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漫画かよ

 舞台は現実世界。最近ログインしっぱなしなのでどちらが現実世界か麻痺してくる。私の場合は特に。

 スマホの中にいつもいるので現実かどうか曖昧なのよ。


「で、そんな可愛くコーデしてどこいくつもりなんだよ」

「んー、どこだろ」

「行き先決めてないの?」

「今日は行き当たりばったりな気分」


 おい。


「今日はシグレも連れてくよ!」

「わ、私も?」

「うち一人じゃ寂しーじゃん? あ、ハルサメは下でなんかトレーニングしてるっぽいから連れてこ!」


 といって、階段を駆け降りると春雨が腕立て伏せをしていた。

 ふん、ふんと汗を流し腕立て伏せをする彼女の腕は筋肉質。


「春雨ー! でかけよー!」

「了解であります」


 と、春雨は腕立て伏せを切り上げ汗を拭く。


「あら、出かけるの? ミノル。気をつけなさいよ。最近ここらで暴力事件あったようだから」

「はーい!」


 そういって春雨を連れて外に出る。

 暴力事件か。ネットニュースになってたな。犯人はまだ捕まってないという。

 シグレは行ってきまーすと告げて外に向かうのだった。


 私たちの住む街は郊外と賑わっている都市部があり、私たちの高校は都市部の方にある。

 ミノルの家も比較的裕福ではあるため都市部の方に居を構えている。都市部の方は人が多い分その分トラブルもなくはない。


「うへぇー、なんかめっちゃ今日人いるねー。何かイベントあったっけ?」

「いや、何もないはずだし……めっちゃイカつい人ばっかだな」


 ヤクザのような人たちばかりだった。すると、シャッターを閉めている人が私たちを手招く。


「お嬢ちゃん、気をつけろ! ここらで例の暴行犯がいるということでな、ヤクザの人たちが街の人を守るために歩いてんだ」

「そーなんですか!」

「悪いことは言わねえ、帰った方がいいぜ? 暴行犯は一人じゃないらしい……。半グレどもという話だ」

「じゃあ帰ろっか。やっぱ痛いのやだし」


 そう言って、ミノルはありがとーと言って帰ろうとすると、ミノルは誰かにぶつかった。


「あ、すいませーん!」


 と、ミノルは顔を見上げると金髪に頭を染めた金属バットを持った男だった。

 男はぎろりとミノルを睨みつける。ミノルはひゅっと変な声を出していた。


「おい嬢ちゃん……なにぶつかってきてんだ?」

「…………シグレぇ」

「とりあえず110番……」

「させるかよアホが」


 と、ポケットに手を突っ込んできて私が入ってるスマホを取り上げようとした時、春雨は男の腕を掴み捻りあげる。そして、私を手早くキャッチすると春雨は自分のポケットに一時的に入ってくださいという。


「いてえ! なにしやがんだテメェ!」

「…………」

「なんとかいえやぁ!」


 と、左腕で殴りかかってくる男。

 その拳を受け止め、春雨は右手でぶん殴る。男はそのまま地面に倒れ伏し、気絶したようだった。

 さ、さすが元軍人。戦いはお手の物か……。


 すると、その仲間の男たちが突っ伏した男を見て、こちらを睨む。

 騒ぎを聞きつけたヤクザの人も集まってきた。何だこの抗争。漫画の中か?


「テメェ……」

「シグレ殿。あの奴らやっていいと思うでありますか?」

「……やりすぎないようにな」

「了解であります」


 そういって、春雨の体が急に動く。

 半グレたちを次々とのしていった。その光景は半グレたちにとっては恐怖だったのか、逃げろという言葉を言い切る前にのされていく。殺してはいないようだが、一発一発で気絶させていくのは恐ろしいだろう。


 ヤクザの人も唖然としているのか、なにもんだありゃあという言葉が聞こえてくる。


「すっげえ……」

「……いい運動にはなったでありますな」

「お嬢ちゃん、てめえなにもんだ? なぜそんな喧嘩を……」

「自分は元軍人であります」

「ヤクザのお兄さんたち、鬼神の春雨って知ってる?」

「……知ってるが、まさかこいつが?」

「そうですよ。その春雨です」


 そういうとヤクザたちは凄えという声を出した。ヤクザも日々戦いに身を置いてるから知ってるのか?


「この嬢ちゃんにチャカ向けてもびびんなそうだな」

「慣れております。流石にマシンガン相手は苦戦しますが」

「苦戦どころじゃねえよそれは」


 ヤクザの人の冷静なツッコミ。最もです。


「ぐふっ……舐めてんじゃ……ねえ、ぞ」


 と、背後でナイフを持って走って向かう半グレの人。そのナイフを躱し、頭を掴んで地面に叩きつける。

 半グレの男はそのまま気絶した。ナイフがヤクザの方に飛んでいき、それはまずいと思ったのかナイフの刃を素手でとる。


「鬼島、大丈夫か!?」

「この程度大丈夫であります。それよりこれから後が怖いですな。こういう輩は報復に来ると思うでありますし」

「それに関しちゃ任せておけ。後始末は俺らがつけてやる。すまなかったな、手を煩わせちまって」

「自分の友人が危機でありましたから。大丈夫だったでありますか? ミノル殿」

「全然よゆー!」

「この嬢ちゃん絡まれといてこんな元気なの大丈夫か?」

「メンタルだけはぶっ壊れてますからねぇ」


 ミノルのメンタルは私より強いからな……。








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