表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
翼ある騎士団の伝説  作者: 葉月秋子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/15

13


 しばらくして、学院監督のマリオンがランタナと相談した。

「ハーミアンを奥向けの小間使いにしてはどうかしら。

 物静かでお年寄りの相手がうまいわ」

「そうですね、やせこけて力仕事には向きませんし、野良猫みたいだったのが嘘のようにおとなしくなってますからね。



「ミアン、お前は今日から小間使いに昇格だよ。

 それに着替えて南棟のヒルダさんの所へ行きなさい」


 渡されたのは黒い制服と、レースの縁取りをつけた白いエプロン。おそろいの白いリボン。黒い制服によく映える。

 掃除係から一足飛びにすごい出世だ。


「へえ、うまくやったわね」

「お年寄りに取り入ったんですって?残念、私が会っていれば」

「お嬢様がたのお目にも止まったし」

「もの知らずのミアンがねぇ、ご老人のお世話がお似合いかもよ」

「残念ね、お年寄り相手じゃ、貴公子に出会うチャンスは少ないわよ」

 カナまでが。

「もともとシャーリーン様のお引き立てがある子ですものね。

 コネがある子は違うんだわ」

 なに・・・それ・・・。

「カナ・・・」

「軽々しく呼ばないでよ!

 小間使いに昇格したって、うぬぼれんじゃないわよ!

 どうせ私たちは使用人、お貴族様にこき使われるばっかりなんだから!」


 昇進のかわりに仲間を失ったのだった。



 南棟のヒルダは上食堂、上厨房、大広間の宴会までを仕切る白髪の女性。

 ふくよかな体に大きな白いエプロンをした厨房の親分だ。

 子分のたくさんの料理人を指揮して、館の人々の食を一手に引き受けている。


「あんたがミアンかい?

 まだちっこいが見場はいいね。

 お茶の係りが良いだろう。

 教師がたのお好みは難しい。しっかり覚えるんだよ」


 まずは先輩についてお茶の入れ方、お菓子の出し方、お客様への応対の特訓だ。

 下食堂の頑丈なしろめの皿や陶器の杯と違い、磨きたてた銀器や繊細な磁器の茶碗は取り扱いが難しい。

 出し方にもいろいろな作法がある。

 午前と午後のお茶の支度、学院の教師たち十数名それぞれ好みのお茶を覚え、広間の会議、応接室での接待とお盆を持って走り回り、クロスやナプキンは少しでも染みがあったら取り替えて、洗濯に出して受け取って、夜は銀器の山を磨く。

 力仕事は少ないものの、細かな雑用は山とある。


 大きな盆をかかげる先輩の後から、お茶菓子をかかげてついて行く毎日が始まった。

 見事な銀器や飾りだらけの陶器の鉢は、少女の腕にはけっこうな重さだ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