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檸檬哀歌  作者: フク郎
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出逢い

初投稿です。

学校の授業でレモン哀歌が紹介された時に感じた全てをそのまま文章にしたいと思っています。

どうか、末長く、長い目で読んでみてください。

 がりり。

 檸檬をかぢる音がわずか4畳半ほどの部屋に響き、ふわりと香りだった。


 実家から少し歩くほどの場所にある私の家には一つだけの小さな窓と、雑多に収納された本で溢れていた。とても綺麗とは言えない。

そのほかにあるものといえば、そういえば越してきた頃からあった庭にある檸檬の木である。

私は時々それを取り部屋に戻り、それを少しずつ食べすすめながら詩を少しばかり書いている。最近は駄作ばかりで人様に見せることができないどころか

、翌日の朝に見直せば羞恥心に押し潰されている日々であった。情け無い。

 そんなある日のことだった。いつものように庭へ出ては檸檬の木へ少しばかり背伸びをしながら檸檬へ取ろうと手を重ねた時だ。

 「それでは、見えません」

長く伸びた美しい黒髪をなびかせ、綺麗な顔立ちをする女が立っていた。

美しいものを視認すると同時に私は、生意気そうだ、と考えた。

 女は小さな厚紙の束と、少しばかりの筆と絵の具を持っていた。絵を描くのだろうか。

 「申し訳ない、ところで、絵をお描きに?」

パンの会に通っていた私には油絵であろうという見当はついていたし、案の定そうらしい。

 女は、だからどうした、と言わんばかりの少し蔑むような目をちらつかせながらサラサラとスケッチをし、足早にその場を立ち去ろうとしていた。

 「待ってください」

私は思わず女を引き留め、邪魔をしてしまったという詫びを含め、自分のペンだこだらけの手から握っていたレモンを差し出した。



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