王騎士スキルを求めて
馬車に乗っていると。
《新たなエリアが解放されました》
と言うアナウンス。私は急いで地図を見ると王都が解放されたということだった。
もしかしてこの貴族たちについて行くことが王都解放条件? となるとすげえ幸運だな。
「ルグレスさん。これからどこに?」
「王都にある騎士団の詰所に行くのであります。王騎士になるためにはそのためのスキルを教えねばなりませんのであるからしてな」
「へぇ」
ミノルはワクワクしている。
すると、王都が見えて来たと言って、ミノルは顔を出してみると、丘の上からは王都が一望できたようで、始まりの街より建物が多いと言っていた。
そりゃ王都は日本で言う東京みたいなもんだし当たり前なのだが。
そして、王都に私たちは足を踏み入れる。
賑わいを見せ、たくさんの人が行き交う。すると、厳重な門の前にとまった。
「ここは貴族の屋敷があるところなのである。要するに貴族街というものであるな」
「この中に詰所が?」
「王騎士は貴族が殆どを占めておりますゆえに」
なるほど。だからか。
そして、詰所前にやってきた。
「おかえりです! 団長!」
「うむ」
と、王騎士らしき人たちが敬礼をして出迎えてくれていた。
私たちは中に案内される。
「総団長。そちらの方は客人で?」
「ああ。迷惑をかけてしまったんだ。お詫びとして王騎士の職が欲しいというのである」
「……随分と強欲な」
「構わん。王騎士は試練が難しく、なりたいと希望する者は年々少なくなっておるからな。こんな女の子は貴重である」
「ですが……」
何か苦言を申したそうにしている側近の人。
確かに言いたいことは理解できるし、その考えも正しい。王騎士というのは王に仕えるような騎士のことを指すのだとすると、こんな身分も名前も知らないような女の子に渡すのはいかがなものか、と私も言いたくはなる。
「吾輩が構わんと言っている。王騎士に必須スキルを手渡さんか」
「……総団長」
「言い方がキツすぎたであるな」
「なら、これで頂けたりはしませんか」
私はレインオルトの鱗数枚を差し出す。すると、二人は驚いたようにこちらを見た。
「れ、レインオルトの鱗!? どこでこれを!」
「かの龍は鱗を取ることは難しいはず……。拾ったにしても……この枚数は」
「私はレインオルトに認められたらしいんです」
「認められた……? あの総団長にもなびかなかった龍が……?」
「なのでどうでしょう。レインオルトに認められた私が保証します。頂けたりはしませんか」
私は頭を下げる。
「……わかりました。直ちに用意いたします」
「迅速にである」
「わかっていますとも」
そういって、その側近の人は王騎士スキルと書かれた本を持って来た。
「これが王騎士スキルが書かれた本となります。ところでこのレインオルトの鱗……失礼なのですが頂いても?」
「いいですよ。まだ数枚ありますし……」
「まだあるのですか……。あなたのその背中の羽や頭の輪っかといい、何者ですか?」
「何者って言われても……」
私にもわからない。
「まあ、よろしいです。先ほどは失礼いたしました。自己紹介が遅れましたね。私は副総団長のイオリと申します」
「私はシグレです。こっちがミノル」
「よろしくです!」
「……ええ、これからもよろしくお願いいたしますよ」
「これからも?」
「あなた方は特別に騎士団の詰所に入ることを許可しますよ。特別な依頼も頼みたい時もあるので、ね」
「ははは、そうであるな。レインオルトに認められた実力者であるからな」
「……はぁ」
特別な依頼、か。
「それじゃ、これもらってきます! ありがとうございました!」
「イオリ、送っていくのである」
「はい」
私たちは帰ろうとするとイオリさんがついてきた。
メガネをくいっと上げ、イオリさんは総団長室から出ると、改めて私たちに頭を下げてくる。
「先程はすまなかった。私の立場として、こういうこともせねばならなかった」
「いえ。自分でもああいう態度とられて正解だと思ってますから。素性もわからない私たちですからね」
「総団長に連れてこられた時点で信頼すべきだった……。一体どこで知り合ったのですか?」
「始まりの街を歩いてると総団長が乗っていた暴走馬車に轢かれそうになって……」
「なるほど……」
それを聞いて総団長らしいと笑うイオリさん。
「では、送っていきましょう。始まりの街に戻りますか?」
「はい」
「わかりました」
私たちはイオリさんに始まりの街まで送ってもらうのだった。




