表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/326

落とし子

 ミノルが拗ねてしまった。

 一人で行ってくるもんといい、モンスターを狩りにいったようだ。ミコトとぽんぽこ、ハルサメは心配してついていくといっていたが……。


「別についていかなくてもすぐ戻ってくるぞあいつ」


 私はミノルのことをよく知ってるのでわかる。あれは寂しさには勝てないので、一人で行っても寂しくて帰ってくるだけ。

 まぁ、あいつら行ったから帰ってくることはないと思うけど。


「また一人、か」


 そう思い、宿から出ると。


「おはようございます! シグレさん!」


 と、笑顔でプライドが前に立っていた。

 背中には大剣を背負っている。プライドは屈託のない笑顔で挨拶できるようには元気になったようでいいのだが。


「まだクエスト続いてんのか……」

「くえすと?」

「いや、こっちの話。今日は何する?」

「えっと、貴族様の依頼を受けたので一緒に来てほしいのです! 今貴族様と話すことになって」

「……低ランク冒険者と貴族が会話?」


 そんなのありえるのか?

 だって、低ランクだろ? 普通なら貴族は高ランクの冒険者に依頼を出すはず……。それなのにわざわざこいつに?

 なんかきな臭いな。


「わかった。一緒に行こう」

「ありがとうございます!」


 私はプライドとともに行く決意をした。

 そして、私たちは冒険者ギルド前に行くと、何やら紋章が描かれた馬車が冒険者ギルドの前に泊まっている。

 

「あれ、ルグレスさん?」


 冒険者ギルドの中でルグレスさんと思われる人と眼鏡をかけた高身長の男の人が待っていた。こちらのほうを見ると、にっこりと笑ってくる。


「この間ぶりであるな! シグレ殿」

「この子に依頼を出してきたのはルグレスさんなんですか?」

「ん? ああ、そういう口実になってんのであるな……」


 口実?


「そう警戒しないでもらいたい。とりあえず我が家にきて話でもしましょうか」

「……名前は?」

「私はフリックと申します。では、こちらへ」


 と、馬車に乗せられる。馬車にルグレスさんとフリックさん、プライドと私というなんだか不思議なメンバーだった。

 ルグレスさんは笑顔で話しかけてくるが……。何を考えているのだろう。私は警戒心が解けないでいると家に着いたといって馬車が止まる。


 そして、私たちはそのフリックさんの屋敷に通されたのだった。


「どうぞこちらへおかけください」


 そういわれ、私はソファに座る。


「それで、なんのようなんですか? 僕に依頼というのは……。僕は貴族様に依頼されるような実績もないしランクも低いのですけど……。ほ、本当に僕でいいんですか?」

「失礼」


 プライドが言っていることを無視して顔を近づけるフリック。


「ち、ちか……」

「瞳の奥に浮かぶかすかな紋章……。赤い目……。これは間違いない」

「間違いない?」

「あー、その、心して聞いてくれ」


 ルグレスさんがそう前置きを言った。


「実はつい先日、王に落とし子がいると判明したのです」

「落とし子?」

「ええ。昔女中に手を出し孕ませた……と」

「つまり……」

「ええ。プライド君が……いや、プライド様はその王の落とし子だということです」


 ……こうなるんだ。

 








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