やつれた孤児
昼からも王都の探索に。
グライドたちではなく、やってきたミノルたちと探索をすることにした。
私たちは王都の裏路地をいく。
表通りは基本的に把握したので、裏道などを知っておけば役に立つかもしれないということだった。
「割と入り組んでるな。迷路みたいだ」
薄暗い裏路地を進んでいくと。
人影が見える。その子は倒れており、痩せ細っていた。
「うわっ」
私たちは急いで駆け寄る。
お腹すいた、と私たちの顔を見て言ってきた。生きているようだが、餓死寸前。
とりあえず、歩きながら食べようとさっき買った串焼きを手渡す。
「ありがとう……」
《クエスト:やつれた孤児 を受注しますか?》
そういうアナウンスが聞こえてきた。
それはみんなも聞こえたようで。
「クエスト?」
「ふむ、クエストか……」
「とりあえず受けるのでありますか?」
「そうだね!」
クエストをとりあえず受けることにした。
「君、名前はなんていうの?」
「……プライド」
「どこからきたの?」
「わかんない……。ずっとここで一人で暮らしていた……」
ここだ一人で……。捨てられたということか。
今までどうやって食い繋いで来たのか疑問ではあるが……。とりあえずどうするか。
「とりあえず、連れてく? 流石にこの体の細さじゃすぐ死にそうだし」
「そうだね。僕がおぶってあげよう」
ミコトはプライドをおぶる。
プライドはすごく綺麗な金髪で、とても綺麗な赤い瞳を持っていた。
これ、どこかお偉いさんの落とし子なんじゃないかと思う。こんな綺麗で宝石のような目……。
「僕の目に……なにか……」
「ん、いや、綺麗だなって思っただけだよ。私たちの拠点は王都にないから……宿屋に連れて行こう」
プライドをどうすればクエストクリア扱いになるのだろうか。
私たちは宿屋に移動し、プライドに食事を与えることにした。ガツガツとがっつき、美味しいと言う。
「とりあえず……プライドはどうしたい?」
「どうしたい……とは?」
「さすがに私たちで養うのは無理がある。そこまで長くは面倒みられるわけがない」
「……そうですよね」
だからいずれ別れるのだが。
「なら、僕を鍛えてください……! 冒険者として頑張ります……!」
「ん、わかった」
鍛える、か。
なるほど。クエスト内容はこのNPCのレベルアップということか。
ただ、武器とかは私たちで用意する必要があるように感じる。私は武器屋に行こうというと、ミノルとぽんぽこは宿題があると言ってログアウトしていたのを思い出した。
「なら……ハルサメ、ミコト。ついてきてくれ」
「了解した!」
「了解したであります」
「あの……どこに?」
「冒険者になるんなら必要なもんがあるだろ?」
武器や防具……。必要なものを買わないとね。
命を守るためには金を使うんだよ。先行投資みたいだな。出世したら返してもらうことにしようか。
「よし、武器屋へごー!」




