21話
1年生の授業は基礎の復習から。
座学はあまりクラス内で差がないけれど、魔法の実技はかなり差がある。フェーリの言っていた魔力操作が甘いからだと思う。
私はフェーリが居たし、家庭教師の先生も「完璧に使えなければ、危ないから次は教えない」というタイプだったから、クラスの中では魔法の扱いが上手な部類に入る。
授業では主に光属性の練習をしているわ。
火傷や切り傷ができたクラスメイトを治して練習しているの。実際に練習するには怪我人が必要だもの。
中級まで使えるけれど、かすり傷程度しか治したことは無いの…。
あっ!愛し子の力はフェーリが連れて来る動物たちのお陰で、死んでいなければ治せるまでになったわ。
「ミュリエル様、ありがとうございます」
「いえ、私の方こそ練習台にしてしまって…」
「あら、いくらでも練習台になりますわ」
「ふふ、ありがとうございます。でも、あまり怪我をしないで下さいね」
治せると言っても怪我をすれば痛い。でも火や風属性は練習中、制御が甘かったりして怪我をする事がある。
適性が無い人ほどそうなるから、小さな怪我は授業中は当たり前。
私達には今は護衛が居るから、別に使えなくても問題は無いけれど、跡継ぎ以外はどこかに婿嫁入りしなければ働く事になる。
大人になった時に使えないと困るので、初級は習得するのが当たり前となっているの。
『私は結婚よりフェーリとの冒険の方が良いなぁ…』
『君が冒険者になるには外を知らないとね』
『そうね。私…知らない事が多すぎるもの』
当たり前に成長していく過程で覚える事が、寝込んでいたせいで結構抜けているのよね。わざわざ教わる事でも無いから、お勉強にも含まれていなかったし。
それに気づいたのはシャルロット様達とお喋りしていた時だったから、私ってかなりの世間知らずの箱入りだわ…。
*****
最初の1ヶ月は、クラスの足並みを揃えるための授業内容になっている。
2ヶ月目からは内容が進んでしまうから、理解の追いついてない人は休憩時間も誰かに教わったりして、頑張って勉強しているわ。
私達も授業が終わる度に、どこか分からない所は無かったか確認し合っているの。
「隣国の言葉は、聞き取りの自信が無いですわ…」
「私は読み書きの方が…」
15歳のデビュタントまでに自国を含めた3ヶ国語をマスターしなければならない。社交で恥をかきたくないなら頑張るしかないわ。
「デビュタントまでに出来るようになれば良いのですから、焦らず頑張りましょう」
そう言いながらも私の会話は愛し子の力で、読み書きはエマ達によるスパルタ方式のお陰よ。
皆からどうやって勉強したのか聞かれ、部屋の中では喋るのも本も隣国の言葉だけにされたと話したら「結構厳しいですわね…」と言われたわ。
読み書きは最終的には日記。2つの国の言葉で毎日交互に書いて覚えたと話したら、皆真似して書いているらしい。
「言い回しが分からなくて調べたりしてますが、随分と慣れてきましたわ」
「私はまだ、その日にあった事を箇条書きです…」
「私は箇条書きから少し文章になりましたわ。とにかく書き続ける事ですわ。間違えても誰かに見せる訳でもありませんから」
「私の侍女もあまり得意では無いので、会話の練習があまり進みませんわ」
「では、ランチの時に毎日言葉を変えてみましょうか?」
「良いですわね。間違えても私達だけなら恥ずかしくありませんし」
ランチの会話内容は、学園の事からお茶会の事まで様々だから良い練習になるわ。分からなければ普通に話して教え合い、また隣国の言葉で会話をするの。
時々言葉を考えながらも、皆少しずつ話せるようになってきたわ。
「毎日話すというのは結構効果的ですわね」
「ふふ、授業よりも実践的に話してますもの」
「私は日記も言葉も入学時より上達しましたわ」
「2月からの不安が減りましたわね」
毎日そうやって過ごしていたら、アリアーヌ様とソフィア様も気づけばお友達となっていたわ。
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シャルロット様達は私の交友関係が狭い事や時々常識が抜けている事を心配してくれ、まるでお姉様みたい。
「ミュリエル様は侯爵家や公爵家の方々と、交流されなくてよろしいの?」
「両親から何も言われていませんから、大丈夫だと思います。ご挨拶はした事ありますが…あまり仲良くなれそうも無くて…」
「まぁ…気は合いそうにありませんわね…」
公爵家、侯爵家の子供は私が1番年下になる。
王子殿下が17歳と14歳で、それに合わせて子供を作った家が多いから、13歳までの子供が多くて私達の歳から少し減る。
公爵家と侯爵家の子供は19歳から14歳。
両親とお兄様と一緒に各家のお茶会でご挨拶をしたけれど、ご令嬢は皆ジュリエット様とタイプが似ていて嫌な感じに偉そう。フェーリも嫌いみたいだから、会っても挨拶しかしていないわ。
「殿下方の婚約が決まってしまえば、少しは態度が柔らかくなる方もいらっしゃるかと…」
「私は殿下に興味は無いのですが…」
一応殿下にはお茶会でご挨拶をした事はあるけれど、お父様が「体が弱い」と言っていたから家としても婚約は望んでいないし、多分候補にも入っていないと思う。
何故ライバル視されるのかしら?




