6話 美人なお姉さんと同居を始めました
俺の名前は獅子王ガイ、(後略)。冒険者兼一応、勇者だ。
紆余曲折を経て冒険者になった俺だが、昨日はいろいろと大変な目にあった。まぁ、大変な目はほんと勘弁してほしかったけど一ついいこともあったのでここに記しておこう。
しばらくの間泊まる場所を確保した。これは素晴らしいことだ。これは素晴らしいことだ。大切なことだから二回言おう。なんと宿泊費は0、食費だけ入れればいいそうな。
「おはよう、あんた早いのね」
「あ、おはようございます」
窓から外を眺めていると俺が居候させてもらっているお姉さん。アリアさんがぼりぼりと頭をかきながら部屋から出てきた。そう、このお姉さんこそが俺の運命を強引に捻じ曲げたその人だ。
つまりは、昨日冒険者ギルドで俺の話も聞かずに登録をしてしまったその人なわけだが、今ではそれもいい思い出……なのか?
まぁ、簡単に訳を話したら部屋が空いてるからと同居を申し入れてきたりしてきたあたりアリアさんなりに罪悪感は感じてるのだろう。後ろからギルドマスターが思いっきり彼女をにらんでたから、その辺も影響したんだろう。
かくして、俺は泊まり込みの下働きをするのではなく、冒険者ギルドのお姉さんの家に居候しながら冒険者をすることになったわけだ。
「あんた今日はどうするの?」
「とりあえず、冒険者ってどんな仕事があるのか調べるためにギルドに行こうと思います」
ギルドカードの受け渡しもあることだし一度はギルドに行かなくてはいけない。ついでにギルドの仕事、俺が受けても死なない仕事がないか調べる必要もある。
「仕事?そんなのギルドいかなくても私が教えてあげるよ」
「え?いいんですか?」
「まぁ、今日は非番だしね」
このアリアさん、美人で怖い人(ついでにめんどくさがり)かと思ったら、存外いい人だった。三井さんに引き続き俺的な神に認定しておこう。料理も上手で何気に世話焼きな人だ。
「まずは確認だけど、あんた弱いんだよね?」
いきなり言いにくいこと聞いてくるな。事実だからうなづくしかないのが痛い。
「えぇ、まぁ……冒険も何もしたことないんで」
「だったら、どっかのグループに入って下っ端から始めるか近くの森で危険度の少ないモンスターを狩るか、薬草とかの採集をするぐらいだろうね」
「弱いモンスターなんかいるんですか?」
「そりゃウサギとか鹿とか食用にするモンスターはそんなに危なくないさ。まぁ、狩ってる途中でボアとかベアーに襲われなければなんの危険もないね」
なるほど……その後のアリアさんの説明を要約すると冒険者ギルドのシステムや仕事は以下の通りになる。
ギルドのランクはGからはじまり最終的にA、S、SSというランクまで上げることができる。基本的にA以上になると騎士団なんかの一個師団が対応しなきゃならない規模の敵と戦うことも少なくないためグループで仕事をこなすことになる。
ギルドの仕事はGからEランクまでは下位の仕事しか受けることができず、危険度は軒並み低め(当然報酬も)。DからBになると中位の仕事が受けられるようになり、村を襲うゴブリンの集団や一般人には手におえないレベルのモンスターを討伐する仕事なんかが多くなる。A以上になると上位の仕事が受けられるようになり報酬は一般人の年収の5倍とかがザラにある。当然危険度も半端じゃないので当たり前といえば当たり前らしい。
基本的にEからCくらいまでのランクが一般的に多く一人前と呼ばれるのはそれくらいの人間。ベテランなんて呼ばれる人間でもBランクぐらいなんだそうだ。A以上になると超一流なんて呼ばれ、Aで一つの国に一人ぐらいしかいない。Sになると現在の大陸で一人か二人、SSランクは過去に一人だけいたらしいが、今は一人もいないらしい。とまぁ、こんなところだろう。
「なるほどねぇ……冒険者ならやっぱり武器とか持ってないとダメなんですか?」
「まぁ、素手が得意なやつとかだっているから規則にはそこまで書かれてないけど、あんただったら武器の一つも持たなかったら簡単に死ぬんじゃない?」
「………そこはもっとオブラートに包んでほしいんですが……」
「なによオブラートって」
そういえば、この世界にオブラートなんてもんはないんだろうか?妹的な(人は幼馴染と呼ぶ)やつがガキの頃からさんざんお世話になってたんだが……あいつがこの世界に生まれてたら、薬を飲むのにも苦労しただろう。
「とりあえず、武器はないとまずいってことですね」
「そ、仕事受けるんなら先に買っといたほうがいいよ」
「わかりました」
そのあとはアリアさんの作った朝飯を(うまかった)たらふく食って大通りに出ることにした。まずは武器を買わないと命に係わる問題だ。
で、武器屋はどこだろう?