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13話 俺はとんでもなくラッキーな男でした

 街、というかアリアさんの家に戻るとまず最初に行ったのは自分の能力を調べることだ。さっき拾ったレンズを使えばその人物の能力がわかるのなら、自分のステータスだって調べられるはず。

 まずはレンズを通して自分の手を見てみると案の定頭の中に情報が流れ込んできた。


『獅子王ガイ 種族:人間 クラス:勇者 レベル:7

 スキル:幸運Lv.999 魔術Lv.39 肉体強化Lv.35

 称号:Brave Tamer

 備考:異世界から召喚された勇者。現在は冒険者ギルドに所属している』


 なにこの幸運のレベル……

 あれじゃない?これってカンストってやつじゃないっすか?

 この世界に来てからいろんないい人に出会ったり買った武器が値段以上のものだったりと運がいい部分がめちゃめちゃ多かったからこのスキル、レベルも含めて尋常じゃなさそうだ。

 三井さんの話していた能力の開花ってやつがこれのことだとすると俺の才能ってなんだ?幸運によるヒモ生活ができる才能とかか?勇者なのにすげえ情けないな。

 自分の能力に頭をひねっていると仕事帰りのアリアさんが扉を開けた。


「ただいま、なにしてんの?」


『アリア・ロントリー 種族:人間 クラス:一般人 レベル:19

 スキル:交渉Lv.3 事務Lv.5

 備考:ギルドの受付として10年以上務める。恋人がほしい今日この頃』


 アリアさんを視界にとらえた瞬間情報が流れ込む。ていうか、アリアさん恋人ほしかったのか。やばい、俺のヒモ生活のフラグが立ちそうだ。

 それにしても少なくともアリアさんを見た感じ俺のスキルレベルは異常といえるだろう。10年以上ギルドの受付で仕事を続けてきたのにスキルレベルが5しかないのに俺のスキルレベルは低くて35……単純に7倍の差があるってのはおかしいだろ。


「おかえりなさい、実はさっき森でこんなもの拾いったんですけど」


 俺はそう言ってアリアさんにレンズを渡した。アリアさんもこんなもの見たこと内容でしげしげとレンズを見つめるとレンズを通して俺を見た。


「……なにこれ?」

「見えます?」

「いや、これってただのガラスがはめ込まれたレンズじゃないの?」

「?」


 どうやらアリアさんには能力とかの情報が見えないようだ。あれだろうか、勇者専用装備的なものなのか?


「なんだかわかりませんけど、俺が見ると見た相手の能力がわかるんですよ」

「はぁ?なにそれ?」

「たとえば、アリアさんを見るとアリアさんの能力……たとえばギルドの受付やってるからか事務がどの程度できるとかってのが見えるんですよ」

「ふぅ~ん……それって便利なの?」


 アリアさんにはこれの良さがわからないみたいだ。これはいいものだっていうのに……

 まぁ、地球から来た人間からすれば便利って思えるけどこの世界の人間からしたらそうでもないのか?……アリアさんだから興味がないって可能性は否定できないけど。わかる人にはわかるもんなんだろ。


「俺にとっては便利なんですけどね……そういえば、スクルドのやつをそれで見たら種族がリウンドとかいうやつだったんですよ。知ってますか?」

「ん~……リウンドってあれでしょ?昔話とかに出てくる伝説の神獣で馬ぐらいの大きさなのにドラゴンとか倒すって話はよくあるわね。でもあれっておとぎ話に出てくるだけで実在するなんて聞いたことないわよ」


 え、まじで?スクルドのやつ今は子猫みたいなサイズなのにそんなデカくなるの?

 アリアさんに詳しく話を聞いてみると、リウンドってのは文字通り獣の中の神って呼べるような存在らしい。その力は精霊の最上位、精霊神たち(これは実在が確認されているらしい)と同等でドラゴンやユニコーンなんかの幻獣の上位存在にあたると物語では語られているとかなんとか。

 レンズの情報が間違っていないならスクルドって最強じゃん。俺のスキル、幸運のレベルから考えるとスクルドがリウンドってのはたぶんマジだろう。このままだと俺って勇者なのに他力本願で生きていくようになっちゃうかも……

 俺の膝の上で丸くなって寝ているスクルドをなでながら俺はそんな情けないことを考えた。


 ………うん、できることは自分でやるようにしよう。


 


 




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