22話 新しい家はおっきいみたいです
家に戻って宝石の入った箱を持つと今度はこれを買い取ってもらえる店に向かうため家を出た。かなり重かったので二つある箱のうち一つはプリルに持ってもらった。プリルが2箱とも持とうか?と平然とした顔で聞いてくるあたり俺って情けない……
宝石の買い取りを終えて店を出た俺の表情は非常ににやけていたと思う。なにせ、思った以上に高く売れた。乱雑に入っていたから傷がついているとかの心配をしていたけど、それを差し引いてもかなりの額になったのだ。
しめて金塊7つに金貨3枚、銀塊4つに銀貨が6枚と言った額になった。
これで俺の総資産は金塊が12個に金貨が16枚、銀塊が13個に銀貨が24枚と銅塊と銅貨がそれぞれ35ずつになった。日本円に換算すれば、137578500円相当だ。ん?わかりにくいって?1億3756万8500円相当だ。やばい俺、この世界に来て1週間で億万長者になっちゃったよ。
大金持ちになったことだし、プチ贅沢ってことでプリルとともに露店で買った串焼きを頬張りながらギルドに向かう。ちなみにレナはやることがあるとかで森に向かった。
とりあえず今日は仕事しないで報告だけだし問題はなさそうだ。
ギルドで報告を終えると報酬が支払われる。銀塊5つと普通に考えればかなり高額なんだが、迷宮で得た金額に比べるとどうも少なく感じてしまうから不思議だ。
ついでに昨日その役割を終えたワイバーンの翼をギルドに買い取ってもらった。穴をあけたりしてあったけど銀塊3つになったのはけっこうすごいと思う。穴が開いてなかったら金貨1枚だったそうだがまぁ、これぐらいならいいと思えてしまうのも不思議だ。
「なんか、金銭感覚おかしくなるな」
まじでゲームみたいな金銭感覚になってきた。このままだと100万くらいの装備が壊れたって金貨1枚でしょ?大丈夫とか言ってしまいそうで実に怖い。
「大丈夫、お兄ちゃん?」
難しい顔をしていたのか心配そうに俺を見上げてくるプリルの頭をなでてやる。
「大丈夫だよ」
今はアリアに教えてもらった手続きをしてもらっているのでギルドの待合室でのんびりとしている。なんの手続きかというとギルドに金を預け、ギルドカードで支払いをできるようにする手続きだ。
ギルドカードはほんとに便利で地球でいうところのクレジットカードみたいな役割も果たすらしい。どんだけ高性能なんだこのちゃちなカードは。
待っている間は暇なのでプリルの相手をしたり明日以降の仕事でいいものがないか探してみるが、下位の仕事では大したものが見つからない。そういえば、どうやったらギルドのランクは上がるんだ?
1億を超える金を持っていても、第3位の魔剣を持っていても俺のギルドランクはGのままだ。ぶっちゃけ分不相応だろう。ランクがではなく俺の所持するものがってところが悲しいけど。
装備的にはCランクの仕事だって簡単にこなせるわけだし、ギルドのランクも上げたいと思う今日この頃。
「獅子王さま、手続きが終了しました。受付までお越しください」
どうやら手続きが終わったみたいだ。ちなみに受付をしたのはアリアではない。最近俺の相手ばかりしていたのでギルドマスターに怒られたらしく、今日は別の人間が受付をしてくれた。
ギルドカードをクレジットカードとして使うための規約なんかを簡単に教えてもらい、俺とプリルはギルドを後にする。
金もあるし、いつまでもアリアの家に居候しているわけにもいかないだろう。いい物件がないかちょっと探して見るかな。
利便性はそんなによくないが、街のはずれあたりにいい物件があった。二階建て、庭付き、風呂2つにトイレが4つで家具は備付。周囲に民家はなく、家を出てすぐ街道につながっているような家だ。街まで徒歩で5分程度、森にも10分歩けば行ける。なかなかいいんじゃないのか?
さすがにレンズで見ても家の情報は見れなかったが、スクルドも警戒してなかったし問題は特にないだろう。
金塊2つに金貨が3枚と言う値段を聞いて即決した。一括で支払うというと不動産屋のおっさんは驚いた様子だったが、その辺は気にしてもしょうがないだろう。
入居は明日にでも可能というのでアリアには帰ってすぐ話すとしよう。
とりあえず足りないものを買い足すか……
プリルの手を引いて日用品が売られる店を適当に冷やかして今日でお別れのアリアの家へと帰るのだった。
ただ、俺はこの決断が思わぬ凶事を呼ぶなんてこのとき考えもしなかった……