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2日目・登場人物紹介

☆フェゴール

 2日目になって、卑怯臭いスキルのいくつかを出してきたので、公開。

 ①「気配遮断」

 ・集中した状態で、中腰の姿勢で移動を始めると自動的にこのスキルが発動する。

 ・よほど勘のいい「気配感知」に遭遇しない限り、たとえ見た目が素っ裸であろうとも、ウンコを漏らして異臭を周りに撒き散らしていようとも、誰も気づくことがない。

 ・一見、とても優れているスキルであるが、中腰の姿勢を維持するのは難しく、腰痛予防に努めているフェゴールは、1度の発動に対し、せいぜい15分程度しか使用しない。

 ②「毒手どくしゅ

 ・モナの生い立ちから発想を得て、実用レベルにまでこぎつけた。一般的に良く知られている、焼けた砂と毒に腕を交互に漬けて……という作成法ではないが。

 ・触れたモノを溶かし、内部に直接、様々な猛毒を付与する攻撃手段。

 ・こと人体においてこの方法は、肌を溶かし、筋肉を溶かし、骨を溶かし、心臓を溶かすという時点で、毒を付与する以前に対象者がこと切れている状態が普通だが、それでもなお生きていたテツは人外扱いされても仕方がないレベルである。

 ・欠点は、毒を中和する才能。

 ③「特性消去」

 ・敵対する相手の優れた才能を一つだけ消すスキル。

 ・例えば、生まれながら「膨大な魔力」で「無詠唱」で魔法を使える「イケメン」がいて、このスキルが発動し、彼が失ったのが「膨大な魔力」だとしたら、無詠唱には気を付けないといけないものの、魔力容量に上限が出来たことにより、ガス欠が発生するわけで、それまでの脅威が幾分か緩和する……といった塩梅。

 ④「瞬間分析」

 ・フェゴールがどんな状況下にあっても決してサングラスを外すことはないが、その理由になるのが、サングラスで隠している機械の眼である。わずかな魔力を流すことで作動するその眼は、目に触れたモノの雑多な情報の中から、本人が望む情報だけを瞬時にピックアップし、状況判断の一助となっている。

 ・盗難防止のため、眼球は機械女神の祝福と作成したエルフが教えたエルフ語による秘密のパスワードが無ければ、設定以上の魔力が込められた時点で、瞬時に設定以上の魔力を爆発力に変換し、実行するというドッキリ仕様である。


☆怠惰を司る魔王・ベルフェゴール

 フェゴールの本気の姿。といっても、胡散臭い中年のおっさんが、おでこに2本のヤギの角を生やしたよぼよぼした老人に変わるだけだが。

 吸えば、たちどころに呼吸困難になる「淀んだ空気」を周囲にまとわらせている。

 他にもいくつか、人間形態以上にチートなスキルの数々があるが、割愛。

 チートスキルで身を護る理由は、人間形態以上に打たれ弱いため。


★ウィン

 フェゴールの健康を維持するのが仕事の女医エルフ。

 フェゴールとはまた別の異世界の出身。勇者の彼氏がいた。

 捨てられて傷心していたところを、フェゴールに懐柔され、パートナーズの一員に。

 朝っぱらからのアフンアフン行為が原因で、妊娠した。

 生まれてくる子が、のちのシュナイダー。



◎ジュドー

 エメラルド・シティの裏組織にして、最大勢力「虎の会」を率いるタイガーの右腕。

 ぼさぼさのアフロに安っぽいスーツを着た、しまりのない表の顔と、捕食動物が生け捕りにした獲物を見定めるかのような一切の慈悲が期待できない裏の顔を使い分ける。

 実力を垣間見るチャンスを得た人物が少なすぎることから、近年参入したばかりの若い連中を中心に、ジュドーを侮る声も聞こえてくるが、不満を漏らす連中が翌日には永久に姿を消す事件をきっかけに、表だって彼を批判することはなくなった。

