1-5 大会中止?
夕飯後におばあちゃんと一緒に洗濯物を畳んでいると、おばあちゃんがニュースをみて「まあ」と驚いていた。
見ると、『ゴーレムファイト大会に抗議の声 中止検討』というテロップのニュースが流れていた。
「あれ、ミツルが出たがってた大会じゃないの」
おばあちゃんが心配そうにこちらを覗き込んでくる。
ニュースの詳細に集中したくて、おばあちゃんへの返答が生返事になってしまう。
ニュースによると、ゴーレムを利用した少年犯罪やテロ行為の危険性について語られており、これはおそらく原作2のメインストーリー──今アニメで放送されている部分に関係する話だ。丁度テレビで語られている事件をゴウくんやタケルくんたちが解決したのだった。
お約束的な部分ではあるが、冷静に考えると子供のおもちゃが犯罪やテロに使われたり……というのは冷静に考えてみるとちょっとツッコミたくなる部分ではあるのだが……、ツッコんだら負けな部分だろう。
さて、今のニュースに出てきた事件の大半は2で解決しているのだけど、そんな危険なものはもう少し規制したほうがいいんじゃないか、という非常に常識的な声が増えているようで、その結果大会も安全性について保証されるまで中止したほうがいいのではないか、という話らしい。
おばあちゃんには、
「気にしないで。今年は出るか悩んでたから」
と、にこやかに伝えておいた。
……これは私の意志ではなく、実際にミツルは悩んでいたようなのだ。
ニュースを見ていて朧げに思い出されたのだが……。
ミツルの両親はゴーレム技術の研究者だったらしく、ゴーレムの安全性についての研究もしていたらしかった。
そんな両親を尊敬していたミツルにとって、あの事件は結構な衝撃だったのだろう。
家を開けがちで、大会に出ても応援に来れないことの多い両親の心配をよそに大会に出ることに気が引けたのかもしれない。
ただ、なんとなくそれだけじゃない気もしている。
この引っかかりについては、脳内検索だけでは解決できそうにない。
ミツルの荷解きも実はちゃんと終わっていないし、後で片付けをしながらミツルの記憶を整理して違和感がなんなのか考えてみよう。
物語のキーになる部分な気がする。
おばあちゃんはミツルが気を遣ってそう答えたのではないかと思ったのか、少し心配そうな表情をしている。
「ミツル、あんたがやりたいことは好きにやったらいいんだからね」
「うん。ありがとう、おばあちゃん」
ああ、なんだか私もおばあちゃんっ子になってしまいそうだ。