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深い森のオオカミ

 子供の魔女エミィははるか遠方の国から来てここに住み着いたということだった。

 魔女というのはどこの国でもどの時代でも迫害されるようで、人目につかないところに居を構えれば魔女狩りなんてものはされないだろうということ。

 だがしかし、寂しくなるらしい。


「それじゃあね! また来てね!」

「ああ、また来るよ」


 私たちは城を後にする。

 

「それにしても……魔女狩りか。このゲームでもあるとは」

「現実でもあったからな……。日本は魔女に悪イメージはそれほどないが海外だとまだあるみたいだし……こればかりはどうにもならないな」


 私たちは城を出ると、リンドウが一人待っていた。


「おかえり。子供たちはなんか一気に帰ってきたから王都まで送ってきたよ」

「ご苦労」

「僕たちも帰る? 十分試し打ちはできたでしょ?」


 できたか出来てないかでいえば、出来てはいない。一度しか戦闘していないしね。

 まぁ、でも、疑似的に呼べる仲間NPCが出来たのは幸運だったかな。ここはミノルがいると絶対入れない場所だったし僥倖僥倖。


「そうだな。帰るか」


 私たちは城を背にし、歩き出す。

 すると、突然なにか咆哮のようなものが聞こえた。ワゥーンとなにかの咆哮。すると、目の前に何かが飛び出してくる。

 それはオオカミだった。


「魔物だ!」


 と、グライドはすぐに武器を構える。私も弓矢を手にし、リンドウも自分の武器であるハンマーを担ぐ。

 オオカミの魔物は私たちに対して威嚇。グルルと牙をむき出しにしている。


「ガウッ!」


 グライドめがけて噛みつきにかかった。

 鋭い牙を持った口を大きく広げて。グライドは剣で防ぐが、オオカミの力が強いのか少し苦しそうな顔をしている。

 私は煌雨の弓で、矢を放つ。オオカミは体をひねりそれをかわした。


「躱せるのか今のを」

「とりあえず、離れろ!」


 リンドウはハンマーをふるう。

 オオカミは噛みつきをやめ、一度距離をとった。だがしかし、私たちに対する敵意はいまだに消えていない。

 すると、オオカミは私のほうを向いた。そして、私のほうに走り寄ってくる。私は矢を構えるが、照準が定まらないよう蛇行して走っていた。


「これじゃ狙えないっての!」


 私は翼飛行をする。

 オオカミが届かない上空まで移動した。だがしかし、オオカミは木を駆け上り、大きく飛び上がる。私の足元まで飛んできた。が、届かず地面に落ちる。


「あっぶねえ。物理防御は本当にないからな……。咄嗟に飛んだけど影魔法でもよかったな」


 私は地面に降りる。すると、再びオオカミがこちらを狙ってくるので影魔法を使用した。

 私の体が黒く染まる。オオカミの体が私を突き抜ける。


「えっ、体が黒く染まって……」

「影魔法っていうものつかってんの。物理攻撃無効にするから楽だよこれ」


 ここは太陽が遮られている暗く深い森。つまり、全体が影だ。

 私は影の中に潜伏する。オオカミはあきらめて狙いをリンドウたちにしたようだった。リンドウたちめがけて攻撃を仕掛けようとしている。

 私は背後から体を出し、矢を放つと。矢はオオカミの腹部に当たる。


「グアッ!」


 オオカミはこちらを見る。私めがけて再び攻撃してこようとしていたので影に再び身を隠す。影の中を移動し、背後に回り込んだ。そして、体を出し矢を放つ。

 オオカミは苦しそうに声を出し、そして、リンドウたちもその隙をついて攻撃をしていた。オオカミはその場に倒れ、消えていく。


 私は影魔法を解き、地面に立つ。


「よっし、討伐完了」

「素材は山分けだな」

「毛皮は私もーらお」


 ドロップした毛皮を手に取る。

 このオオカミの魔物は強かったし賢かった。だがしかし、私にはかなわなかったようだな。









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