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皇帝の名にふさわしい

 イベントもそろそろ終わりそうなのか、待っていると五組目のペアが脱出してきた。

 あれから三組目、四組目はすぐに来たが、五組目がなかなか来ず、私たちはただただ待ちぼうけというか、いろいろ城の周りなどを探索して過ごしていた。

 次のイベントは終わったら即帰宅とかそういうほうがいいと思う。


 そして、五組目が脱出したということで、私たち全員の前にイベが現れる。


『みなさん、お疲れ様でした。第一サーバーは5組、脱出が完了いたしました。これにて第一サーバーのみなさんはイベントが終了となります。では、元の世界へ、お戻りくださいませ』


 無機質な声が響く。

 そして、一瞬にして私たちの視界は変わった。私とハルサメは拠点の桜の下に立っていた。ミコトたちは拠点で何か遊んでいたのか、カードを落としてこっちを見る。


「よぅ、ただいま」

「え、何そのかっこ……」

「かっこいいだろ」


 私はマントをひらめかせる。

 バサァと心地よい音を立てる。


「かっくいー! 王様じゃん! その王冠とかさぁ! ずっるい!」

「ははは。うらやましがっても何も出ないぞ」

「はーっはっは! すごい! 実に美しい王だね! 我が国の女王はとても美しい!」

「……なんか大げさすぎて嘘くさいんだけど」

「これでも僕の最大の褒め表現なのだが!?」

「……新たなスキル、皇帝?」

「私を鑑定したんだなぽんぽこ。そ、皇帝スキルを手に入れた」


 私は弓を構え矢を放つ。近くの木に皇帝スキルを使い、雷をまとわせる。見事木に命中し、矢がビリビリと音を放つが、そこまで雷が強いというわけではない。

 

「あれ、こんなもん?」

「しょぼ……」


 とミノルが言いかけたその時だった。

 ピシャアン!と鋭い轟音が私たちを襲う。つんざくような雷鳴に、私たちは思わず耳をふさぎ、雷の光のまぶしさがゆえに目を閉じる。

 そして、しばらくして目を開けると。


「えっ、木が燃えている……?」

「あれってさっき矢を打った場所ですよね?」

「……もしかすると、皇帝スキルは雷をまとわせて本当の雷を呼び起こすのではないだろうか」

「かもしれない。もう一発」


 私はその近くの木に矢を放つと。

 その木にも雷が直撃する。雷はその木を切り裂き、火が広がっていく。本当に雷を呼び起こすんだな。120%というのはこういうことだったのだろうか。

 いや、割とマジで威力がすごい。


「さすが皇帝といったところだね! 雷を操るとは! 素晴らしい! まるでイヴァン4世だね!」

「ロシアの皇帝……恐ロシア」

「シグレ、うまい!」

「いや、割と有名なダジャレだけど」

「ほう? イヴァン4世は知っているのだね! さすがは名家の出、教養はしっかりとあるようだ」

「なめてんの?」

「いや、誉めている」


 褒められてるようには感じないけど。


「ですが雷を呼び起こすというのは強力ですね。皇帝の名にふさわしいといえます」

「だろ? ぽんぽこ。よくわかってる」

「むうう、なんかシグレだけずるーい……」


 またミノルのずるいモードが出たな。








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