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殺さねば殺される

 自分が特別な種族になったということでミノルはご機嫌だった。

 

《運営からメッセージが届きました》


 と、メッセージが届いたようなので確認してみる。

 内容は不具合を修正したことと、第一回イベント開催のお知らせだった。

 第一回イベント。内容はというと。


「脱出ゲーム?」


 数十人単位である建物に閉じ込められるらしい。

 そこからいち早く脱出したチームの勝ち。二人一組で参加する脱出ゲーム……。へぇ。

 そして、送られてきたメッセージには参加するかどうかを送るフォームがあり試しに押してみるとプレイヤー名を記入しなければならないようだ。


「……これミノルとはなあ」


 正直この手のイベントはミノル参加しないだろうけど、参加するとしてもミノルとは正直やだ。だって絶対手を焼く。


「イベントだーー!」

「……参加すんの?」

「しないよー! 頭使うのやだもん!」

「だよね」


 ホッとした。

 じゃあ誰と組むかな……。候補としては二人いてぽんぽこかハルサメ。

 ハルサメに体動かすのを任せるか、どうやって解くかぽんぽこと二人で考えるかの二択。


「よし、二人に聞いてここから近いとこにいる人にしよう」


 私は二人にメッセージを送る。

 すると、イベントのことですか?とぽんぽこから来た。そして、断りのメッセージ。

 どうやらぽんぽこはそのイベントの日はお爺ちゃんの命日らしく、家族でお参りにいくらしい。それは大事なので無理に誘えない。


「じゃ、ハルサメか」

「なぜ僕が候補にいないんだいっ!」


 と、背後からミコトが泣きついてくる。


「いや……だって騒ぎそうだし……」

「うぐっ……」

「今でも十分騒がしいのに」

「うぐあっ」

「それに、運動そこまで得意そうじゃないし」

「うぐあああああ!」


 言葉の暴力で打ちのめされていた。


「ならハルサメを探さないとな」

「シグレ……すげー」


 私はハルサメを探すために歩いているとハルサメからメッセージが届いた。

 今は郊外の平原の方にいるということ。厄介な人達に絡まれたので仕置きしていたという。そこに向かっているとガクガクと震えている男の子たちとその後ろでその男の子を笑うような女の子たち。小学生?


「なにがあったの?」

「うちの男子があの女の人キルするのも余裕だって言って攻撃したの!」

「そしたらねー、かえりうちにあってんの!」


 なるほど。かっこいいとこ見せたかったんだな。そのために人を利用するのは違うと思うが。


「ハルサメ。そこら辺にしておきなよ。まだ子どもなんだから」

「……子どもといえど武器を手にしたからには戦う意思があるというものでありますが」

「…………」

「ひいっ!? た、助けて……!」


 ハルサメはナイフを振り下ろす。私はハルサメの手を受け止める。


「やめろ」

「…………」

「この国の子供達は戦いを知らないんだ。平和を知らないお前と戦いを知らないこいつらじゃ思想なんかも違うのはなんとなくわかるだろ」

「……そうでありますな」


 と、ナイフを収めてくれた。


「悪かったでありますな。だけれど、二度目はないであります」

「あ、ありがとうおばさ」

「ん?」


 私は弓矢を突きつける。


「お姉ちゃん……」

「よろしい。ほら、もういけ。私はこいつを連れてくから」


 私はハルサメの手を引き連れて行く。


「それにしても……自分のナイフを受け止めるなんてすごいでありますな。これでも接近戦には自信がある方なのでありますが。何か武術などやられておったんですか?」

「護身術は小さい頃に習わされたんだよ。それよりお前な……。売られた喧嘩を買いすぎ。敵に執着しすぎ」

「ははは。昔から敵は殺しておかねば殺されると言われておりましたから」


 笑い事かよ。


「それで、何のようでありますか?」

「ああ、いや、三日後に行われるイベントに一緒に参加しないかと」

「ミノル殿とは参加しないのでありますか?」

「アイツはバカだし……そういうの参加しないんだよ」

「なるほど。ならば良いでありますよ。上官命令には従いますとも」

「私上官扱いなの?」

「ええ。グループのサブリーダーなのでありましょう? 軍隊で言えば副隊長みたいな感じであります」


 そうか。副隊長は階級じゃないけど上官みたいなのは同じか。

 

「んじゃ、よろしくな。私が頭を使うからハルサメは肉体労働を頼む」

「適材適所というものでありますな」

「そ」


 さて、イベントの脱出ゲーム。どんなものかね。










マル秘情報:ハルサメが元々主人公の予定だった

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