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関谷さん
その空気をまとって彼はローカルではあれど
巷ではそこそこの信頼を受け人気者の地位を築きあげていた。
勿論、通りを歩けば誰もが振り返る、、的なものでは無いにしろ
ごくたまに「あの、、関谷さんですよね??」と声をかけられる事はある
関谷文弘、小説家で在る
だが彼の収入は残念にも一筆書いての其れではなく
たまに頼まれて弾くギターとたまに思い付きで描く絵と
週3の工場でのアルバイトだ。
生まれつきの天然キャラと屈託のない笑顔、たまにぶち込む毒舌は
嫌味もなく人に安心感さえ与えるみたいだ。
時代の流れにも上手く乗っかりの業もあり、音楽と絵はオシャレと捉われ
なんとかその日暮らしはできる程である。
関谷はそんな自分に、とりあえずの満足はしていた。