日記を探せ! ①
宿屋の前にいくとミノルとハルサメ、そしてミコトが立っていた。
ぽんぽこも後ろから走ってきている。
「んで、なにすんの?」
「今日はねー、依頼クエストをこなしましょー!」
「依頼クエスト?」
「昨日、僕たちで集めたのさ。三つの依頼をね。討伐クエスト、採取クエスト、捜索クエストの三つさ」
ふぅん……。
「二人、二人、一人で分かれてクエストに挑むらしいんです。どれがいいですか?」
「はい、これが内容だよ」
と、依頼クエストの紙を手渡してくる。
一つは、とある魔物を討伐してその素材を納品してくれというクエスト、もう一つは希少な薬草を取ってきて欲しいというクエスト、最後の一つは騎士団と一緒に王城で書庫と探し物ということ。
「騎士団のやつは私かミノルのどっちかで決定じゃんかよ」
「うん。うちだから頼んできたみたいでさ!」
「じゃ、私がやるよ。騎士団のやつ。ミノルやりたくないだろ?」
「……あはは」
「あとは二人ずつ行きなよ」
私は騎士団の依頼を手に、騎士団の詰所に向かう。
騎士団の詰所の扉を叩き、勝手に中に入る。
「こんちわーす」
「誰です? ああ、シグレさん。こんにちは。今日はどうなさいました?」
「いや、依頼くれたみたいだから……」
「あ、その依頼ですね。わかりました。今から王城の書庫に行きますので……とその前に……ものすごい圧というかオーラを感じますが……何かありました?」
「いや、なにも」
「その王冠……」
「これは……まあ気にしないでください」
皇帝に隠し効果でもあるのだろうか。そういう威圧を与える効果というものというかなんかが。
まあいいでしょう。とっちゃったもんは仕方ない。
「では、馬車にお乗りください」
そう言われたので馬車に乗り込み、私は初めて王城に入ることになった。
王城内はまあ……その、普通の城だった。
「こちらです」
と、中に入ると、眼鏡をかけた女の若い人が積まれた本の下敷きになっていた。
「うおう!?」
「今すぐ助けましょう」
私は本を避け、女の人を引っ張り出す。
「いてて……」
「普段から整理しろと言っているでしょう」
「えへへ……。どうも王城は興味深い本ばかりでして。片付けてもすぐに散らかしちゃって」
「はあ……」
「それで、そちらが依頼を受けてくれた信頼できる人ですか?」
「ああ。シグレ様だ。身分は……平民だが信頼はおける」
そういった紹介を受け、私は一礼。
「どうもどうも。私は王城の書庫を任されている司書のハピナっていいます。よろしくです。依頼内容はご覧になりました?」
「探し物ですよね?」
「そうです。それも、ただの探し物じゃありません。無くなったのは前王の日記帳でひじょーーに貴重な代物なんです。それを無くしたと知られたらクビですよクビ! なので探すの手伝ってください」
「まずなぜそれを無くしたんですか?」
「いやぁ、私が読んでてどこかにおいたのを忘れてるみたいで……」
お前のせいかよ。
「無くした日は一昨日で、一昨日、行動していたのはここと、もう一つの禁書庫、王城に用意されてる私の自室ですね。禁書庫は流石に認められた人以外は入れられないので私が探します。その、イオリさんと二人でここを探して欲しいんですよねぇ」
「ということ。本当にしょうもない頼みですいません。困ったこいつが私に相談してきまして。まだ誰にもバレてませんが、いずれバレるのでその前にと」
うわぁ。素直に言わないのかよ。
まあ、そんな貴重なもんをなくしたって素直に言いたくないよな。
「わかりました。それじゃやりますか……」
私は本を一つ一つ手に取りタイトルを読んでいった。




