脱出
穴を這いずっていったその先には。
ティアラなども置かれていた。だがしかし、それだけじゃない。何か異質な雰囲気がある。
「部屋……?」
その時だった。
大きな地響きが鳴り響く。そして、出口なんてなかった部屋に突然、何かが飛び出てきた。
それは、鍵がついた扉。
「……開けてみるか」
私は持っていた鍵を鍵穴に差し込み回す。ガチャン!という音がしたと思いきや黄金の鍵はポロポロ崩れていく。
すると、通路が。
「よし、いくか。ハルサメ、嫌な予感はあるか?」
「いえ……杞憂だったみたいであります」
「よし」
私たちは全力でその通路を走っていく。
私たちが通路に踏み込んだ瞬間、突然扉が一人でに閉じたのだった。私たちが触れたわけではなく、一人でに。
「開かないであります」
「……私たちは先に進むしか選択肢がなくなったようだな」
ということなので私たちは怯えずに先へ進もう。
ここはどこなのかわからない。地下であることは間違いないのだが、この先が行き止まりであるというのは考えづらい。
私たちは長い道を歩く。
「……背後から誰か歩いてくるであります」
「……足音聞こえないけど」
「気配はあるのであります」
そういうのなら……と、私は背後を振り向くと。足がない白いドレスを着た可愛い女の子が立っていた。
その女は左手にナイフを持っている。
「うほおおおおおお!?」
「くっ」
私たちは全力で走る。
背後を見るとその女はナイフを手にし追いかけてきている。なに、これ死ぬの?
私たちは全力で走った、が。
「行き止まり……?」
壁に突き当たる。その女の霊はまだ残っている。私たちは壁際に追い詰められ、死を待つのみだと思っていた。が、ハルサメは上を見上げる。
「扉があるであります!」
「よっしゃ、脱出……と言いたいけど」
「脱出する隙がないでありますな」
女はナイフを振り下ろす。ハルサメはナイフで防ごうと思っていたようだが、何か直感で危ないと感じたのかひらりと躱すことにしたようだった。
そして、ハルサメは力強く飛び、忍者がやる三角飛びをして天井に触れると、何かがずれて光が入ってくる。
だがしかし、幽霊は止まらない。ハルサメは素早く登り、手を伸ばしてくる。だがしかし、追い詰められた私は登る余裕なんてのはない。
「……王の威厳であります! あれを使うのであります!」
「なるほど!」
それを使えということか。
私は王の威厳を使用すると、幽霊の動きが一瞬止まる。そして、私はハルサメの手を取り、上に上がった。
「……外?」
私たちは落ち着いて周りを見ると。既にそこは外だった。
そして、私たちの前にモニターが現れる。
イベというAIが現れた。
『おめでとうございます。見事脱出に成功しました』
あ、クリア出来たんだ……。
『一番目に脱出なされましたので豪華賞品が与えられます。イベント終了まではこの空間を出ることは出来ませんのでご了承ください』
「まあ……わかったよ」
『では、賞品はこちらになります』
と、私たちの目の前にSランクスキルの本という文字が書かれた冊子が落ちてくる。私とハルサメはその本を手に取った。
これはどうやら普通では手に入れることのできないSランクスキルを確定で手に入れられるものらしい。
Sランクスキルは基本的にランダムスキルの書でしか出ないのだという。
「影魔法、光芒霧消に続いて三つ目のSランクスキルだな」
私はそのスキルの書を開く。
《スキル:皇帝 を取得しました》
《職業:皇帝 へと変化します》




