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喧騒は苦手だ

 プライドはモンスターを倒していくうちに自分の力に自信が出てきたようだった。

 日が落ちてきたころには、返り血で真っ赤に染まったプライドの服。魔物にとってこんな恐るべき殺戮者なんていないだろうというくらいに倒していた。


「もう帰ろうか。プライド」

「はい!」


 そんな無邪気な目が怖い。

 ハルサメといい、プライドといい……殺戮者の目は時折恐怖を感じる。


「っと、宿屋に帰る前に冒険者登録だけでもしておくか? そのほうが楽だろ?」

「そうですね!」


 ということで私たちは冒険者ギルドにいくことにした。

 冒険者ギルドは王都門前の近くにある。いつでも行けるようにここら付近に居を構えているんだろうなと推測ができる。

 中に入ると、以前行った港町の酒場と同じくらいの喧騒。


「うるっさ……」

「この騒がしさは苦手かい?」

「騒がしいのがそんな好きじゃないんだよ」


 私はうるささに呆れながらもプライドを受付のほうに連れていく。そして、プライドを冒険者登録したいというと、受付の人は冒険者ライセンスを発行するために自分の名前などを書いてほしいと紙を手渡された。

 こういうのはどこの世界でもどこのお役所でも同じだよなぁ。なんて思いながら見ていると。


「お嬢ちゃんたちもなりに来たのかい~?」

「俺ら仲間になるのかぁ~! なら一緒に飲もうぜぇ~」


 と、いかつい男二人組が絡んできた。

 

「はっはっは! 残念ながら僕たちは酒が不得手でね! お誘いはありがたいが今度にしてもらえると嬉しいね!」

「そうかい~?」

「ならしょうがねえなぁ~!」


 と、男たちは何もせず帰っていった。

 普通こういうのってバトルになる流れじゃないの? ライトノベルって大体そうじゃん。私も戦うつもり満々だったんだけど。

 まあいいや。


「書き終わりました!」

「はい。ではしばらくお待ちください」


 そういうので、私たちは中で待つのだけれど。私はほんっとにこのうるささに辟易していた。うるさいのはどうも好きじゃない。

 こうもうるさいと気が滅入る。うるさいのは一人で十分なんだよ……。


「なんか顔色悪いでありますな。一度自分と外に出ましょうか?」

「うん。ちょっと頼む……。ミコトはちょっとプライドについていてくれ」

「了解した!」


 私とハルサメは冒険者ギルドを出た。

 先ほどまでうるさかったのが、一気に静かになる。外にまでこのうるささは響いているとはいえ、先ほどよりはましだった。


「ハルサメは……。そりゃ平気か」

「そうでありますな。戦場だと銃撃の音や爆音などが響いておりましたから」

「……だろうね」


 それに比べたらはるかにましなうるささだろうけど。


「ま、うるさいのが苦手なのも理解できますな。少し自分と静かな夜を歩くとしましょうか」

「何気にハルサメと二人で行動するのは初めてじゃないか?」

「そうでありますな。シグレ殿は団体行動がそこまで得手ではないようですから」

「まぁ……。一人が好きというのもあるけど。でも別に友だちとかと行動するのは嫌いじゃない」


 そこまで一人にこだわることはない。

 私とハルサメは日が落ち星空が見える王都の街を歩く。昼間のような騒がしさはなく、一転。ものすごく静寂に包まれていた。


「戦場でも……夜は静かだったのであります」

「そうなの?」

「夜になるとお互いの兵士は寝ておりますからな。まぁ、自分は夜に相手の軍に奇襲を仕掛けたこともあるのですが」

「それは聞きたくない」


 たしかに夜に奇襲をかけるのが一番有効だろうけど。


「夜の静けさはどこの国でも同じであります。静かなのもいいものであります」


 たしかに。

 私は星空を見上げる。晴れやかでなんとも星がくっきりと見えていた。









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