うっかり
何とか逃げ切れたようだ。
だがしかし、迂闊に歩くと見つかりかねないな。旗役に選ばれてしまった以上、私には逃げる使命がある。
私は木の上で息をひそめていると。
「こっちに来たか?」
「いや……」
赤チームと表示されている奴らがこちらに走ってきていた。私はじっと身をひそめ、通り過ぎるのを待つ。
赤チームはどんどん攻め込んでいるようだった。だがしかし、旗役を見かけない。
旗役をどこかに隠しているのだろう。赤チームを見かけるのがものすごく多い。
「……ここはハルサメに習った体術で木の上を移動していくしかないか」
私は木を飛び移り、進んでいくのだった。
旗役は攻撃できない。ということは私が旗役を見つけて報告すればいいという話だ。相手の旗役も私には攻撃できないからな……。
の前に、影マネ……。影マネでミノルの真似をしてみると。私のゼッケンが白色に変わる。どうやらこのゼッケンも擬態できるようだ。
「……へぇ。これは面白い動きができそうだ」
逃げ切れるかはわからないが、引っ掻き回すことはできそうだ。
だがしかし、これも迂闊には使えないな。白陣営の作戦を知らない以上、私がぼろを出してしまう可能性もある。
さっきは観察できるチャンスだったが、逃げるしかない状況だったというのもあり……。
「さて、どこまで逃げれるかね……」
私が木々を飛び移っている時だった。
私は足を踏み外し、地面に着地する。すると、ぽんぽこが目の前に立っていたのだった。ぽんぽこも旗役。
赤陣営にぽんぽこがいるようで、ほかに攻撃する奴らもいる。
「あ」
「黒の旗役が落ちてきたぞ! やれ!」
「ちっ」
私は影魔法を使用した。
影に潜り込み、全速力で逃げていく。影の中だと攻撃は受けないので便利。だが、これも時間制限があるようだ。
私はその時間制限ぎりぎりまでなるべく遠くまで逃げる。
「声が遠くなった……。まけたか?」
私は影から出たその時だった。
背後から剣で切りかかられる。私は反射的によけた。赤陣営の剣士が一人だけ追いついていたようで、ちっと舌打ちしながらまた剣を構えている。
「バインド」
と、魔法使いが隠れており、私を縛り上げた。動けない。
私は目の前の剣士を見上げる。これはやばいかな……。私、さっそく死んだかもしれない。覚悟を決めて、目をつむった時だった。
「そうはさせないよーん!」
「うがっ……」
「大丈夫ですかい? シグレさん?」
「た、助けに来てくれたの?」
「偶然探ってたら見つけたんだー。よっしゃ、俺らでシグレさん守るよん!」
と、茶髪の武闘家が拳を構える。
「とりあえず、隠れていたお前、キルだ」
と、背後には黒陣営の剣士が魔法使いをキルしていた。
武闘家がそのまま赤陣営の剣士にとびかかり、何度も顔面を殴っていた。笑いながら殴っていてちょっと怖かった。
そして、剣士がキルされて、私は立ち上がる。
「ありがとな」
「いやいや、いいってことよ。それより、旗役はみたか?」
「見た。あっちにいる。ちょっと考えがあるから一緒に来てくれ」
私はそういって、そいつらを連れていくことにした。
影マネで、さっきの剣士の真似をする。キルされたら五分後に復活。それまで成り代わってやろうか。
私はその男に変身すると、変身スキルを持っていることに驚いたようだ。
「ゼッケンまで赤になるんだ……」
「便利でしょ?」
「その声で女口調はやめてくれ。笑っちまう」
「男役を演じろと。わかったよ」
私は、そのままぽんぽこがいる赤陣営に戻っていったのだった。




