奪い合えと?
影の中を移動し、背後に移動する。
私はまず背後に回り込んだ。そして、光の矢を放つが、魔法使いの魔法によって相殺される。そして、もう一撃魔法が目の前まで飛んできていたので、反射神経でそれをかわした。
「あっぶなっ!」
「シグレは影魔法を使うという情報知らなかったら不意打ちされていたな」
「知られてるとやっぱ通じないか」
私は影の中から出る。
「しょうがない、二手に分かれよう! 両方に意識しないように! 俺らはこの女をやるからあんたら遠距離組はそのシグレを頼む!」
「わかったわ!」
と、二手に分かれるようだ。だがしかし、それはハルサメをなめすぎじゃないか?
ハルサメはナイフをすでに構えており、もうすでにスイッチが入っている。最強だった軍人相手に二人だけで挑むのは無謀だと思うんだ。
私は再び影の中に潜り込む。
そして、さっき指示出した男の足元に顔を出す。
「こっちは別にあんたらの戦いの指示を守る必要はないよね」
私は男の足首をつかむ。
「感謝するぞ、シグレ!」
「こんの……!」
「私たちを見くびりすぎでしょ。二人だけでどうにかできるわけないって」
ハルサメは首元をナイフで切り付ける。急所で、大ダメージ。ただ、一撃では死なず、ポーションを使おうとイベントリに手を伸ばしたが、ハルサメにもう一撃加えさせられていた。
一人撃破。
「ちっ」
「あと三人だな」
「任せるであります」
そういって、ハルサメは玉響と唱える。すると、女の背後に一瞬で回り込んだ。ナイフで一撃。すかさず隣の魔法使いが魔法を唱える。
私は光の矢を放ち狙撃。その女は一撃では死ななかったが魔法を唱えることができない。もう一度唱えようとしたときにはすでに遅く、ハルサメが一撃を加え消えていく。
「よし、残り一人」
「やばいぞこいつら……。強すぎる……。なんだよその女! 身体能力が違う……」
「そりゃ少し前まで戦場を駆け抜ける軍人だったもんなぁ」
「死地を潜り抜けた数が違うのであります」
そういって、残り一人の男めがけて走りだすハルサメ。
私も矢を放つ。外すように矢を連射する。これでよけることはできないはずだ。真正面からハルサメと打ち合う。だがしかし、真正面からハルサメに挑むのは無謀なのだ。
ハルサメは素早くナイフで切り付ける。男は剣で受け止めたが、ナイフの連撃による攻撃はかわすのに精いっぱいのようだった。
私はさっき手に入れたスキルを使うことにする。
「王の威厳」
私はそう唱えるとその男の行動が一瞬止まる。
「なっ……」
「しまいだな」
ハルサメは急所を二連続で切り付けた。
男は地面に倒れる。
「何で今動けなかった……? こいつのスキルの訳がねえ……。そんなの使ってるように見えなかった……。だとしたらシグレ、シグレだな……くそおおおおおおお!」
そう叫んで、消えていく。
ハルサメが大体活躍したせいで、私はノーダメージだった。ハルサメも多少のダメージはあるようだったが、ほぼ無傷。
「ま、両方キルしたし数分でリスポーンするから今のうちに逃げるとしよう。ここにはもう用はないからな」
「了解であります」
私たちは玉座の間を後にした。
私たちが手にした鍵。これだけしかないというのは考えづらい。もっと他にあるはずだ。これしかないというのは奪い合いをしろということ。
だからPKも許可したのだろうか? わからないな。




