クエスト失敗のワケ
ミノルに防具とかを渡す。
「え、いいの!?」
「驚かせたからな。それで機嫌治せよ」
「やったぁ!」
と、さほど気にしてない口ぶりで、鎧を装備した。かわいー!と言いながらスクショをとりまくっている。
喜んでもらえたようで何よりだよ。
「ああ、シグレさん。僕からちょっと報告することがあってね、話してもいいかい?」
「報告?」
「まぁ、最初に結末を言おうか。僕はクエストを失敗した」
クエストを失敗?
「僕は希少な薬草をとるってクエストを前に受けたのさ。だが、問題が生じた」
「問題ぃ?」
「そのクエストは隠しボスクエストだった」
「ああ、なるほど」
隠しボスというのは、キークエストとかで戦うことになるボスではなく、普通のクエストに紛れ込んでいるボス並みの強さを持った魔物と戦うこと。
そういうのは依頼書に怪しい影とかそういう書き込みがなされているはずだが、あっただろうか?
「あれは初見じゃ難しいですね。改めて依頼書を見ても隠しボスがいるなんて書き込みはありませんし……」
「どれ、見せてみ?」
私は依頼書を見てみる。
【王都から少し先に行った山の山頂にある希少な薬草をとってきてほしいの。
自分で行ってもいいけど、親が危ないから採りにいくなということで冒険者さんに頼むしかないんです。よろしくお願いします】
という内容だった。
王都郊外の山……。ああ、なるほど。今は危ないと書いてはいるな。
「もしかするとこの危ないというのが隠しボスがいると暗示しているのかもな。読んだらまぁ、勘違いしそうな文章ではある」
「そこが暗示の文か……」
「これをみんなでやろうということか?」
「そうさ。僕たち二人では実力が足りなくてね……。この前集まったときにやろうと言い出したかったが用事があったみたいだからな」
「ああ、あのときか……。わかった。やろうか」
王都郊外の山か。となると、地図でいうマッキンリー山か。
「それじゃ、今から行こうか。私も準備は出来てるし」
「はーっはっは! ゆこう!」
「ハルサメさんとシグレさんがいたら百人力ですからね!」
「ハルサメみてー! かわいーっしょ!」
「可愛いというのは自分にはわかりかねますが……」
「二人とも、行くぞ」
「え、どこに?」
話聞いてなかったのかよ。
「マッキンリー山だ。そこには隠しボスがいるらしい」
「そいつを倒すんだ!」
「そう。だからいくぞ」
「了解であります」
「おっけー!」
私たちはマッキンリー山に向けて歩き出す。その道中、ボスと戦ったミコトたちからボスの情報を聞き出すことにした。
事前に何と戦うかわかっていたほうが戦いやすい。
「ボスはどんなやつだ?」
「それが……わからないのさ」
「見てないのか?」
「現れたかと思うとすぐ眠ってしまって。キルは一瞬だったよ」
「状態異常、眠りにするのは間違いないんです」
なるほど、眠らせてくる相手か……。それは確かに厄介だな。気を張ってなくちゃいけないか。
「強いほど燃えてくるな」
戦いというのは相手が強いほど燃えるもの。




