その埋蔵金は呪われている ①
掲示板を見ると、グライドの情報があった。
トッププレイヤーを紹介するスレにて紹介されているようだ。
剣士として超一流だということ。人当たりもよく優しい好青年とまで。これ信用出来るのかねぇ。
「で、早速手伝って欲しいと」
「ああ。山登りまではいいんだが、敵が強いからな……。一人だと不安が残る」
「私でいいのか? ハルサメの方が強いが」
「ハルサメさんは怖くてな……」
ビビりか。
いや、まあたしかに怖かった。あの気迫には私も思わず恐れをなすほどだ。
死地を潜り抜けてきた人間はああも怖いものだと改めて理解した。
「で、山登りと。この山には何があるんだ?」
「埋蔵金伝説だ」
「埋蔵金伝説ゥ?」
徳川家の埋蔵金伝説みたいなものか? それがこの山の中にあると。
伝説とついているのは大抵ロクなものじゃないし、真偽がわからないものを探しに行くのか?
「埋蔵金伝説の宝の地図を偶然見つけてな……。きっとこの山のどこかにあるはずだ」
「どこかってまた曖昧な……。確証もないのに来たのか。なかったら無駄骨だろ……」
「無駄骨を折るのもゲームの面白さだろ? こういうのはロマンなんだよ」
「ロマンねえ」
男はみんなロマンを求めるのか。
ま、ここまでついてきたし行くんだけどさ……。
「宝の地図はどこら辺を指してるの? 見せてよ」
「ああ」
私は宝の地図を見せてもらうが。
古びた地図で、周りに木があるという情報くらいしかわからない。しかも、これは上空から見た視点な気がする。
「……上から見てもらおうということか?」
「そういうことだ! 理解が早くて助かるな!」
「同じ視点で見たほうがいいというのは分かるけど……。その目的なら最初から言いなよ」
別にそんな理由なら断らないっての。
「わかったよ。この地図借りるからね」
「ああ!」
私は地図を借り、翼をはためかせる。
この地図のバツがついている場所に埋蔵金があるんだろ?
これと同じ場所か……。
「木があるのはどこも同じだからな。果たして本当にあるのかどうか」
山の上を飛びながら探してみる。
周りには木がある開けた場所。この木だらけの森山にそんなのはあるのだろうか?
見当たらないが……。
「本当にあるのかこれ」
山一面をざっと見た感じそんな感じのはない。
困ったな。この山に本当にあるのだろうか。
私がそう思っていると、地図が突然暗くなる。私は思わず手を離したが、地図の方から何やら手が伸びてきた。
その黒い手は私を掴み、体に地図が当たったかと思いきや、私の体が地図の中に入っていく。
「た、助けて……」
「シグレさん!」
と、私の手を掴むグライドさん。
だがしかし、力負けしたのか手が離されてしまい、私は地図の中へ連れて行かれたのだった。




