落とし子
ミノルが拗ねてしまった。
一人で行ってくるもんといい、モンスターを狩りにいったようだ。ミコトとぽんぽこ、ハルサメは心配してついていくといっていたが……。
「別についていかなくてもすぐ戻ってくるぞあいつ」
私はミノルのことをよく知ってるのでわかる。あれは寂しさには勝てないので、一人で行っても寂しくて帰ってくるだけ。
まぁ、あいつら行ったから帰ってくることはないと思うけど。
「また一人、か」
そう思い、宿から出ると。
「おはようございます! シグレさん!」
と、笑顔でプライドが前に立っていた。
背中には大剣を背負っている。プライドは屈託のない笑顔で挨拶できるようには元気になったようでいいのだが。
「まだクエスト続いてんのか……」
「くえすと?」
「いや、こっちの話。今日は何する?」
「えっと、貴族様の依頼を受けたので一緒に来てほしいのです! 今貴族様と話すことになって」
「……低ランク冒険者と貴族が会話?」
そんなのありえるのか?
だって、低ランクだろ? 普通なら貴族は高ランクの冒険者に依頼を出すはず……。それなのにわざわざこいつに?
なんかきな臭いな。
「わかった。一緒に行こう」
「ありがとうございます!」
私はプライドとともに行く決意をした。
そして、私たちは冒険者ギルド前に行くと、何やら紋章が描かれた馬車が冒険者ギルドの前に泊まっている。
「あれ、ルグレスさん?」
冒険者ギルドの中でルグレスさんと思われる人と眼鏡をかけた高身長の男の人が待っていた。こちらのほうを見ると、にっこりと笑ってくる。
「この間ぶりであるな! シグレ殿」
「この子に依頼を出してきたのはルグレスさんなんですか?」
「ん? ああ、そういう口実になってんのであるな……」
口実?
「そう警戒しないでもらいたい。とりあえず我が家にきて話でもしましょうか」
「……名前は?」
「私はフリックと申します。では、こちらへ」
と、馬車に乗せられる。馬車にルグレスさんとフリックさん、プライドと私というなんだか不思議なメンバーだった。
ルグレスさんは笑顔で話しかけてくるが……。何を考えているのだろう。私は警戒心が解けないでいると家に着いたといって馬車が止まる。
そして、私たちはそのフリックさんの屋敷に通されたのだった。
「どうぞこちらへおかけください」
そういわれ、私はソファに座る。
「それで、なんのようなんですか? 僕に依頼というのは……。僕は貴族様に依頼されるような実績もないしランクも低いのですけど……。ほ、本当に僕でいいんですか?」
「失礼」
プライドが言っていることを無視して顔を近づけるフリック。
「ち、ちか……」
「瞳の奥に浮かぶかすかな紋章……。赤い目……。これは間違いない」
「間違いない?」
「あー、その、心して聞いてくれ」
ルグレスさんがそう前置きを言った。
「実はつい先日、王に落とし子がいると判明したのです」
「落とし子?」
「ええ。昔女中に手を出し孕ませた……と」
「つまり……」
「ええ。プライド君が……いや、プライド様はその王の落とし子だということです」
……こうなるんだ。




