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女神の愛し子だけど役目がありません!  作者: 猫ヶ沢山


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49話


フェル様とは月に1度、正式なお茶会をするようになったわ。


終わると毎回部屋まで送ってくれるけれど、その度に髪を一房取り口付けられる。全然慣れないわ…。


「ふふ、まるで婚約者とのお茶会のようですわね」


シャルロット様達にそう言われると、余計に恥ずかしくなるわ。


それなら話さなければ良いのだけれど、他に相談出来る人も居ないのよね。


「からかわないで下さい…アリアーヌ様は候補の方とは如何ですか?」

「条件を詰めている所ですわ。弟とも相性が良さそうで、最近は悩みも彼に相談しているみたいなの」

「それなら安心ですね」

「ええ」


アリアーヌ様のお相手は公爵家の三男で王宮で文官をされている。


近々子爵位を公爵様から譲られる予定で、子爵家当主としての勉強もされているわ。


ご挨拶をした事があるけれど、とても気さくな方よ。


これでアリアーヌ様は子爵家に嫁ぐ事が決まったわ。後は私だけね…。


「でも、お母様から習う事は増えたもの、覚える事が一杯よね」


ついつい皆で溜息をついてしまう。「内向きの仕事」というのが思った以上に大変なのよ。


「皆様も見ました?他家の…」

「見ましたわ…情報は大事ですけれど引きましたわ…」

「私は憧れていたご夫妻の馴れ初めにガッカリですわ…」


未婚の令嬢達の憧れのご夫妻が居るのよね。夜会で初めてお話ををしたけれど、とても仲睦まじいのよ。


貴族の結婚に夢を見すぎてはいけないと分かっていても、皆様そういう夫婦に憧れるのよね。


実際は完全なビジネスパートナー。


奥様のご実家は元々商会で功績が認められ男爵になった。ご本人も学生時代からお店を経営される商才のある方。その手腕を高く評価したご主人が、自分と結婚する利点を売り込み見事に結婚という契約が成立したのよ。


「でも、やりたい仕事をさせてくれるのなら良いのかしら?」

「そうですね、理解のあるご主人とも言えますからね」

「そうですね…口説き落とし方がアレですが…」

「そこなのよ!仲睦まじいのも事実らしいけれど、全然ときめきませんわ!」


恋愛小説大好きソフィア様とアリアーヌ様は、馴れ初めに本当にガッカリしているわ。


「でも、今はミュリエル様のお陰でキュンキュンするから我慢しますわ!」

「きゅっ…きゅんきゅん……」

「そうですわ。フェリクス様とのお茶会の後は、お話を聞くのが毎月楽しみですもの!」


2人してキラキラした瞳で見つめないで!恥ずかしい…。


「ふふ、ミュリエル様が困っていらっしゃるから、2人共そのくらいにしなさい」


シャルロット様が「この話は終わり」と手をパチンと叩く。




*****




社交のハイシーズンはあっという間に過ぎてしまった。


夏季休暇はデビュタントした事で、夜会に出席する事が出来るようになり忙しかったわ。


昨年までと違う慌ただしい日々に疲れ、時々フェンリルさんをモフモフしに行ったわ。


フェンリルさんは500年くらい生きているそうで、色々な事を知っていて楽しいのよ。


フェーリが居ないと行けないのが残念ね。


『フェリクスの事どうするの?』

『どうするって…まだ分からないわ…』

『何回お茶会したら分かるの?』


何回お茶会したら?そんなの私が聞きたいわよ。


だって、元々お兄様の事は大好きよ。男の人として好きって…どうしたら違いがわかるの?


『フェリクスってモテるんだよ。他の人に取られても知らないよ?』


そう…フェル様は物凄くモテる。夜会に一緒に出席してよぉーく分かったわ。


今は私のエスコートで傍に居てくれるけれど、私が他の人を選んだら…その人に変わるのよね…。


『分かっているわ…』

『はぁ…そんなに落ち込むならフェリクスで良いじゃん』

『落ち込んでないもの…ちょっとモヤっとするだけよ』


これはブラコン的なモヤッとなのか、男の人として見ているモヤッとなのか…ブラコン歴=年齢な私には分からないのよ…。


でも、他の人にエスコートされるとか…想像出来ないわ…。


『まったく……はぁ……』

『フェーリ!溜息をつかないで!』


私だって、どうすれば良いのか分からないんだから…。




*****




『何かあればとは言ったが随分と頻繁にやって来るな。我は「恋愛感情」など分からんぞ』


フェンリルさんが嫌がらないから、甘えて度々来ているわ。モフモフBODYで癒されながら一方的に愚痴を聞いてもらっている。


フェンリルさんやドラゴンは、それぞれ下位の魔獣が居て自分が死ぬ百年程前になると強い個体が生まれる。


死ぬまでに少しずつ力を引き継ぎ最後は記憶まで引き継ぐから、この世界に精霊が生まれた頃からの知識はあるそう。


『しかし、余り待たせるのは良くないのでは無いか?人の生は短い』


寿命千年の種族から見たら物凄く短いわね…。


『少しも嫌では無いのであろう?』

『そうだけれど…』

『好きな相手と番える方が珍しいのなら、好かれている方が良いではないか』


フェーリもフェンリルさんも番(伴侶)は持たないそう。


だからかしら?とても簡潔なのよね。好きか嫌いか。


『後は愛し子がその相手と番えるかだけであろう?』

『番えるか?』

『我は子孫は残さぬが、愛し子は子孫を残すのであろう?』


その番ね!いやいやいや!


髪に口付けられるだけでも恥ずかしいのに、つが……番とか……。


無理……無理すぎるぅ……。





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