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プロローグ
鏡に映る自分は、自分じゃなかった。
けれど、そこに映る、中性的な顔立ちで物憂げな目をする彼のことを私は知っている。
全体的に長くて白いメッシュの入った黒髪。
前髪は左目を隠した上でハーフアップの一部になっている。
寒がりなのか髪を巻き込んで巻かれた長いマフラー。
赤みのつよい物憂げな目。
「……四十万、ミツル……くん……?」
訪ねた声は、もちろん自分の声じゃなかった。
「……ゴーレムファイターの世界、ってこと?」
私が『異世界転生』を確信するのは、もう少し先の話。