ」


「魔物の肉は希少だからな。食べると体力が回復したり、魔力が回復したりするだろ。それにグレードが高ければ高いほど、回復力があがる。それだけじゃなく、G4とかG5の肉は僅かだが、身体が頑強になったり、早く走れるようになったりと凄い効果がつくんだ。高値で取り引きされるのも頷けるってものさ」


「なるほど。だとすると、コインなんかは相当高値で売れるんでしょうね」

 正司はいまコインを持っていない。


 あれは自身を強化できるので、売らずに自分で使用したいところだが、金が必要な場合に備えて、一枚か二枚くらい手元に残しておきたいと考えていた。


「コインなんか値が付かねえよ。少なくともそのへんの商店では売ってねえから、売る奴と買う奴がどっかに集まって取り引きするんじゃないのか」


「なるほど、オークションとかですかね。たしかにあれは滅多にドロップしませんからね」


 あれだけG5の魔物を倒しても一枚しか出なかった。

 その希少性から考えれば、市場に出回ることはないのかもしれない。


「なんか、見たことあるような言い方だな」

「ありますよ。このまえ運良くドロップしたんですよ」


「マジかよ。さすがは魔道士さまだな」

「タダシおじさんって……いえ、魔道士さまって、ものすごく強い?」


 アライダがおずおずと聞いてきた。

「さて、私は人と強さを比べたことはないですから」


 人と比べたことがない――これは正司が言ってみたいセリフのベスト5に入る。


「G5を倒せるんだったら、死ぬほど強いんだろうな」

「確かに倒せますが、どうなんでしょうね」


 戦闘経験キャリアだけで言えば、まだ数週間分。

 それで「強い」と言っていいのか分からない正司であった。




「何か来る!」

 アライダが叫んだ。

「まだ燃やしてなかったわ」


 時刻は夕方で、いまは休憩中。

 出発する前にクヌラム草に火を付ける予定であったカダルは、失策を悟った。

 そろそろ魔物が活動をはじめてもいい頃合いだ。


「前方から来ましたね」

「あれは……ヘラトンスケル、G3の魔物だ。足が速い」


「でしたら倒しましょう」

 砂漠だから弱点は水かなと正司は思い、ウォーターカッターを念じる。


 ヘラトンスケルは足の長い芋虫のように見える。

 それがウォーターカッターで真っ二つに斬り裂かれた。


「えっ……」

「あっ……」


 逃げだそうとカダルとアライダが腰を浮かせたところで、ヘラトンスケルは消滅した。死んだのである。


「終わりましたよ」

「…………」

「…………」


「あれ? どうしました」

「…………すげーっ!」

「タダシおじさん、今のなに?」


「いまのはウォーターカッターと言って、水の刃ですね。砂漠の魔物なので、水が弱点かと思って使ってみました」


「これが魔道士様の戦い方か。あの威力じゃ弱点とか関係ねえ……なんかもう、驚きすぎて、声がでねえよ」


 もしカダルたちがG3のヘラトンスケルを倒そうと思ったら、十人以上で囲み、少しずつ身体にダメージを与えていく方法を採る。


 十人で囲んでも、こちらが無傷で倒せるかは分からない。


 ギリギリの戦いをしてなんとか倒せるといった感じだ。

 それを正司は右の物を左に動かすくらいの感覚で倒してしまった。


 これが一般の魔道士の実力かと、カダルは大いに驚くのであった。


 後年、集落にやってきた魔道士をみて、カダルは激しくガッカリするのだが、それはまた別の話。


 カダルもアライダも、正司が一般的な魔道士の実力と勘違いしてしまった。

 いや、正司自身もである。


「ではそろそろ出発しましょうか」

「ああ……それで魔道士様」


「えっと、なんでしょう」

「クヌラム草に火をつけなくて良いのかな?」


「そうですね。魔物が出たら私が狩りましょうか」

「よろしくたのむわ」

「タダシおじさん、すごーい」


 翌朝、集落に到着するまで魔物の襲撃が五回あった。

 魔物が近づく前に、正司が一瞬でカタをつけてしまったので、被害はもちろんない。




 正司の到着は歓迎され、仮宿舎として空いている一軒家が与えられた。

 夜通し歩いたことと、久し振りに寝台の上で寝られることに気を許した正司は、横になるや、すぐに寝入ってしまった。


 一方、カダルは森でのいきさつを皆に話すことになったが、事前に正司と取り決めていたことを守り、必要以上のことは話さなかった。


 集落の住民には、正司は凶獣の森で修業している魔道使いであると説明した。

 魔道士ではない。その下の魔道使いである。


 いくら魔道使いだからといって、単独で凶獣の森へ行くなど説明としては甚だおかしいのだが、カダルの「それ以上聞くな」という態度に、何か事情があるのだろうと思われて、深く聞かれることはなかった。


