海の洞窟 ②
私たちは洞窟内を突き進む。
すると、陸があった。だがしかし、行き止まり。この先はないのだろうかと思っていると、突然背後から水飛沫の音が聞こえてくる。
「しまった、行き止まりに来たのはまずかった!」
「きゃああああ!」
現れたのは大きなシャチ。
シャチは魔法を放ってくる。巨大な水の塊が勢いよく私たちに発射されダメージを受けてしまう。
「油断してた、クソっ」
逃げられない。
足掻くしかないってことだ。私は急いで弓を構える。水属性の弓で挑むのは大きな間違いだろうが……。威力は充分にある。
「キシャアアアアア!」
「このモンスターはキラーオルカ! この辺りのボスの魔物みたいなやつです!」
「そのボスとタイマンで戦えっていうのは流石に無茶だぞ!」
「ですが、逃げ道はありませんよ!?」
「だよな!」
キラーオルカは大きな声で鳴く。
私は矢を一発放ってみた。煌雨の山で放たれた水飛沫をあげる矢。
矢はキラーオルカに突き刺さるが、そこまでダメージを負った様子はない。
「キシャアアアアア!!!」
と、キラーオルカの前に魔法陣が再び現れ、そこから水の弾が発射される。
私は少しの被弾はあったがなんとか回避。
「天使でよかったな……。魔法防御力だけは割とあるからな……」
物理だったら耐えられるわけがない。
天使のステータスは見た限り物理方面に滅法弱い。物理防御がほとんどない。
攻撃は矢を使うということでそこそこあるし、魔法攻撃力というのもある。が、防御が弱い。
「えっと、エンチャント、アックアップ!」
と、私になにかバフのようなものをかけてくれた。
「攻撃力が三分間あがります!」
「なるほど、おっけー。たすかる!」
私は矢を放つ。
矢はキラーオルカの体に刺さる。
「キシャア!」
と、キラーオルカはグルグルと回り出した。
その円の中心は渦潮ができている。すると、突然水かさがあがり、私たちは水の中に巻き込まれる。
渦潮に引っ張られる!
「ひ、飛行!」
と、ぽんぽこは私を引っ張り飛行スキルを発動していた。
あ、危ない。危うく渦潮に巻き込まれるところだった。
「助かったよ」
水かさが減り、陸が再び現れる。
私たちは再び陸に着地し、弓を構える。狙いを定めて放つ。
キラーオルカは大きく飛び込んできた。そのままオビレで叩きにくる。私はそれを回避する。
「キシャアアアアアアアアア!」
「うおっ、また渦潮か?」
水かさが増える。私は今度は翼飛行を使う。
すると、勢いよくキラーオルカは再び飛び上がった。鋭い牙をこちらに向け、噛みつこうとしてくる。
私は矢を放つ。口の中に刺さり、シャチは痛そうにし、そのまま水の中は落ちて水柱をあげる。
「死んではないだろうけど今しかない! 全力で飛び逃げるぞ!」
「は、はい!」
私たちは全力で飛行する。
後ろには追いかけてきているキラーオルカ。時折ジャンプしては噛みつこうとしてくる。泳ぐスピードがとてつもなく速い。
「ぽんぽこ、素早さ上げるバフとかないの!?」
「ありませんん! レベルが足りなくて覚えられてません!!」
「くう、きつい……」
割と結構な速度を出しているのだが余裕でついてくるキラーオルカ。
すると、外の光が見えてくる。私たちは外に出た。すると、キラーオルカは追いかけるのをやめて中へ戻っていく。
「あ、あっぶねー……」
「追いかけるのやめましたね。シャチは執着心が強いイメージですが……。なんとか逃げ切れましたね」
「あー、もう疲れた。これ以上はやめよ。報告に行こう報告」
「そうですね。なんか疲れました……」
なんとか生き延びることができた。神様ありがとう。




