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老婆

 シンゲンとマサがあの時の、ねぇ。

 今さら思い出すということはもうこいつら眼中になかったということかな。何だか悪い。


「……正体わかったらなんか気まずくなってきたな」

「わ、悪い」

「いいけど……」


 私はゆっくりと歩き出す。

 もう逃げよう。気まずいし。そう思っていると二人もついてくる。


「なんでついてくるんだし……」

「いや……その……」

「ついてくんな。もう謝ってくるのはいいんだよ……」


 どいつもこいつも。

 謝ったって変わんないんだからウザいだけなんだっての。

 私は飛行スキルを使い飛び上がる。

 そしてそのまま飛び去った。


「鳥のように自由だな……今のアイツは」


 そう聞こえた気がした。

 そうだ、私は今自由なのだ。自分の家柄も、自分の過去も何もかもどうでもいい。私は自由の翼。ふふふ、かっこいい響きだな。


「シグレーーーー!!」

「…………」


 ミノルが私を呼んでいた。

 地上を見下ろすとミノルが手を振っている。だがしかし。


「ツッコミどころがありすぎる」


 なぜスク水?

 そして、周りの視線を一気に集めている。私は仲間だと思われたくないので王都郊外まで無視して飛行していく。

 ミノルも無視されたことに気づいてないのか、おーい!と走って追いかけてきた。


 しょうがないので私は地面に降り立つ。


「んもー! どこいくのさ!」

「……なんでスク水なんだよ」

「え? これが防御力一番強かったから……」


 ステータスを見せてくる。たしかに防御力は上がってこそいるが。

 違う方の防御力が下がっている。こいつには羞恥という感情は基本的にないからな……。運営もこれを防御力高く設定するなよ。


「着替えろ」

「えーー!?」

「お前、街中をスク水で歩くヤバい人だと思われるぞ」

「うっ」

「ったく」


 そういうとミノルは素直にきがえた。ビキニアーマーに。

 なぜそういう際どいのしか持ってないんだこいつは。服とかめちゃくちゃ可愛いの選ぶくせにさ、こういう大事なものに関しては本当に……。


「それ以外だアホ。そんなに肌露出したいのか」

「ええーー!」


 文句言いながらも素直に着替えてくれるあたりはいいんだがなあ。

 ミノルは今度は普通の鎧だった。何の変哲もない鎧。まあいいでしょう。健全だし。


「しばらくそれでいなよ」

「これ可愛くなーい……」

「可愛いより自分を守ることを優先しろよ……」

「スク水の方が防御力あるよ!!」

「貞操観念を持てお前は! 子どもか!」


 知能は本当に幼いんだよこいつ。本当に高校生か?


「もういいわ……。で、ここどこだろうな」

「ん? ああ、なんか夢中で追いかけてきたから分かんないや……。マップひーらこ!」


 その時だった。

 路地裏の方からにょきっと老婆がでてくる。怪しげなローブを纏っている。あからさまに怪しい……。

 その老婆は私たちと目が合うとキヒヒと笑いながら手招いてきた。


「なんですかー?」

「おい、あからさまに怪しいだろうが!」

「え?」


 ミノルが振り向いた。その瞬間、老婆はミノルに何かを突き刺す。

 

「えっ……」

「お前さんも……キヒヒ」

「てめえ、このババア!」


 私は弓矢を引き、婆さんを狙撃するが、何かに弾かれてしまい矢が消える。


「やだねぇ、喧嘩っ早くて。お前さんは警戒心が高そうだ。お前さんはやめとくか」


 そう言って老婆はまた路地裏に消えた。

 すると、何だかミノルが光り出す。私は強い光に目が眩み、思わず目を閉じた。


「うおっ、うおおっ」


 光が止んだ。

 私は目を開けると。


「わあ、尻尾が生えてる!」


 ミノルに蠍のような尻尾があったのだった。


「……は?」

「犬耳が消えてるけど! まあ、カッコ良さそうだからいいか!」

「……は?」

「なんか種族変わったみたいでさー。スコピオンっていう風になった!」

 

 なんか意味がわからなくなってきたな。











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