「ふわぁああ……よく寝ました」


 夕方になる前に目を覚ました正司だが、身体には多少の倦怠感が残っていた。


「睡眠は足りているはずですし……あれですかね」


 森の中では気にしなかったが、こうやって人の住む場所に来たことで、違和感がハッキリと分かってしまった。


(疲れがとれない……)


 柔らかい寝台で十分の睡眠を取ったとしても、身体の芯に残るけだるさは、払拭されていなかった。

 そして、正司は自分のステータスでひとつ気になることがあった。


  心体傷病弱:腰痛、偏頭痛、内臓疾患(重度)


 いつの頃か、正司のステータスにはそれが追加されていた。


(内臓疾患の『重度』ってことは、病気が進行しているってことですよね)


 はじめて検診に引っかかったのは一年前。

 そのときは血液検査で、いくつかの数値が高いという指摘だった。


 その後、「精密検査を受けなきゃ、でも面倒だな」と思いつつ、一年間過ごしてしまった。

 そして最近の検査で、『要再検査』という紙に「至急」で朱字で書かれてた。


 この世界に来る二日前である。

 一年前の数値は覚えていないが、今回はそれよりかなり上がっていたのだろう。


 前回は高値を表すHの記号が三つだったのに対し、今回は五つに増えていた。


(肝臓か腎臓ですかね)


 最近、尿の出が悪いと感じていた。

 身体の奥にも鈍い痛みがある。


 慢性的にダルいが、それは年齢のわりに運動をしていないせいだと勝手に思っていた。

 そしてこの世界に来ても、症状は変わらない。


(治癒魔法を取ってみましょう)

 スキルを取得しないと情報に載らず、効果が分からない。


 いま貢献値は1しかないため冒険はできないが、このままでいいわけがない。

(いつかは取らないと駄目ですし、いいですよね)


 貢献値を溜めるには、クエストを受ければいい。

 まずはスキルを取って検証しようと、正司は治癒魔法を取得した。


 治癒魔法――病気や毒など、身体の異常な状態を健康に回復させる。


「やった。合っていました!」


 残り貢献値はゼロに戻ったが、取得したスキルが正解であることが分かった。


「よしこれを使って……」

 病気よ治れと念じる。


 魔力が使われた感覚があった。

 目を閉じていたので、身体が光ったりしても気付かないが、どうせステータスを見れば分かるのである。


  心体傷病弱:腰痛、内臓疾患(重度)


「……駄目ですか! いや、偏頭痛が消えているってことは、効果があったわけですよね」

 スキルの段階を上げれば、完治する希望が持てた。


「よし、クエストです」

 正司は寝台を飛び出して、人が集まっている方へ向かった。


「おう、タダシ。起きたのか」


「カダルさんはもしかして、ずっと起きていたんですか?」

 目をしょぼしょぼさせて、いかにも眠そうなカダルがいた。


「おう、大丈夫だ。少し眠いけどな」


 少しどころではなくかなり眠そうだが、そこは突っ込まないでおいた。

 正司が寝ている間にやることがあったのだろう。


「少し集落の中を見て回っても平気ですか?」


「自由に見ていいと思うぞ。タダシはシュテール語も話せるし、問題ないだろ」

「分かりました。行ってきます」


 まずはマップの灰色を埋めようと、自由きままに歩き回る。


 人は緑色の丸で表示されるので、赤丸の魔物やピンク丸の動物と簡単に区別できる。

(クエストは黄色の三角形が表示されたはずです……どこかにそんな人、いないですかね)


 村の半分ほどをマップに埋めたとき、ようやく念願の黄色い三角を発見した。

 クエストをくれる人物である。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 夜の砂漠、氷点下行くと思うんですけど。
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