プロローグ:勇者……
これは自分が初めて書いたものの改稿版です!
「異世界召喚されたからチートで城から追い出されてみた!」と同時進行で書いてくつもりです!
それとプロローグでは主人公は一言も話さないのであらかじめご了承下さい!
そこには一人の少年がいた。彼は幼い頃から村の人々に恐れられた。
家族もそうだった。村の皆からは……
「この化け物が!」
「近寄るな悪魔め!」
そう言われ続けた……。そして、彼は生きる希望を徐々に失い世界に絶望していった。人を信用出来なくなったのだ。
そして、彼は思った。なぜ自分はこんな力をもつのか、なぜ自分だったのか。
それから1年後、彼は城に呼ばれた。この国の国王に。
「君には魔王を倒す力がある、その力をこの国の為に使って欲しい」
と言われたのだが、始めは何を言われているか理解出来なかった。だがすぐに分かった。
そう、村の皆から恐れられたこの力のことだと。少年はこの力は何なのか、なぜ必要とするのか、なぜ自分がこんな力を得たのかを聞いた。
「その力は勇者の力だ、その力があれば世界を滅ぼそうとしている魔王を倒せる。君には生まれた時からその力があった、なぜ得たのかは分からない」
と言われたので彼は、魔王を倒したらどうなるのか、自分にとってなにか得することはあるのか聞いた。
「魔王を倒せばこの国……いや、この世界が救われるだろう。もし魔王を倒してくれるのならば報酬は幾らでもやろう。地位や名誉も与える、その後の人生は自由に暮らすといい」
と彼は言われた。彼はこの国の為に力を使うにはどうすれば良いのかを聞いた。
「それは、魔王を倒すことだ。魔王を倒せば世界は救われ平和が訪れる。だから君には魔王を倒す旅に出てもらう。だが、いきなり旅に出ろと言われても戦いの術を知らなければ意味がない。君には数ヶ月の間で戦い方を身に付けてもらう」
そして、彼は静かに頷き返事をした。その瞳には信念のようなものが芽生えていた。
「では、最後に村に挨拶をしにいっても良いがどうする?」
彼は、村には戻らない。その代わり城の方で伝えて貰うように頼んだ。
「分かった、その頼み確かに了承した。これから先、そなたには苦労をかける……実に申し訳ない」
国王は彼の村での生活を知っていたので無理に帰らすことはなかった。
そして彼は、一ヶ月で武器の使い方を完璧に修得た。その一ヶ月後には体術を修得し、その三ヶ月後には教えられた魔法を全て覚えた。
彼は、その時に戦いを教えてくれた先生とも言える二人と共に魔王を倒す旅に出た。
その時、彼はまだ七歳だった。
彼の仲間となった二人は思った。『自分達がこの子を守ってみせると』と。だが、その必要は無かった。
彼は、その二人より遥かに強くなっていた。どんな敵が来ようともほぼ一人で戦い続けた。
その結果、彼は十五歳という若さでで魔王を倒した。僅か八年で倒したのだ魔王を……
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彼は城に戻ってきた。
そんな彼に国王はこう言った。
「よくぞ魔王を倒し世界を救ってくれた。ワシからは感謝してもしきれぬ。そなたらに褒美を与えよう、遠慮せず申してみよ」
共に戦った二人はこう言った。
「自分の願いは……騎士団の教官になり騎士達や兵達をより強く鍛え上げることです」
そう騎士の男は答えた。
「私の願いは……魔術を多くの人々に教えることです」
そう魔術師の女は答えた。
「分かった、その願い聞き入れよう。だが、ワシとしてはまだ足りぬ。更に報酬として金貨五千枚を与える。さて勇者よ、そなたは何を望む?」
そう聞かれた彼は、自分は何もいらないと答えた。その返答に周囲の者は目を見開き驚愕した。
「その願い聞き届けよう。だが、せめて二人と同じく金貨五千枚は受け取ってもらう」
その後、色々言われた末に納得した彼は報酬を受け取った。
「少し勇者に話がある。そこの二人は下がって良い」
国王に言われ二人は広間から出た。
国王は彼に対してこう告げた。
「来月、学園の入学式があるのは知っおるか?」
彼は黙って頷いた。その学園は王国だけでなく世界中で有名となっている学園だ。
「いきなりで悪いのだが……君にはそこに通って欲しい」
彼は、少し考えた。そして、考えた末に彼は『分かった』と返事をした。
その瞬間から彼は勇者としてではなく、普通の生徒として通うことになった。
「名前はどうするか、偽名を使うか?」
悩んだ末に彼は、偽名を使うことにした。
魔王を倒した英雄『ウォル・グラム』ではなく。学園の生徒『ウィン・アルスト』として学園に通うことになった。
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彼が魔王を倒し城へと戻ってきたとき、国王は気付いた。城に戻ってきた彼に元気というものはなく、生きる希望を失い、世界そのものに絶望していることを……
国王は考えた。勇者に希望をもたせる方法を。
そして、思い出した。来月に学園の入学式があるということを。
勇者はたしか十五歳になっている。学園の入学条件の一つが十五歳からなので、今年から入学することが出来る。国王は、彼に学園で友人や仲間を見つけ生きる希望を持って過ごしてもらおうと考え入学を勧めた。そして、意外にも受け入れてくれたらしい。
これから先は、学園で楽しく過ごしてもらおうと国王は思ったのだった。