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俺が手を引くよ

 扉を開いたのは知らないプレイヤーだった。

 私と目が合う。あっちも戦闘態勢をとっていた。私はそのまま玉座から降りて話しかける。


「戦うの? 私たちはまだ鍵すら手に入ってないし戦うだけ無駄だと思うけど」

「……それもそうだな」


 そういって、剣を下ろす二人。

 だがしかし、戦うだけ無駄というわけではない。片方をキルすればどこかランダムでスポーンするので切り離すことが可能。

 スポーンするまで二分だという話を聞くから、二分間粘っていれば切り離すことが可能となるわけだ。


 ただ、キルしたときのペナルティが気になるしやめておこう。


「ここは私たちがまず探してるんだよ。あとにしてくれない?」

「それはできないな。もしここにあったとしたら俺らが困る」

「最初に見つけたもん勝ちでしょ? ここは私たちに譲ってよ」

「嫌だ」


 強情な奴。

 背後に控えているハルサメは私を見ている。私の指示待ちということか。いや、キルしないって言ったばかりだけど退かないのは少し話が違う。

 無理に自分たちの意見を通すしかないな。


 私はうなずくと、背後からナイフでひとりのほうのプレイヤーをハルサメがキルした。


「なっ……!」

「しょうがない。力づくでやるけど……。ハルサメ、二分待て! 今キルするとここで復活することになる」

「わかった」


 しょうがない。キルしてやろう。

 男は剣を構えてハルサメを切りつけるが、ハルサメはその攻撃を余裕で躱す。二分経つまで攻撃はしないらしく、適当に煽っているようだった。

 その煽りに乗せられた男は剣をぶんぶん振り回す。だがしかし、がむしゃらではないようだ。


 きちんとハルサメを捉えて剣を振り回している。


「くそ、なんであたんねえ!」

「銃弾より避けやすい」


 ハルサメは比較対象が銃弾という時点でおかしい。


「わかった! ここは俺のほうが手を引く! だからやめてくれ!」

「……本当かな」

「本当だとも! 俺はここを探さねえ! いいだろ?」

「……ま、いいでしょ。ハルサメ。やめていいよ」


 私はそういうとハルサメはナイフを下ろす。嘘をついて生き延びる男ではなさそうだ。


「ふいー。助かった。悪かったよ。俺はここで引く。その前にあんたらの名前を教えてくれよ」

「私はシグレ」

「自分はハルサメであります」

「シグレ……? シグレって、あの天使のシグレか」

「やっぱ知ってるか」

「その翼で気づくべきだったなぁ……! シグレがこんな恐ろしい戦士を味方にしてるなんて情報なかったから警戒してなかったぜ……。俺はバルク。イベントが終わったらフレンドになろうぜ。だめか?」

「いいよ」


 フレンドになる約束を交わし、バルクは玉座の間から出ていったのだった。

 私たちは再びこの玉座の間の捜索を始める。玉座に仕掛けがありそうなもんだけどどこにあるのだろうか。

 ハルサメも置かれている置物を適当に触ってはいるが何も起きない。


 数分もたてば大抵のものは調べ終わった。


「この部屋にはなさそうでありますな」

「そうだな。じゃ、違うところいくか」


 私たちは玉座の間を後にして、廊下を歩く。

 すると、目の前に現れたのは深く空いている穴と一本の狭い道。ライトで照らしてみると下には棘があり、落ちたら死にそうだ。


「ここ、渡るか」

「了解であります」

「渡れるか?」

「大丈夫であります」


 私は翼を広げる。

 私の場合飛んでいけばらくちん。

 ハルサメのほうも、その狭い一本道を駆け抜けていた。度胸もあればバランス感覚もあるのか。私平均台とか苦手だからその一本道は走れないんだけど。


「よし、じゃ、次の捜索部屋はこの部屋だな」


 平均台を渡った先にあったのは一つの部屋。ここにはなにかありそうだ。









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