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光陰の矢

 私たちは王都を探索している間に雑談をしていた。

 というのも、私の種族について聞きたいことがあるらしい。


「天使って種族スキルって何あるの?」

「翼飛行だけだけど」

「えっ、それだけ? もっとあると思った」


 そういえばそうだな。天使の能力としてはいささかしょぼい気がする。

 翼があれば翼飛行なんて出来るし……。


「ならもっと他にスキルあるんじゃないか? 天使のスキルが翼飛行だけとは限らんだろうし……」

「天使の輪っかとその翼が天使の証明と言われても飛行するなら他の種族でもできそうなものはあるしね」


 たしかに。


「ならそのスキル探してみるかなあ。私、スキルだけは割と充実してるから別に無くても困らないんどけど」

「でも気になるだろ?」

「それは……まあ」


 気にならないと言えば嘘になる。

 こんな特殊な種族……翼飛行しかスキルがないというのはどうも考えにくい。


「なら王都でその情報探してみようぜ。始まりの街とはまた違う情報があるだろ。こっちの方が図書館とか広いしな」

「書物の数が違いそうですからねえ」

「それじゃいこっか! 天使のことを……」

「……ただ、一つ懸念事項があるとすれば。天使という特別な種族ですから王都の図書館ではなく、王城に保管されている可能性もあるということです」


 なるほど。リンドウの言う通りかもしれない。特殊な種族は王城に……。

 だがしかし、私たちが王城に入るのは難易度が高いな。


「とりあえず探してみてなかったらまた考えよう……」


 そういうことで図書館の方に向かった。

 図書館に入ると司書の人がいて私をジーッと見てくる。そりゃこんな目立つ人が来たらそうなるわな……

 私はその目を気にせず本を探そうとすると。


「すす、すいません! てて、天使のお方でしょうか!」

「ん?」


 先程じっと見てきた司書の女性に声をかけられた。


「そうですけど」

「うわぁ……。ホンモノは初めて見ました……!」

「ホンモノは?」


 ホンモノはと言った。となるともしかしてなんだが、天使について書かれた本を知っているのかもしれない。

 私は黙って司書の話を聞く。


「あ、ああ、あの! この本に書かれていることは事実なのでしょうか!」


 と、手渡された本。

 私はそれを開いてみると、その本が突然光出す。その光は球体となり、私の体に吸い込まれて行く。


《スキル:光陰の矢 を取得しました》


 そういうアナウンスが聞こえてきた。

 スキルの説明を見てみる。スキルは天使の固有スキルで魔力で作った弓矢を作り出すということ。

 その弓で放った光の矢は魔法攻撃扱いになるのだという。光魔法、回復魔法を兼用しているのでアンデッドにも有効であり、味方に当てると回復するということだった。


「へえ、面白いスキルだ」


 私はこれで物理の矢と魔法の矢の二つ使えることになったようだ。

 

「なんか手に入れたの?」

「光陰の矢っていうスキルでこう……」


 私は弓矢を作り出してみる。

 左手に眩い光を放つ弓。そして、右手には光の矢が。私は構えて弦を弾いてみる。

 弓矢と同じような感覚だ。私は構えを解く。


「すごいです! 光の矢……! 天使様ですぅ!」

「そうだね……」

「それ魔法扱いになるのか?」

「なるっぽい。光魔法と回復魔法を併用してるとか」

「へえ! 面白いスキルだね」

「パーティ登録してる味方に当てると回復効果もあるっていうから便利だわ」


 回復魔法と攻撃も兼ねた弓矢。使い勝手が良さそうだな。


「それにしても、王城じゃなくここにあったとは」

「それは……驚きだね。僕はてっきり……」

「司書さん。なんでこの本持ってんだ?」

「え? ああ、昔に古本屋で見たんですよ。私は天使様が好きだったので! まさか本当に会えるとは思いませんでしたけどね!」

「運が良かったんだな私は」


 ここまで運がいいと逆に怖い。

 何はともあれ新たなスキル。試してみたいが。


「アンデッドってここら辺だとどこにでる?」

「アンデッド、ですか? うーん。ああ、なら王都を少し東に行ったところにある深い森の城ですね。あそこにはアンデッドがよくでます」

「おっけ。リンドウとグライドもくる?」

「当たり前だ」

「気になるからついてくよ」


 よし。


「ならアンデッド狩りだ!」








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