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1-3 オタクは暗い設定が好き。……だけど。

 ハンバーグを食べ終えて、2階の和室に帰る。どうやらここがミツルの部屋らしい。

 確かに、荷解きの終わってない段ボールが積み上がっている。

 窓側に向いた勉強机はとても綺麗で、大事に使われていたことが窺える。


 なんだか完全に受け入れてしまっていたが、1人になって冷静になるといろんな疑問が湧いてきた。


 勉強机に向かって座りながら考えてみる。

 まずこれは夢なのか? 現実なのか?


 夢ではない、というのが自分の感触だ。

 ハンバーグは本当に美味しかったし、手足の動作もふわふわしていない。

 自分が見る夢は、いつもなんだか不自由で手足が上手く動かせないのだ。


 現実……正しい意味での現実ではないことは確かなのだが、オタクとしての勘が「これは異世界転生!」と言い続けている。

 そういうことだと受け入れて過ごすしかないだろう。


 とはいえ。

 とはいえだ。


 ゴレファイはメインキャラクターでも容赦なく死ぬストーリー展開が挟まることがある。


 原作2の新ライバルとして出てきた富永尊(とみながたける)──タケルくんは、物語終盤でなんと死ぬ。

 ゴレファイのシナリオは概ね高評価だが、この点に関しては発売から1年以上経った今も賛否両論あり、荒れやすい話題である。


 私のこの世界で生きていく上での懸念はそこだ。

 四十万満(しじまみつる)というキャラクターはゴレファイのことだから十中八九危険な目に遭う。

 2の賛否両論あったのを顧みて、ちょっと過去が重たくて塞ぎ込んでるだけで大きな事件に巻き込まれないシナリオになっている……可能性も米粒くらいはあるかもしれないが……。

 いや、無印のアサヒくんですら借金取りに追われていたのだ。

 多分ゴレファイはライバルポジションのキャラクターを追い詰めるのが趣味なシナリオライターがいるのだろう。


 さておき、私は上記を踏まえた上で一旦はこの世界に一生身を置くことを前提として動いた方がいいだろう、と思っている。

 それはそれとして、元の世界……ミチル(わたし)の人生に戻る方法があるならば探すに越したことはないだろう。

 理由も分からずこうなっているので、案外次に目が覚めたら元の世界、元の私に戻っているかもしれない。


 それから、どちらにせよ気になるのが、『本来のシナリオ』を自分が知らないということ。

 私がミツルとして動くにあたって、想定されていたシナリオに沿って動くべきなのか、自由に動いていいのか。

 極端な話、ずっと引きこもってゴウくんたちとは顔を合わせないという選択も、今の所できてしまいそうなのだ。

 どちらにせよ、本来のシナリオを知らないので、引きこもりが正解ルートという可能性もなくはない。


 ミツルのスマホを取り出して日付を確認すると、時系列は3のあたりだろうか。10月7日と表示されている。

 これが1や2の時系列ならば100周した自分の知識が生きるのだが……、とため息をついてしまった。


「とりあえず、明日は学校に行こうか……」


 ミツルの記憶によると、学校は剛雷(ごうらい)第十五中学校に転入するようで、これはゴウくんやアサヒくんと同じ中学校だ(制服の用意が間に合ってなくて前の学校の制服を着ているらしい)。

 色々気になることはあるが、学校に行けば生アサヒくんが見られるのだ。

 情報集めもしなくてはいけないし、本来のシナリオがどういう想定かはわからないが動かせてもらおう。

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