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天才魔導士は精霊と仲が悪い

作者: さつ。

 空に指を走らせる。

 君らはこっち。君たちはあっち。

 仲間分けして、配置して。それからできた形に名前を付ける。

「ファイアスコール、フローズンバレット」

 宙に浮く粒子たち。属性を宿したそれらを囲んでまとめて混ぜ合わせて。

 そうして魔法を発動するのが突如日本からこの世界に落とされたカナタのチートスキルだった。

「相変わらずあんたの力はすげえな……」

「二属性操ってる上に対極属性なんだもんなあ。しかもこの二属性だけってわけでもないし」

 呆れとも感嘆ともつかないような言葉を仲間たちが言う。

 一属性が当たり前。二属性が扱えれば天才。それが対極属性ならば神の子。三属性以上操れるなんてもはや悪魔や天使、神の使い。何かしらの人外であることを確信するレベル。

 そんな世界でカナタはすべての属性をあらゆる組み合わせで操ることができた。

 カナタには分子が見える。火の分子水の分子土の分子に風の分子。雷氷光闇。ありとあらゆる分子を見て操ることができた。

 ただその代わりに。

「………うっわ」

 放った炎が渦巻きカナタ自身を包み込む。火に巻かれ逃げ場のなくなったカナタは手早く水の分子を合わせ火消しの魔法を完成させた。

「あっぶな」

《クスクスクスクス》

 慌てるカナタをあざ笑う声がして、カナタは大きく舌打ちをする。

 この世界には魔法がある。魔物がいて、悪魔も天使もいる。剣で戦う世界であり、ドラゴンが火を吹いてくるような日常がある。

 だから当然、精霊だっている。

 妖精たちはカナタにいつも嫌がらせをする。

 精霊は人間に恵みと加護を与え、魔法や衣食住を生み出す存在だ。だからおそらくはカナタの持つ分子を合わせて魔法を起こす力が気に食わないのだと思う。

 ただ、そんなことを言われてもカナタにはどうすることもできない。

 選ぶまもなくこの世界に飛ばされ、飛ばされた草原のど真ん中で生きるためにできることを必死で探した結果なのだから。

 カナタは分子を操ることができる。そして複数属性の魔法を操ることができる。

 ただし、カナタは。

 この世界の魔法の要、精霊たちに一分の隙もないほど完璧に嫌われていた。

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