 そんなジュドーの本当の姿とは、ナノマシンによる無理やりな肉体強化からくる激しい痛みと各種違法薬物による洗脳を耐え、生き延びた自我のある強化人間である。

 彼の肉体サンプルをもとに、ガロードやバイパーといった、精神が安定した状態の改良型強化人間が生まれてくるきっかけにもなっている。


◎マリア

 もとはジュドーの下でホームレスへの炊き出し、アイザックやカルメンとともに「ジュドー&マリア」の手伝いをしていた、エメラルド・シティの天使。

 「~~である」という口調が口癖。

 天然と言うべきか残念と言うべきかあまり考え事は苦手で、身体を動かすのは好きである。

 誰にでも屈託なく接するため、ときどき、エメラルド・シティの青春真っ盛りなボーイズがつい勘違いして、性欲の赴くままに飛びかかられることがままあるらしいが、鋲付きの革ジャンに隠れて上手く見えないでいるが、女にしては異様な筋肉を持った肩をしており、常人離れした投てきや素のパンチの威力が半端ないため、よくて返り討ち、悪くて息が止まることもままあるらしい。

 初対面にもかかわらず、出会う人物にニックネームをつけ、以降、その名で呼ぶ癖がある。

 わかりやすいものから難解なものまで多種多様である。

 現在、ジュドーとフェゴールだけそのままの名前で呼ばれている。


◎アイザック

 ジュドーの側近。筋骨隆々の大男。両目に機械で作られた義眼が特徴。

 格闘技も銃撃も得意。

 料理もアンドレによって鍛えられ、「ジュドー&マリア」で出しても恥ずかしくない腕前を得た。


◎カルメン

 ジュドーの側近。陽気な音楽が似合いそうな褐色美人。素人目には判断できないが、両手両足に精巧な技術力でつくられた義手義足をはめている。

 普段は、その愛想のいい笑顔を駆使した、大衆向け食堂「ジュドー&マリア」の接客と会計担当。

 格闘技や銃撃はそこそこだが、壁越しに存在する敵への感知力がずば抜けており、アイザックと組んだ状態なら、常に先制攻撃をとり、状況によっては場を制圧することも可能である。

 仮に戦いが思いのほか激しくて両手両足を失ったとしても、カルメンは絶望しない。

 カルメンにとって、両手両足がなくなった状態の方が、本来の戦い方を取り戻すきっかけとなる。普通の体格では隠れきれないような細い隙間に身を隠し、思いもしない方向から、口にくわえたナイフで的確に相手の喉を掻っ切るスキルは健在なのだから。


◎リュウ&リン

 ジュドーの部下。その昔、Z地区で細々と生き延びていたところをジュドーに拾われた。

 そのときの恩に報いるため、様々な雑務等を嫌な顔せず引き受けた結果、アイザックとカルメンが用事で不在になったときの「ジュドー&マリア」の代理店長&マネージャーと云う立場を得た。


◎厨房で包丁を握る野郎ども

 かつてリュウが率いていたチンピラの集団。リュウたちとセットで拾われた。

 今では、ときどき味見をしにやってくるアンドレ師匠に認められるべく味の研鑽を欠かさない職人集団となっている。骨と皮だけだった昔と違い、アンドレの影響か、皆、筋骨隆々である。そして、一般人クラスなら間違いなくションベン漏らすレベルのいかつい顔になった。


◎テツ

 生ける伝説・吸血鬼ガロードが有名になる前までは殺し屋業界にて名を馳せた「三バカトリオ」の一人。

 元々はエメラルド・シティとは別の世界を生きていた按摩師だったが、生来の怪力が怪力過ぎたことにより手加減が出来ず、患者を何人か殺してしまい、表の世界では生きることが出来なくなった。なので、あっさりと裏稼業へと転身した。裏稼業は順調だったが、女好きが災いし、組織の親分の女と寝たことが原因で裏にも居場所がなくなり、にっちもさっちもいかず、生涯初の神頼みとばかりに神社へと足を運び、手持ちの小判を1両、お賽銭箱に入れて「どこか遠くへ逃げ延びれればいい」と願ったら、エメラルド・シティへとたどり着いた……という経緯がある。

 その際の異世界転移が原因なのか、彼は死に瀕したピンチの時に限り、異世界の門を開くことができる特殊能力に目覚め、普段の怪力・殺しの按摩技術とセットで駆使して、エメラルド・シティの裏稼業でも成功し、ジュドーやアンドレと知り合えた。

 彼はある時、ヘマをして、捕えられたことがある。

 彼の持つ異世界への門を開く能力を狙った科学者により、数々の尋問を受けた。その際に、科学者が用いた拷問用の数々の違法薬物がきっかけになったのか、再生能力に目覚めた。

