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ヴァルゴ農園

 暴漢たちに襲われる災難を切り抜け帰宅。

 ミノルはもっとお出かけしたかったのか少し不満げな顔だったが、すぐに気持ちを切り替えてゲームやろー!といってきた。

 春雨は自分に与えられた部屋にこもり、ミノルも私をヘッドギアにつなげて、そのままログイン。ピンク色の扉を開けて、扉をくぐると私の背中に白い翼、そして服装が王冠をかぶった肋骨服にマントを付けた皇帝へと変化していく。


「なんか魔法少女の変身シーンみたいなんだよな」


 感想がそれだった。

 私たちは昨日拠点でログアウトしたので、桜の木の下で集まっている。拠点は私たち用に改造されており、座る椅子などがいつの間にか出来てるし、依頼のボードとかもいつの間にか出来ている。もっともこの依頼ボードはいつできたかわかんないし、消化したことなんて一回もないが。


「さて、王都に行くかね」


 私は翼を広げ飛び上がる。

 王都目指して飛行していた。王都郊外のほうに行くと、何やら畑のようなものができていた。すごい面積の畑で、大農園でも作るつもりかというぐらい。

 こういう畑ってあっただろうか? と思い、私はその畑の真ん中に降りる。


「……本当に畑だな。こんなのあったか?」


 私が土に触れていると。


「どうしたのかな?」

「おわっ、いや、王都郊外にこんな畑あったかなって思って」

「ああ、気になったんだね」


 と、銀髪の優しげな顔をしている男の人が微笑む。


「ここはね、僕が土地を買って始めた農園なんだよ。僕はプレイヤーのヴァルゴ。こっちは僕の使いの妖精のフォレス」


 と、葉っぱのドレスをまとった小さな妖精がどうもとぺこり。


「このフォレスの力で畑を耕したんだ」

「へぇ。すごいですね」

「フォレスはすごいんだよ」


 自慢げにそう話してきた。


「ゲームで農園やるんですか?」

「そう! 僕は前々から農業に興味があってね。現実じゃ今重大な土地不足っていうでしょ? だから田舎のほうでも土地が値上がっててさ、僕のちんけな資金じゃ到底買えないんだよね。でもゲームなら金稼ぎも簡単だし、出来るかなって思ってさ」

「へぇ……」


 すごいな。ゲームは。

 ゲームは現実じゃいろいろと問題があってできないこともできるようだ。


「ヴァルゴ大農園として経営していくつもりだよ。お客さん第一号の……名前なんだっけ?」

「あ、シグレです」

「シグレちゃんにはいろいろとおまけしておくからさ。フレンド交換しようよ」

「いいですよ。美味しそうな野菜とか出来たら教えてくださいね」

「おっけー!」


 ヴァルゴさんとフレンド交換をする。


「これから種植えるんですか?」

「そう! トマトとか、そういうのかな。ハーブとか作ってハーブティーに加工して売ってもいいんだけど、ハーブティーって好みあるからさ」

「まぁ、そうですね」


 私は紅茶がそこまで好きじゃない。紅茶よりコーヒー派だった。


「やっぱ一番最初は定番の野菜を作って売ろうかなってね。変に奇を衒うと売れなくて失敗とかしそうだからさ……」

「そうですね。最初は無難なのから始めていくほうがいいのかもしれませんね」

「だよね? 僕と同じ考えの人でよかったぁ。僕の友人は変なものばっか作らせようとしてくるから僕のほうがおかしいのかなって思ってたんだよ」

「あはは……。随分とチャレンジャーな友人がいるんですね」

「チャレンジ精神が旺盛なのは褒められるところなんだけどね」


 と、ヴァルゴさんは眼鏡をくいっと上げる。

 そしてその時にミノルからメッセージが届き、王都の宿屋で待ってるからねと来ていた。


「すいません、友だち待たせてるんでいきますね」

「あ、はい。今後ともよろしくお願いいたしますー!」


 そういって、私は翼を広げて空へ飛び立った。







ヴァルゴ(cv石田彰)

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