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教えてください

 車に乗り込み、ミノルの家の前に。

 ミノルはおかえりー!と涙して喜んでいたが、離れていた時間はわずか二日くらいなので涙するほどでもない。

 ただいま、といい、私はミノルのスマホの中に入る。


「寂しかったよぉー!」

「寂しい思いさせてすまなかったな」

「いえー! さ、ゲームやろー!」


 と、意気揚々と階段を登っていくミノル。ゲームにつながれ、扉が現れた。

 中に入り、いつものように姿が変わる。


「さて、やるとしようかね」

「帰ってきたんですね。シグレさん」

「うん」

「その、帰ってきたシグレさんにちょっとお願いがありまして」

「お願い?」


 ぽんぽこが少しもじもじしている。


「その……テーブルマナーについて教えていただけませんか?」

「テーブルマナー?」

「し、シグレさんは良家のお嬢様ですしそういうのわかってるかなと……。一応知識だけはあるつもりですが、いかんせん知識だけなので……」


 ふむ、テーブルマナーか。


「いいけど、こりゃまたなんで?」

「そのぉ、この前、祖父が亡くなったと言ったじゃないですか。それで、ですね。なんか偉い人と食事会することになって……」

「偉い人と?」

「真毅家の人です……」


 弥勒さんの妻の実家か。

 たしかあの人聞いた話では旧姓は真毅だったよな。その家と会食することになったからテーブルマナーを教えてほしいということか。

 

「別に大丈夫だと思うけど」

「でも……」

「マナーってのは要するに相手に不快感を与えないためのものだから知識だけでもいいんだよ。そういうマナーに厳しい人はたまにいるけどさ、マナーの本質がわかってないよね」

「そ、そうなんですか?」

「マナーに決まりがあるわけじゃない。本とかはそうしたほうが不快感を与えないよって言ってるだけだよ。その場によって臨機応変に対応するんだ。そういうのって」


 マナーというのは心の問題でもある。思いやりというものだ。


「よく漫画とかじゃお嬢様たちは音を立てて食べないっていうけど、あれは音を立てたら皆が不快と思うから立てないんだよ」

「そ、そうなんですね」

「そういやシグレ、食べるときがつがつと食べる割には音立てないよねー!」

「これも名家の血かな?」

「うるさい。ともかく、食事に関しては最低限のマナーを履修するだけでいいって話。フィンガーボウルとかそういう知識は必要だけどね」

「フィンガーボウル? なにそれ」

「高級レストランとか行くとたまにあるんだけど、水が入ったボウルだよ。骨付きの肉とか……果物とか食べる際に出されるんだ。こう、指先を洗うんだよ。基本的に店の人が教えてくれるけど教えてくれないところもあって、慣れない人は飲むんだよね」


 そういった食べ方の知識は必要だ。

 どうやって食べるのか理解してないと失礼にもあたるときがあるって弥勒さん言ってた。


「まぁ、教えるったって知識だけだよ」

「そ、そうなんですか……」

「シグレきびしーい」

「うっさい。マナーは人によって変わるんじゃい」


 マナー講師とか自分で作ってるのもあるからな。あれ半ば詐欺だよ。


「あ、そうだ。ミノル、これらやるよ」


 私は今思い出した鎧とスキルの書をミノルにあげた。









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