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29話 護衛はなかなか強敵みたいです

久しぶりの更新です。ずいぶんと遅くなって申し訳ありません。

理由(言い訳)なんかは活動報告でさせてもらいますので、苦情などある方はそちらへお願いします。


29話の更新にあたりまして、28話を若干(結構?)改訂させていただきました。29話の更新前に読んでいた方は食い違いなどが出てしまいますので、もう一度28話の方をご確認ください。

 二階に上がってすぐ3人の冒険者風の男たちに襲われた。たぶん下で戦いがあったことに気が付いたんだろう。

 結果的に言うとこの3人は下で戦った2人よりはるかに弱かった。連携もなっていないし、動きもチンピラに毛が生えた程度のものでしかない。ヴァンヘルトで武器をへし折ってやるとすぐに戦意を喪失した。

 続く廊下の先に目を向けると明らかに敵意をむき出しにした男2人がこっちをにらんでいる。

 明らかに敵意を持っているのに扉の前から動こうとしないのはおそらくあそこにプリルがいるのか、ジエンロがいるからだろう。


「貴様、ジエンロ様にはむかってただで済むと思うのか?」


 ヴァンヘルトを片手に歩み寄ると男の1人が言った。なんか、ありきたりなセリフだなと思いながらヴァンヘルトを握りなおす。


「関係ないな、こっちはさらわれた妹分を助けに来ただけなんだからよ」


 他に言うことなんてない、切りかかってきた男の剣をヴァンヘルトで受けると男を蹴り倒す。

 即座に襲い掛かってくる2人目の男を横一線に切り払う。かなり丈夫そうな鎧を着ていることだし死にはしないだろう。

 重い鎧を着ているために起き上がるのに四苦八苦している蹴り倒した男の喉元に剣をつきつけてから武器の方をへし折る。これでこいつも無力化できた。

 俺は2人が守っていた扉を開けると部屋の中に歩み入る。


「おやおや、ずいぶんと騒がしかったがこんな小僧だったとはな」

「…………」


 部屋に入ると商人風の身なりの小太りの男と漆黒の鎧に身を包む騎士風の男がいた。小太りの男がジエンロなんだろう。もう1人の男、漆黒の鎧の男はかなり強そうだ。


「おとなしくプリルを返せ。そうすりゃ危害は加えない」

「プリル?あぁ、この鬼人の小娘のことか?こんな奴隷の娘一人のためにご苦労なことだな」

「プリルは奴隷なんかじゃない!」


 怒りに身を任せジエンロに襲い掛かろうと一歩動いた瞬間、鎧の男が動いた。

 扉の前にいた2人の男よりも重そうな鎧を着ているというのに動きは俊敏なもので、気づいた時には俺の喉元に剣がつきつけられている。


「どけ」

「そういうわけにもいかない」


 鎧の男、たぶん三井さん並みの手練れだろう。さっきまでの男たちとは動きが段違いだ。

 だけどプリルを目前にして引くわけにはいかない。俺は目に力を込めて鎧の男を睨みつける。


「くっくっく、そいつはかつてベンデランで王国騎士をしていた男だ。お前みたいな小僧に勝てる相手じゃないぞ」


 説明どうも。なんで、こういう小悪党ってのは説明好きなんだろう。


「ここで引けば手は出さない。おとなしく帰ったらどうだ?」

「そっちこそ、そこをおとなしくどけ。そうすればこっちも手は出さない」

「………」

「………」


 俺の言葉はなんとかこの男と戦わないようにっていうわずかな願いからだが、鎧の男は純粋に余裕からの言葉だ。それだけ鎧の男の実力はすごい。たぶん、俺じゃあ勝てない。


「何を言っても無駄みたいだな」


 喉元につきつけられていた剣が動くのと同時に俺は後ろに跳んでヴァンヘルトを抜いた。

 こんな室内でかまいたち(闇属性Ver)は撃てないけどヴァンヘルトはこの世界でも10指に入る業物の剣だ。少なくとも折れる心配はない。

 実力差がある場合には剣を折られたりすることで無力化されることも気をつけなくちゃいけないけど、ヴァンヘルトなら少なくとも折られる心配はない。まぁ、弾き飛ばされたりしたらそれはそれで問題だけど……

