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思い出したそのふたり

 なんか今日は一日疲れる日だったな……。

 家に帰るや否や、スマホをヘッドギアにつなげてくる。ゲームをやれということだろうか。


「スマホの充電はいいのかよ」

「へっへーん。こういうの、届いてたんだ」


 と、見せてくるのはコードがついたシート。

 

「これね、コードにつながなくても充電できるシート! 充電するたびにやめたくないでしょ? だから買ったんだ」

「へぇ、高かったでしょ」

「まぁ……実用化されて間もない商品だしねぇ! ってことで、充電!」


 私のスマホをそのシートの上に乗せると確かに充電状態になっていた。

 充電状態になるとこの空間の壁がビリビリとしたエフェクトが出る。特に触れても死ぬことはない。電脳アバターだからもしかしたら電気に抵抗?があるのかもしれない。


「さ、やろーよ! まだ王都探索しきってないでしょ!」

「そうだな」


 私は扉を開けてさっそくログインすることにした。

 背中に翼が生える。この感覚も慣れてきた。ばさぁと純白の翼が生えてくる。いいよね、天使って。私が聖なる存在みたいじゃん。


「さて、やるぞ」


 私は宿屋から出る。

 そういえばミノルたちはどこでログアウトしたんだろうな。私と同じ宿屋じゃないことは確定なんだけど。

 そう思っていると、ミノルからフレンドメッセージが届く。どこにいるのということだった。そりゃ今日ログアウトした場所違うんだから聞いてくるとは思うけど……。


 ここ、割と穴場そうな宿屋だから説明しづらいな。


「どこか教えてくれたら……と」


 私はそう送った時だった。

 何者かが私の背後に立ち、剣を突き付けてくる。PKか。また? そう思い後ろ目で見ると。シンゲンとマサだった。


「……何の真似?」

「……」

「その気なら覚えてろよ」

「冗談だ」


 と、剣をしまう。


「よぅ、久しぶりだな」

「久しぶり! シグレちゃん」

「ああ、ひさし……あれ、お前らそんな顔だったか?」

「ええ!?」

「どこかで見覚えあるようなんだよな……」


 そう考えていると一つの考えが。


「あ、もしかしてお前ら現実の私知ってたりする?」

「……ようやく気付いたか」

「遅いよねー」


 と、マサたちは笑う。

 そうだ、髪色とかが変わってて気づかなかったがよくみると私たちはこいつら知っている。というのも……。


「お前ら、また私にぼこぼこにされたいの?」

「もう懲り懲りだよ……。悪かったよあの時は……」

「あれ俺だけとばっちりだったんだけどな……」


 私が中学生の時にボコボコにしたやつらだった。あの時こいつらにバカにされてそれがムカついてボコボコにしたんだった。

 思い出した理由は今日、そのことを話していたからだろうけど。すっかり忘れていたな。


「シンゲンに関しては悪いと思ってるよ」

「俺は!?」

「お前は私をバカにしてきたくせに何言うんだ」

「悪かったって! 反省してるよ……。俺もあの後めっちゃ怒られてさ……」

「俺も怒られた。俺ただ話聞いてただけなのに」

「……」


 シンゲンに関してはその場でこいつといたからということで推定無罪で暴力をふるった。それは本当に申し訳ない。それに関しては私が悪い。


「もう今はしないよ……」


 と、本人は深く反省しているようだった。


「俺らが引きこもってるのも俺らのせいでシグレちゃんが転校する羽目になってさ、親からお前は厄しか呼び込まないやつだから部屋にこもってろって言われてさ」

「……」

「転校する羽目になったのも俺らが元凶みたいなもんだししゃあないけど……」

「……いや、私もあのときかっとなったのが悪いし」


 もうちょっと大人の対応すべきだったのだ。

 あの時の私は荒れていたからそう考える余裕もなかったんだろうけど。


「なるほどな。じゃあその罪滅ぼしのために私に付き合ってくれてるのか?」

「それもあるし、今からでも仲良くなりたいなってだけだよ」

「そう」

「現実じゃ死んじゃってるんだろ? なら俺らが話せるところはここしかないわけだし……」


 それもそうだな。


「改めて、ごめん」


 と、頭を下げてくる。


「私も悪かったよ。殴ったりして」


 私も、素直に謝った。






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