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フレンドになってくれ

 ミノルの家に戻ってきた。

 ミノルとハルサメはすぐに部屋に戻る。ゲームをやろうとウキウキしているようだった。結局昨日はログインしてなかったから楽しみだったんだろうなと思いながらも、私もログインできるように繋がれる。


 私もログインすることにした。

 つっても宿屋なんだけど。


「ログインしたんですね」

「今さっきね……。ミノルたちは……」

「あー、ログインしてる場所がわからないんですよね」

「そうか。合流できなかったもんな」


 ミノルたちはどこにいるんだろうとメッセージを送ってみる。

 すると、どうやら拠点にいるらしい。案の定その場でログアウトしたためにアンデッドたちに知らず知らずにキルされて戻ったという。

 

「じゃあ、私たちも一度拠点に戻るか」

「そうですね。また来れますし」


 私たちは宿から出て飛行スキルを使って空を飛ぶ。やはり大空を翔るのはとても爽快で、楽しい。まるで鳥になった気分だ。

 私たちは空を飛んですぐに拠点へと戻れた。拠点に降り立つと、なにやらミノルたちと知らないプレイヤーが会話している。


「っと、どうしたんだ?」

「ああ、なんだかこの客人が君が天使になった理由を知りたいらしくてね。詰め寄ってくるんだ。正直迷惑しているよ」

「だからどこでやったんだよ!」

「私も知らないってぇ!」

「んなわけねーだろ! 早くしゃべらねえと……」


 と、剣を取り出そうとしていた。

 ここは安全地帯だからキルすることはできない。それに気づいてないプレイヤーたちはミノルを攻撃するが、ミノルの周りには不思議なバリアが。


「な、何で攻撃が……!」

「ここは僕たちの拠点だからね」

「失せろ」


 と、ハルサメはナイフで男たちの剣をはじき、首にナイフを突きつける。

 素早い身のこなしでナイフを突きつけたハルサメにビビったのか、それともキルできないということを悟ったのか逃げ出そうとしていたが。

 逃げ出した先にはなにやら男が立っていた。男はそのまま剣でプレイヤーたちを切りつける。


「また新手の敵か?」

「待て、構えないでくれ。俺はそんなんじゃない」

「どうだか。お前も天使の秘密を探りに来たんだろう?」

「それもあるが、俺はあいつらみたいな手荒な真似はしない!」


 ハルサメの警戒心はマックスだ。どんな奴が来ようと敵として認識しているのか、いつでも戦闘に入れるように臨戦態勢をとっている。

 その気迫は本当に恐怖でしかなく、少し冷や汗が出てきている。


「剣を捨てろ。戦闘するつもりがないのならできるはずだ」

「わかった」


 男は剣をぽいっと投げ捨てる。

 それをみて戦闘するつもりはないと理解したのかハルサメはナイフをしまった。それを見てほっとしたのか男は胸をなでおろしている。


「改めて、俺の名前はグライド。剣士としてプレイしている」

「グライド? ああ、聞いたことがあるね。ベータ版でも名をはせていたトッププレイヤーだよ。剣の腕は折り紙付きだね」

「はは、知られて光栄だな」

「そのクラウドさんがどんな用ー?」

「ミノル、クラウドじゃなくてグライドな。興味ないほうじゃない」

「ああ、俺が尋ねたのはシグレという奴に興味があるからだ」

「告白ならお断りですけど」

「なぜそうなる!? じゃなくて、俺とフレンドになってほしいだけだ」


 フレンド?


「天使になるようなやつとフレンドになりたいだけだ。俺はその目的で来た」

「……へぇ。他意はなさそうだね」

「それ以外に目的は本当にない」

「そう」


 だが、見ず知らずのやつとフレンドになるというのはな……。


「俺は実力者には声をかけてるんだ。強いやつとフレンドになっておいて損はないってな。困ったときには助けてやることもできるし、助けてもらいたいときには呼ぶかもしれない。俺はつながりを大事にしている」

「つながりねぇ……」

「だからいいだろうか。もちろんしつこく迫るつもりはない。断られたら素直に帰るさ」

「ん、まあいいよ。あんたのようなやつは信じることはできる」

「いいのか?」

「うん」


 私はとんだ人気者だな。フレンドになれと誘われる。天使というのがそこまでうらやましいだろうか。いや、まぁ、たしかにこればかりは他人と違うからな……。うらやましがられるのも仕方ないか。








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