 鎧の男が振るう剣をなんとかヴァンヘルトで受けるが、徐々に押されていく。まさに猛攻と言える鎧の男の怒涛の攻撃には反撃する隙もない。


「まだやるのか?」


 押し込まれて少し距離が開いたところで、鎧の男は息ひとつ乱さず聞いてきた。たった10合程度剣を合わせただけでこっちは肩で息をしていることから実力差を察してほしい。


「ま、まだ、まだぁ」


 俺はヴァンヘルトを構えなおして切りかかる。しかし、鎧の男からすれば剣術も何も知らない俺の攻撃なんて素人の振るう剣となんら変わりがないのだろう。鎧の男は軽々と俺の剣を受ける。


「年齢のわりに大した実力だが、経験不足だな」


 受けた剣をそのまま押しかえし鎧の男は攻勢に転じる。

 上から、横から襲い掛かる剣を何とか防ぎながらどうにもならない今の状況を何とかできないかと俺は頭を働かせる。が、そんな都合のいいこと現実にあるはずもない。

 こうなったらかまいたちを使うしかないのかとも考えたが、風のナイフの時と違ってヴァンヘルトのかまいたちはワイバーンに使った大きさよりも小さくならない。こんな室内で使ったら間違いなく屋敷が崩壊する。そうすればプリルだって怪我をするかもしれない。


「っく……」


 世界で10指に入るような名刀であっても使い手の実力が伴わなかったらその真価は発揮できない。鎧の男の攻撃を受けながら反撃できない自分の無力さにいら立ちが募る。


「なかなかしぶといが……そろそろ、終わりにしよう」


 鎧の男はそう言うと構えを変えた。瞬時に繰り出されたのは高速の斬撃。

 肉体強化のおかげか動体視力が並々ならないものになっていた俺でもかろうじて線でしかとらえられない速さの斬撃は4……いや5回は連続で繰り出されたろう。

 なんとかヴァンヘルトを振り回すように攻撃を受けるが正確にとらえられていない攻撃をすべて受けるなんて芸当ができるはずもない。

 最後の一太刀がサ●ヤ人の戦闘服を切り裂いた。ヴァンヘルトに比べたらはるかにしょぼい防具だ。鎧だけでなく俺の体もその刃に触れ、鮮血が宙を舞う。


「っぐ……」

「キュウ」


 ヴァンヘルトを杖代わりにしてなんとか倒れることはなかったが、膝をつき鎧の男を見上げる形になる。

 スクルドも切られたのと同時に飛ばされてたが、即座に駆け寄ってきて心配そうに俺を見上げている。

 傷口だけじゃなく、口からも血がこぼれるあたりマジで切られたんだと実感する。


「諦めろ、お前じゃあの少女は助けられない」


 鎧の男は一振りして血を払うと剣を鞘に戻した。

 背中を向けて悠々と戻るあたり自分の実力に確かな自信があるんだろう。いや、事実息ひとつ乱さないで俺を倒したんだから、少なくとも俺との実力差ははっきりとしている。

 たとえ今背中から切りかかったとしても気づかれて受け止められてしまうだろう。

 だが、これは好機だ。

 卑怯?知ったこっちゃないね。俺にはプリルを助けるっていう目的がある。そのためだったらどんな卑怯な手だって使おう。

 この世界に来てから自分のチートな能力なおかげでそういった機会はなかったけど生来俺はそういう男だ。

 俺はヴァンヘルトから手を放すと風と水の属性の短剣、フロウを鞘から抜き放った。

 鎧の男だって俺がこれを抜いたことには気づいているだろう。だけど俺は立ち上がっていない。3メートルは距離が離れているから膝をついた状態じゃ切りかかろうにも遠すぎる。


