その埋蔵金は呪われている ③
グライドは苦戦を強いられているようだった。
矢を避けきれないときもあり、ダメージを負っている。
すると、グライドはニヤリと笑った。
「わかったぜ、出す方法が」
そういうと、私の方に近づいてきた。そして、私が入っている宝の地図を拾い上げる。
グライドはニヤリと笑って剣を突きつけてくる。
「お前はこれを守るような飛び方してたな? 近づけさせないために」
「…………」
「ならこれを破れば出れるってことじゃないのか?」
そういってグライドは紙を破ると。
暗闇だった空間が一気に変わり、外の光景へ。埋蔵金……もとい財宝と共に私が解放される。
影は怒り狂い矢を放つ。私も矢を構え、放った。その矢は影の翼に当たる。
「…………!」
「ふぅ」
影は墜落。地面に落ち、苦しそうに立ち上がる。
地面に落ちた影はグライドに勝てるような存在ではない。グライドは剣で切り裂いた。
「勝ち!」
「ふぅ、大変だったな」
私は地面に散らばった宝の山をみる。
「もちろん半分こでしょ?」
「当たり前だ。手伝わせておいて独り占めなんてのは流石に出来ない」
「独り占めしてたらまた戦いが始まってるとこだったよ。じゃ、半分もーらい」
私は財宝をしまう。
「結局アレなんだったんだろうね」
「わからん。この宝を守る番人みたいなものだったんじゃないか?」
「かもね。それか……宝を手に入れようとした人を殺すための呪い、とか?」
「それもあり得るな」
どちらでも構わないけどね。
「それにしても……お前を敵に回すと厄介だな。飛び回られるだけで苦戦する」
「遠距離攻撃を持たない人だと飛ぶ相手というのは辛いだろうね。戦士職ならなおさらか。でも対応出来てたじゃん」
「あれはあっちが低く飛んでいたこと、周りに木があったことが幸いだったからな。平地だったらまず無理だった」
そりゃそうか。
申し訳ないね。私が翼を生やしてしまったからこんな苦戦をした。
私はと財宝をしまい終えた。イベントリが満杯になったが、これだけでも売ればいい金にはなるだろうし、ミノルが引きたがっているランダムスキルの書も買えるだろうな。
「いい金策になったよ。ありがとさん」
「こっちもこんな目に合わせて悪かったな」
「これもゲームの醍醐味でしょ。こういうファンタジックなことがあるから面白いんだって。さ、下山しよっか。もうこの場所に用はないしね」
「そうだな」
私たちはとりあえず下山することにした。
下山して始まりの街の方に向かう。始まりの街には宝を買い取ってくれる店があるのでそこに宝を売って金にするのだ。
私は店に向かおうとすると、お得なところがあると言って連れてかれたのはプレイヤーが運営する店だった。
「よう、いるか?」
「ああ、いらっしゃいグライド。と、新規さん?」
「ああ。フレンドのシグレさ」
「シグレです。えっと、ここは?」
「あらゆるものを買い取るところだよ。売りに来たんだけどいい?」
「あいよ。査定するからだせ」
丸坊主の店主さんは椅子に座る。見た目はもうその筋の人、なんだけど。
「ああ、嬢ちゃん。俺はこいつの友人のマルボウズっつうんだ。よろしくな」
「あ、は、はい」
「俺はヤクザじゃねえから安心しろよ」
すいません、思ってしまいました。
「これだ」
グライドは宝を前に出した。
「へえ、結構美しい彫刻品とか珍しい金属……。これをどこで?」
「あるクエストをやってな。こいつと半々だ。これらでいくらくらいだ?」
「ふむ……」
マルボウズさんは宝を手に取って。
「これ全部で500万ブロンってとこか。お前一気に高額なのを持ってくるなよ……」
「すまんすまん。どんくらい用意できる?」
「お嬢ちゃんのもこれくらいだとすると……せいぜい150万が限界だ。150万ブロン分買い取らせてもらう」
「わかった。シグレもそれでいいか?」
「はい」
「まだゲームが開始してそこまで経ってないからな……。マジで高額なもん用意すんなてめえ」
「悪かったよ」
笑いながら謝るグライド。
私も宝を取り出し買い取ってもらったのだった。




