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翼ある騎士団の伝説  作者: 葉月秋子


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 数日後。


「ミアンっていったわね。

 この荷物を西翼まで持っていってちょうだい」

「あなたミアンでしょ、この手紙を騎士様の詰め所に届けて」


 西翼に行く用事がやたらと多い。


 オニのあの人に会いたくないのに。仲間に言っても、うらやましがられるだけ。

「いいじゃない、ゲイル様やカイト様に会えるかもしれないんだから」

「代わりに行ってもらえませんか」

「あんた名指しで頼まれたんでしょ、やーよ」

「お嬢様たちに名前で呼ばれるなんて、すごいじゃない」

「そのうちどなたかが小間使いにしたいなんておっしゃるわよ」


 なんだか、やさしかったみんなの態度がおかしい。


「でしゃばるんじゃないわよ、新入りのくせに」

「目立ちたがって、嫌な子」


 そこで、山のように荷物をかかえ、一人で西翼に通う羽目になる。

 両手で山ほど持っていたのに。

「あ、ミアンね。このクッションもお願い」

 ぱふんと上に乗せられて

(まっ・・・前が見えないー・・・)

 西翼の大階段をふらふらしながら上るミアンだった。



 ハルシオンは階段の上で立ち止まってしまった。

 こんなに広い建物だぞ。

 何でこんなに何度も、あの子に出会う羽目になるんだ?

 いちいち避けていたらきりがない。だいたい守護の騎士があんな子供を避けて逃げ回ってどうする。

 無視しよう。無視だ。無視。


 知らぬふりをして階段を降りて行ったが・・・上がって来る荷物の山がぴたりと止まる。

 そのまま、かたかた震えだした。


 しっかり気がついているなぁ・・・。

(無視、無視・・・)


 素知らぬふりをして、震える荷物の山とすれ違う。

(よし!)

 ほっと一息ついた途端。


「わっ!」

 あろうことか、緊張したハルシオンの方が段を踏み外した。


「きゃっ!」

 荷物の山は飛び上がり、階下にクッションや贈り物の雨を降らせたのだった。



 騎士の詰め所への、一般人の立ち入り禁止。

 騎士への手紙、贈り物、付け届け禁止。

 きっぱり申し渡され、がっかりした学院生と子女たちだった。

「ねえ、なんか違うんじゃない?」

「親の仇だって」

「誰よ、隠し子なんて言ったの」

「しーらないっと」



 少女たちが納得しても、広まった噂は止まらない。

 新国王ミカイル一世は、ハルシオンと歳が近い。

 即位前は同期の騎士見習い、共に稽古した若者同士、気楽にしゃべる仲だった。



「そなた、娘がいるそうだな、ハルシオン」

「はあっ??」

「認知してやっていないのか?

 娘たちの話し相手に、宮廷に呼んでやってもよいのだぞ」

「だーれーがー、そんなばかげた噂をお耳に入れましたかーーー?」



 その時のハルシオン殿の険悪な顔ときたら、と、あとで小姓が語ったのだった。

「国王陛下に向かって雷を落とされるかと思いました」


 国王陛下のお耳にまで、くだらぬ噂が届いてしまったとマリオンに聞いて、シャーリーンは頭をかかえた。

「ハルシオンの名を、後見から外してください。

 とんでもない誤解のもとになるわ」



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