「今更何をしたところで無駄だ。そんな短い剣を一本持ったところでこの実力差は覆せないぞ」


 鎧の男には余裕が見て取れる。そりゃそうだ、この男からすれば俺は雑魚だ。


「そいつはご忠告痛み入りますよ……っと!」


 俺はフロウを振るう。風と水の短剣。そう、俺が最初に装備していた風のナイフと同じ系統を持っているフロウを。

 ちょっとした違いはあっても同じ系統の武器だ。だったら使えるはず。

 案の定不可視の風の刃は俺の振ったフロウと同じ軌道をたどり、まっすぐと伸びていく。

 かまいたちはまっすぐと鎧の男に向かって伸びていく。


「無駄だ」


 鎧の男は剣を抜くと不可視のはずのかまいたちを剣で受けた。そう、俺の予定通りに。


「ぐはぁっ!」


 突如、鎧の男は体中から血を流し膝をついた。


「う、ウィンドカッター!?無詠唱魔法だと!?」


 そう、フロウでの一撃はあくまでもおとりだ。この男が余裕を見せてとどめもささずに俺から離れたからこそ俺が探していた隙がようやく見つかった。

 魔法を使えばそれなりの実力者だったら感じ取れるひずみみたいなものがある。しかし、俺はそれに気付かせないようにあえてフロウをこれ見よがしに振って見せた。

 もしも鎧の男が俺を一端の敵と認め、緊張感を持ったままであったならそのひずみにも気づいただろうが、俺をなめて余裕を見せていたこの男では気づけるはずもない。


「はぁはぁ……ったく、よかったぜ。あんたが詰めの甘い男で」


 実際できるかどうかは不安だったけど、前後左右上下に斜めから同時に18もの風の刃が油断しているところを襲ったのだ。

 さすがに無詠唱で同時に18もの刃を想像するのは難しいものがあり、一つ一つの威力は大したものじゃないが、鎧の男は右腕をなくし、鎧の隙間からはいたるところから血を流している。

 俺はヴァンヘルトを拾うと男の剣をへし折り、無様に逃げようとしているジエンロへ歩み寄った。


「さぁ、プリルを返してもらおうか?」





卑怯者というか、改訂後からガイのキャラクターが迷走中。

なんか雰囲気おかしくね?みたいなご意見などは甘んじて受けますが、この性格にしないと今後の展開に支障が出てきますので申し訳ないですが無理やりにでも納得するようお願いします。私の文章力と言うかストーリーの作りこみの甘さが原因です申し訳ありません。


さて、感想で幸運のスキルに関して様々な意見を頂きました。ですので、ここで私なりの幸運スキルについての見解を述べさせていただきます。


幸運スキルの主な能力は、スキル所有者に幸運をもたらす。と言うものが大前提です。

プリルの誘拐に関してはスキルの所有者ではないのでこの幸運の範疇外です。


また、結果的にというか最終的にどんな事態が起きても、どんな事態にかかわっても(それが例え途中から関わったとしても)、最後にはスキル所有者の益になる結果をもたらすということでもあります。

プリルの誘拐に関する終わり方も結果的にプリルが誘拐されたことでガイに幸運をもたらすことにつながります。


若干のネタバレですが、30話ではガイに大した得はありません。しかし、最終的にはこの事件がガイに幸運をもたらすことになります。


例として幸運スキルは召喚時にすでに所有していました。ですが、ガイはバルデンフェルトの勇者にはなれませんでした。しかし、結果的に三井と出会い、そのおかげで迷宮探索では非常に楽をしています。これからもこの三井との出会いのおかげで得をすることは多くあります。


こんな感じで、ピンポイントで見ればどこが幸運なんだ?ってことも大局で見れば幸運につながるというのが、幸運のスキル。それもカンストレベルでの幸運です。



ちなみに一般的な幸運スキル持ちの人は100レベルで強運と言われ、稀にギャンブルで大勝ちしたり、時々、買った株が連日ストップ高になったりします。

それ以下ですと日常の中で小銭を拾ったりといったちょっとしたラッキーくらいの恩恵しかありません。

ガイ以外では幸運スキルの最大レベルは251のリンデンバルフェリ連合国の大商人メッケスという人物がいます。これは後々物語にかかわってくる予定です。

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