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天を貫く山

 私はそのままゲームの世界へと向かった。

 背中から翼が生え、服装が変わる。そして、最後にログアウトした宿屋で目が覚める。私はそのまま外に出るが、ミノルの姿はない。

 ミノル、ログインしたんだよな?と思いながらフレンドを見ると、ログインしていないようだった。ぽんぽこも。


 なにがあった?


 私はいったんログアウトして、ミノルが何をしているかを見ることに。ログアウトすると、怒鳴り声が聞こえてきたのだった。

 声の主はミノルのかあさん。


「ゲームばかりしてないで勉強しなさい!」

「あぅ……」


 どうやら叱られているようだった。

 私がここで声を発したらログアウトしているのがばれて巻き込まれそうなので静かにログインすることにした。頑張れよ、ミノル。


「さて、ミノルがログインできなくなったからしばらく一人だな」


 今日はどうするか……と思っていると、地図が少し広がっていた。見たことがない場所が行けるようになっている。

 王都から先にあるあの山。あれは調べたところ雲を突き抜けるくらい高い山ということで、ハイクラウ山というらしく、あの頂上には何やら遺跡のようなものがあるのだという。

 前に行こうとしたが、その時は凶悪なモンスターが暴れているということでいけなかったが。


「誰か倒したのかな? 行ってみよう」


 私は空を飛ぶ。

 ハイクラウ山は緩やかな斜面だけでなく、岩肌むき出しの岩山もあり、割と頂上までは過酷。一応道はあるが、人が数人通れるかという狭き道なので、混みあうことは間違いないだろうな。空を飛べるなら空を飛んだほうがいい。


「こりゃ楽だよなぁ」


 私は翼を広げ、斜面に沿って飛んでいると、歩いているプレイヤーと目が合った。そのプレイヤーは知っている。というのも、フレンドだ。

 ショーグンとカイザー。その二人は私を見ていた。私は二人に近づく。


「お疲れ」

「お前飛べるもんな……。ずっりぃ」

「はっはっは。悔しかったら天使になってみなよ」

「なれるんだったらなりたい」


 と、なれないとあきらめているようだ。

 ま、見てしまった以上どうにかしたいので、私はスイープバタフライを呼ぶことにした。スイープと名前を呼ぶと私の手の甲が光り、目の前にスイーピーが現れた。


「うお、なんだこのでかい蝶」

「スイーピー、この二人をこの頂上まで運べる?」


 私がそう聞くとうなずいた。そして、道路の下まで身を降下させ、二人を乗せるように背中を見せる。

 

「ほら、乗りなよ」

「乗っていいのか?」

「いいよ。私がテイムした魔物だし私の言うこと聞くから」


 そういうと、二人はそのままスイーピーに乗り込んだ。スイーピーは重くないのかぴんぴんとしている。

 すると、その時だった。鳥の鳴き声が聞こえ、私はそちらのほうを向くと、大きな鳥の魔物がこちらめがけて突っ込んできている。


「うおっ、魔物だ。俺ら何も出来ねえぞ!」

「私がやるしか……」


 と、突然背後から粉が舞う。

 振り返ると、スイーピーが睡眠性がある鱗粉をまき散らしているようだった。テイムしている私には効果がないが、鳥の魔物には効果があるようで、鳥の魔物は一気に元気をなくしていくと、そのまま地面真っ逆さまに落ちていく。


「うえっ?」

「あ、スイーピーの鱗粉には眠る成分があるようでな。眠って地面に落ちてった」

「こわ……」

「よくテイムできたな」

「まぁ、頑張った」


 私たちはそう会話しながら、上へ羽ばたいていったのだった。








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