3話:ユウの秘密(地味にバレる)……『12/9に修正しました』
12月9日に修正しました。
その後、訓練も終わり昼休みとなった。この学園での昼食は、弁当を持参するか学園内にある食堂で注文して食べるかのどちらかだ。
弁当を持ってきてる筈もないので、俺はユウと共に食堂に行くことにした。食堂内は生徒の数もそれなりに多いのでかなり広く造られている、テーブルは一つに4人まで座れるようだ。
そして、食堂の中は一言で言うと物凄く混雑していた。
テーブルも簡単に見た感じでは空いてる様子はないが探せば幾つかはあるだろう。
「さっさと空いてるテーブルを探して昼食を食べないとな……」
「そうだな、急がないと昼休みも終わっちまう」
俺達がそんな会話をしながら辺りを見回していると何処からか知っている声に呼ばれた。
「あっ、ウィンとユウだ! こっち来て一緒に食べよー!」
呼ばれた方を見てみるとアリスともう一人の女子生徒が座っていた。どうやら二人で食べていたらしい、他にテーブルも空いてないようなのでちょうど良いだろう。
「そうだな、他に席も空いてないし頼む……。ユウもここでいいよな」
「ん……ベツにダイジョブダゾ」
返事はしたが、ユウの様子が明らかにおかしい。微妙に片言になっていて、顔を青ざめて冷や汗をかいている。ユウが見ている方向を見みると、アリスと一緒に食事をしているもう一人の女の子を見ていた。
「ユウ、知り合いなのか……?」
「ああ、ソンナトコダヨ」
うん、明らかに様子が変だな。まるで何かを隠そうとしているように見える、というか絶対に何かを隠そうとしている。
そんなことを考えているうちにセレナさんは口を開き自己紹介をし始めた。
「こんにちは、ユウ様。そちらの貴方は初めましてですね。私は、セレナ・アリエルといいます。ユウ様とは、いぃ……」
何かを言いかけた瞬間、ユウが突然セレナさんの口を抑えた。いい? いいって何だ。
「セレナ、変なこと口走らないでくれ。それと何か言いかけたことはウィン達も気にしないでくれ」
まあ、誰にでも知られたくない事の1つや2つあるか。俺にだって秘密はあるしな……本当に誰にも言えないような。
「ああ、分かった。初めまして、俺はウィン・アルストという……よろしく……」
「はい、よろしくお願いしますね。それとユウ様、別に私達の関係が周りに広まっても良いじゃないですか」
セレナさんは満面の笑みでユウにそう告げた。「私達の関係」ということは、おそらく想像通りのことだろう。
ただの知り合いや友人と思えないくらいユウに熱い視線を贈ってるしな。
「いや、お前が良くても俺が良くない。誰ともそんな関係になったりしないから俺達のことも秘密にしててくれ……」
やはり、そういう事だろう。そういった事はユウ達のことなので、あまり詮索はしないほうがいいだろう。
なんて考えていると……
「えー! なになに! 二人はどんな関係なの!」
一人だけ空気を読まないのがいた……普通、聞くか。どんだけ好奇心旺盛なんだアリスは。それと埃がたつから食事の場で跳び跳ねるなよ。
まあ、ここはユウの為にもアリス止めとくか。
「いや、アリス。それは二人の秘密らしいからあまり深くは聞かない方がいいと思うぞ……」
「いえ、私は別にいいですよ」
セレナさんは別にいいらしい。それどころか言いたくてウズウズしてるようにも見える。セレナさんは秘密とか絶対に守れないタイプだな。
そして、一方ユウの方は……
「いや、やめろセレナ! 頼むから絶対に言わないでくれ!」
お察しの通り、凄い必死になってセレナさんを説得しようとしていた。だが、そんな願いも虚しく、セレナさんに全てバラされてしまったのだった。
「私とユウ様は………実は許嫁なんですよ」
セレナさんはそう相も変わらず、満面の笑みで俺とアリスに告げるのだった。同時にユウは燃え尽きるという形で……
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やはり、そういうことか。それはユウも周りに知られたくないだろう。そして、燃え尽きたユウはと言うと……
「ああ……バレちまったよ……よりにもよってアリスに」
なにやら、下を向いて絶望に浸っていた。まあ、これからを考えれば当然か。
「ちょ、それどういう意味なのさ!
でも、2人ってそういう関係だったんだ!」
やはり、アリスは相変わらずのテンションだった。いや、さっきより若干テンション上がってるようにも見えるな。
「まあ、ユウ。お前とセレナさんがどんな関係でも俺達は気にしないから、お前も心配するな……」
「ありがとなウィン! それと、この事はクラスの……特に男連中には内緒で頼む」
「ああ、分かっている……この事は誰にも言わない……」
そんなこんなで昼食も食べ終わった。この話は俺達の中では秘密にするとなったが暴露した場所が悪かった。
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教室に戻ると……
「ユウ、どういうことだ!? あのセレナさんと許嫁だって!?」
「おいおい、俺達は仲間じゃなかったのかよ!?」
「キャー! あのセレナ様とユウ様が許嫁だってー!」
男子は振られた後の様な状態の奴等と、ユウに質問攻めにしているのがいた。女子は別の理由で凄い騒いでいる。後に、なぜ広まったか聞いてみると至極単純だった。食堂で近くのテーブルに居た生徒達に聞こえていたらしい。
そりゃ、ユウがあんなに必死になって騒いでいたからな。なんて考えていると……
「頼む、ウィン! 助けてくれ!」
ユウが助けを求めてきた。周りには嫉妬に燃える生徒などが大量にいる。それに対し俺は……
「まあ、人の噂も七十五日なんて言葉もあるしな。とにかく頑張れ……」
「そっ、そんなー!」
そうやって騒がしくしていると、午後のチャイムがなり先生が入ってきた。その後も、ユウは沢山の人々(主に男子)に放課後まで囲まれ質問され続けていた。
ユウも大変だな……




