↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも理不尽な対応をさせていただきます  作者: わらびもち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/53

ドミニクにとってのアリッサ

 ドミニクにとってアリッサは崇拝の対象といえる存在だった。


 誰を相手にしても怖気づくことのない胆力と聡明さ、誰を相手にしても屈することのない高潔さに憧れを抱いた。何よりアリッサが話し出すと人はまるで魅入られたかのように聞き入ってしまう。その光景に神秘性すら覚えた。


 ある時、祖父に連れられアリッサと共に皇帝に謁見した際もそうだった。

 緊張で上手く話せなかった自分とは違い、アリッサは少しも臆することなく堂々と皇帝相手に自分の意見を述べたのだ。


 ドミニクの話には微笑ましそうな表情を浮かべていた皇帝も、アリッサの話には真剣な表情で魅入られたかのように聞き入っていた。


 それを目にしたドミニクは、やはりアリッサは特別な存在なのだと誇らしく思えた。そしてそんな特別な存在である彼女を頂点の座に据えたいと渇望するようになる。


 自分の婚約者に……という話が上がったが、この特別な存在を()()()()公爵家の夫人にするなど勿体ない。何より崇拝の対象を自らの手で穢すことなど言語道断だ。何故か互いに似すぎているせいで恋愛感情を持てない、という解釈をされてしまったが凡人の自分と特別なアリッサが似ているとは思わない。


 その後アリッサが第三皇子と恋仲になったのを見て「これだ!」と閃いた。

 皇族の妻になるということは、女性の頂点である皇后の座に就く可能性が出来たということ。ドミニクはアリッサを帝国の皇后の座に据えたいと望むようになった。


 特別な存在であるアリッサが皇后となれば、きっと後世に名を残すほどの賢后となることは間違いない。ドミニクは帝国の歴史にアリッサの名が輝かしく刻まれることに心を弾ませた。


 その為にはまず子爵令嬢の身分から公爵令嬢の身分に、つまりはシーグラス家の養女になることが必須だというのに当主である父がそれを拒む。理由は跡目争いが起きるかもしれないというものだが、何を日和ったことを言っているのかと憤慨した。


 争いが起きる前に第三皇子ノアを皇太子の座に就かせるよう画策するなどシーグラス家の力をもってすれば容易いことだ。だいたい、競い合って勝った者が頂点に立つなど当たり前のことではないか。この時ドミニクは脆弱な考えの父から早々に家督を奪うことを心に決めた。


 ノアと婚約すること叶わず、それでも弱音ひとつ吐かないアリッサを流石だと思い、何が何でもこの二人を結ばせてみせるとドミニクは心に誓った。とにかくアリッサが皇族と結ばれてくれさえすれば皇后の座に就く可能性はある。


 父から家督を奪い、アリッサをシーグラス家の養女にしたうえでノアと婚約させる機会を虎視眈々と狙っていたというのに、くだらない王命でくだらない男との婚姻を強行させられそうだと聞いた時はどうにかなりそうだった。


 特別な存在を、女にかまけて仕事もろくにしないという屑男に嫁がせるとはどういうことか。怒ったドミニクは使える権力を全て使い、くだらない王命を下した国王を潰すことにした。


 アリッサもただ黙って王命に従うことをせず抗ってみせたのは流石だった。

 そして彼女に頼られ、彼女の力になれたことが誇らしい。

 念願叶ってノアと結ばれたことも喜ばしいが、残念ながら彼女は子爵令嬢のまま嫁ぐことに決めたようだ。


 でも、今はまだそれでいい。とりあえず皇族であるノアと結ばれてくれさえすればいい。やりようはいくらでもある。


 聡いアリッサといえどもドミニクが自分を崇拝していることも、皇后の座に就けようとしていることも気づいていないようだ。ドミニクが崇拝しているという素振りを一切見せないことで、彼の事を頼りになる従兄だと信じ切っている。


(いつか、必ずアリッサを帝国の頂点に据えてみせる)


 揺れ動く馬車の中、ますます美しくなる従兄妹の顔をじっと眺め、ドミニクは改めて決意するのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。