 テツが人外の仲間入りをした瞬間である。


◎モニカ

 元はクメン国の僻地にある過疎村の出身である。

 魔女の力を有し、その証である顔のタトゥーが目印なのだが、過疎村に来た都会の男にだまされて、タトゥーを消し(もっとも手術はあまりうまく行かず青いあざが残ったが)、魔女の力を用いて、男の立身出世に一役買った。だが、立場と権力を得た男は一転して、それまでの感謝を忘れ、口封じに動いた。

 表向きは今までのお世話になったお礼としてのエメラルド・シティ小旅行。だが、彼女の乗った飛行機はエメラルド・シティで一番治安が最悪な場所として知られるZ地区へ墜落するよう仕組まれており、墜落で死んでも仮に生き延びても簡単に助けが来ないようになっていた。

 だが、何の因果であろうか。「墜落した飛行機に積まれている1億ギルダン」という根も葉もない噂に引き寄せられた数々の命知らずのうち、特にタフで知られたジョン・バイパー・プレストンとの出会いを通して、Z地区から逃れられ、今は街外れのさびれた修道院にて目立たない生活を送れるようになっていた。

 もちろん、そこに至るまでの過程は苛烈で残酷だったが、その辺は「エメラルド・シティの三人」に詳しく書かれているので、一読を強くお勧めする。


◎ジョン・バイパー・プレストン

 元は凶暴凶悪な強化人間として悪名が轟いていた、手の付けられない荒くれ者だった。

 ある日、彼はその悪名を利用した大陸の連中と取引をし、自由を得る代わりにエメラルド・シティへと赴き、ある特殊任務をこなすことを命じられた。

 だが、この犯罪者天国の無法都市にて出会った様々なきっかけを境に、ジョンの横暴さは鳴りを潜め、ある人物の影響から、手を取り合うことを覚え、そして、ついには特殊任務のことなど放り投げて、モニカたちとともに修道院にて生活する道を選んだ。

 彼には、自分が認めない相手には「バイパーと呼べ」という口癖がある。


◎ビリー・チェンバース

 大陸がらみの命令を受け、ジョンの周りを嗅ぎつけていた優男。

 ひょんなことをきっかけに、マリアとともに行動し、苦難を共にした結果、ジョンと同じく、特殊任務を放棄して、修道院住まいに落ち着いた。

 水を操る異能者。

 マリアからは「びりりん」と呼ばれている。


◎ケイ&ユリ

 顔がそっくりの双子。訳ありでエメラルド・シティへとやってきた。

 勝気なしゃべり方の方がケイで、大人しいのがユリ。

 向こう見ずだったのが災いし、ケイは視力をなくしている。

 大人しいユリは、最近、ゴミ箱から拾った赤く薄い本に目覚め、ビリーとジョンがときどき戯れるのを赤ら顔で興奮しながら見つめるのが趣味になってしまった。


◎ロバーツ

 ジョンの生きざまに影響を与えた男が飼っていた黒い犬。

 賢く、勇気があり、飼い主のいいつけを守り抜く忠誠心には目を見張るものがある。

 エメラルド・シティの住人が皆、彼の飼い主が死んだと思っている中で、唯一、生存していることを疑わず、飼い主がいつ戻ってきてもいいように、居場所を護っている。


◎マルコ

 最近頭角を現し始めた、野獣のごとき殺し屋。

 見た目はゴリラと原始人がミックスしたかのようであるが、口調は知恵のつく途中の少年。

 いや、見た目に反して、彼は少年である。

 常にフードによって隠している素顔が原因で、少年だと思われないのだ。

 その素顔は一言でいうと、醜悪である。

 それ故に、ギブソンと出会うまでは野獣とほぼ変わらない原始的な生き方をしていた。

 ギブソンと出会い、大勢の仲間と出会い、彼は自我を持ち、好きな人ができ、ようやく年相応の振舞いをし始めた。

 現在、ガロードから本気の殴り合いができる唯一にしてかけがえのない存在だと認められている。


◎ギブソン

 人里離れた場所で、獣のような生活を送っていたマルコを引き取り、わが子のように育て上げた青年。

 これでも元妻帯者。息子もいた。だが、過去のヘマが元で妻と息子を失い、やさぐれていた。

 そんなときに野獣のようなマルコと出会い、無くした物を埋めるかのように手を尽くし、結果、マルコは自我を取り戻した。

 そのことがうれしい半面、心を持つことにより、いずれ向き合うことになるであろう暗黒面との葛藤を恐れていたり、いろいろと気苦労の絶えない、26歳。

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